元営業マン、現エンジニアが語る:両職種の架け橋になるために
この記事は「レバテック開発部 Advent Calendar 2024」の 9 日目の記事です!
昨日の記事は、t_shiba さんの「システムディレクターがコミュニケーションで大事にしていること3選」でした。
これはなに
元営業マン、現エンジニアが書いた、営業からちょっと信頼してもらい易くなるための記事です。
私は営業として3年ほど働いたことがあり、その時、一緒に働いていたエンジニアサイドへの不満がありました。しかし、エンジニアとなった今は、それがエンジニアへの無理解や誤解によるものだったと思っています。同じように、エンジニアの立場になってみると、逆に営業のことを理解できない人もいるのではないかと感じました。
この記事では、営業とエンジニアの両方を経験した立場から、営業から信頼してもらうためには何ができるかを解説します。
この記事での「営業」について
本記事でいう「営業」とは、一緒に働く、いわゆるビジネスサイドの人たちのことです。
営業という言葉がピンとこない場合、ビジネスサイドに置き替えてお読みください。
営業の行動原理
まずは、営業が普段どんなことを考えて行動しているか、確認しておきましょう。
多くの営業が常に考えていることは「今月の売上目標をどうやって達成するか」です。
ほとんどの会社では月の売上目標が設定されています。そのため、営業の行動原理は、基本的に「月間売上目標の達成」であることを理解しておく必要があります。
売上目標を達成するために、
- 週ごとの目標をどう設定すべきか?
- 今週の半ばまでに何をしておけば良いのか?
- どの顧客にいつどうやってアプローチするか?
といったことを考えて行動しています。
さて、行動原理が分かったところで、営業とエンジニアの間でよく生じる誤解や課題について見ていきましょう。
営業とエンジニアの間にある課題
1. 時間感覚の違い
営業とエンジニアでは、仕事の性質上、時間感覚に大きな違いがあります。
例えば、メールやチャットの返信について、営業は基本的に24時間以内のレスポンスを期待しています。特に社内チャットの場合、より短時間での返信を期待することが多いです。
一方、エンジニアは複雑な作業に集中する必要があるため、即時の返信が難しいこともあります。
また、「1週間という短期間でリリースできた」というエンジニアの感覚が、営業にとっては「時間がかかった」と感じられることもあります。これは、月単位で成果を求められる営業の時間感覚と、開発サイクルの違いから生じる誤解です。
2. システムの使いやすさ/使いにくさの認識の差
エンジニアが許容できるだろうと思っているシステムの「使いにくさ」が、営業にとって実は許容できない場合があります。
例えば
- 複雑な入力制限
- 画面の表示速度の遅さ
- 直感的でないユーザーインターフェース
これらの使いにくさが、営業がシステムを敬遠し、Excelなどの代替手段を選択する原因となることがあります。
また、システムの使い方の説明が技術的すぎると、営業にとっては理解が難しく、結果的にシステムの活用を妨げることになります。
3. 成果の可視化の重要性
エンジニアが開発したシステムが実際にどれだけ売上に貢献しているか、明確でないことがあります。
しかし、営業にとっては、システムが売上の向上につながることが重要です。
そのため、エンジニアサイドでも、それを計測し、可視化する取り組みが必要です。
とはいえ、売上へどれくらい寄与したかを直接計測するのは難しい場合があります。
その場合、例えば、以下のような観点からシステムを評価し、営業サイドへどれだけ価値があったか説明できることが重要です。
- 営業活動にかかる時間の何%削減できたか
- 営業活動をする上でストレスとなっていた部分が取り除かれたと感じる営業は何人いるか
これらの説明ができない場合は、営業がシステムへの価値を感じない要因になります。
エンジニアができること
では、エンジニアとしてこれらの課題にどう取り組めば良いのでしょうか?営業との信頼関係を構築し、エンジニアの業務をより円滑に、そして効果的にするための具体的なアプローチを以下にまとめました。
1. コミュニケーションの改善
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アプローチ
- 期待値をしっかり合わせる(リリース時期、レスポンス時間など)
- 定期的なステータス報告会を設け、進捗を共有する
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具体例
- 弊社のあるチームでは、ビジネスサイドとのコミュニケーションがうまくいっておらず、手戻りが多く発生していました。その対策として、週に1度の定期的な相談会を実施するなどして気軽に相談できるようになり、以前より手戻りが少なくなりました。
- 詳細は、アドベントカレンダー11日目に azm さんが投稿してくれます。お楽しみに!
2. ユーザビリティの向上
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アプローチ
- 営業チームと協力して、ユーザビリティテストを実施する
- 営業の日常業務を理解し、重要な機能からパフォーマンスを向上させる
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具体例
- 弊社のあるチームでは、テストをしていたものの、POの要求を満たすのに十分なテストは実施できていませんでした。その課題を克服するため、POと協力してユーザーストーリーを洗い出し、優先順位をつけた上で、重要なものからAutifyを使ったテストを実施するようにしました。
- 詳細は、アドベントカレンダー13日目に dema96 さんが投稿してくれます。お楽しみに!
3. 成果の可視化
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アプローチ
- システムの利用が売上にどう貢献しているか、数値で示す
- 定期的にフィードバックを求め、PDCAサイクルを回す
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具体例
- 弊社のあるチームでは、新機能実装によって、無駄な画面遷移が減ったかどうかをNewRelicを使って計測しています。
訪問数と遷移数の差をNewRelicで可視化
- 弊社のあるチームでは、新機能実装によって、無駄な画面遷移が減ったかどうかをNewRelicを使って計測しています。
4. 相互理解の促進
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アプローチ
- 営業の業務に同行し、実際の現場を体験する
- エンジニアの仕事の進め方や制約について、営業チームに説明会を開く
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具体例
- 弊社のあるチームでは、実際の現場を見に行き、支障のない範囲で業務の一連の流れを一緒に体験させてもらいました。この体験により、複雑なドメインをスピード感を持って理解することができ、より使いやすいシステムの設計につなげることができました。
非エンジニア向け開発生産性研修の実施
相互理解促進の一環として、弊社では、過去に営業含む非エンジニア向け研修を行いました。
詳細は ヤマモトヒロキ さんの「非エンジニア向け🍓開発生産性に関する研修をやってみた」にまとまっています。
まとめ
営業とエンジニアは、異なる視点や優先順位を持っていますが、最終的な目標は同じです。お互いの立場を理解し、協力することで、より大きな成果を生み出すことができると思っています。
この記事が、営業からの信頼を獲得し、より良い協力関係を築くきっかけになれば幸いです。
アドベントカレンダー予告
明日は きょうか さんが投稿します。
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