AI をデイリーでキャッチアップする会を始めました!
こんにちは! KEPPLE CREATORS LAB エンジニアリングマネージャーの石野です。
ケップルでは、昨今の急速な AI の発展に順応すべく、エンジニア組織がデイリーでキャッチアップする機会を 2025 年 2 月の半ばから新たに設けました。
背景としては、ケップルのエンジニアは AX Enabler として AI をどのように課題解決に活用し、運用していくのかを考え、実行していく必要があることから、誰よりも AI に詳しくなることが求められているためです。
デイリーAXキャッチアップの目的
はじめに、目的を以下のように定義しました。これらの目的で行っています。
情報の継続的なキャッチアップ
AIの最新情報を定期的に共有し、技術的な理解を深めて変化に順応していく。
実践結果の共有
新しいツールや技術、アイデアを紹介し、試してみた結果や業務への応用例を共有することで、実践的な知見をチーム内で蓄積する。
AIに向き合う機会を創出
日常的に考えることで、今後のエンジニアリングや業務のあり方を見直す機会を創出する。
デイリーAXキャッチアップのコンテンツ
デイリーキャッチアップで共有する内容は、以下のようなコンテンツが挙げられます。
AIに関する情報共有
- AI ツール、トレンドの紹介
- 自身の業務以外でも活用できそうなツールやサービスも大歓迎
- 「面白そう」「試してみた」などの軽い情報も歓迎
- 他社の活用事例
業務での活用事例の共有
- 実務で役立ったプロンプトや、ツールの組み合わせ例
- 効率化や成果向上に つながった / つながらなかった エピソード
AIに対する考え方
- 今後のエンジニアや組織の在り方
- 未来の世界がどうなるのかの未来予想図
進め方
デイリーAXキャッチアップは、メンバーの負荷を軽減するため、毎日 30 分で以下のように進めています。
1. Slack のワークフローに記載
話したいトピックのコメントと、そのトピックに関するリンクを記載してもらっています。事前準備はそれだけです。
2. トピックがスプレットシートに自動転記
Slack のワークフローで記載された内容がスプレットシートに自動転記されます。ここに何を話したかの情報を記録しています。
3. 転記された内容をもとに30分間共有
スプレットシートに転記された内容をもとに、30分間でトピックを共有します。1 トピックあたり 3~5 分程度で進めていきます。
4. NotebookLM に音声データを保管し振り返り
共有した内容を音声データとして NotebookLM に保管し、後から振り返ることができるようにしています。
話題に上がったトピック
デイリーAXキャッチアップを始めてから 2 週間ほどが経過しました。その中で話題に上がったトピックをいくつか紹介します
DevinのOSS版とエンジニアの置き換えの可能性
DevinのOSS版のようなツール「OpenHands(旧:OpenDevin)」が台頭し、セルフホストや自サーバーでの利用で気軽にコード修正などが可能になることが話題に上がりました。Devin のような半自動でコーディングを行うエージェントが普及することは直接的にエンジニアの置き換えに繋がる可能性があります。ただし、現時点では Devin 自体の料金が高く、気軽に使える状況ではないことや、Devinをうまく活用するためには人間による適切な指示出しが重要であることも懸念のポイントではあるため、AI と人間の双方に成長が求められていると感じています。
AIエージェントの多様な活用と今後の展望
様々なシーンで AI が活躍していて、それら利活用の例が多く挙がっています。
- CSSデバッグやパフォーマンス分析にAIを活用するツール
- セールスポータルでの企業調査やガイドボット、スライド自動生成など、具体的なAIエージェントの活用事例
- CLIで操作可能なMCPクライアントが紹介され、様々なツールへの組み込みやすさが高まっている
- AIエージェントを用いた投資シミュレーションが教育目的で紹介され、AIが投資判断を行う可能性も視野。
- AIエージェントが複雑なワークフローを自動化する可能性や、その開発における課題、AX組織における同様の取り組みの重要性
アリババの驚異的な動画生成AIモデル
アリババが発表したオープンな動画生成モデル「Wan2.1」が、非常に高品質な動画をローカルで生成できるとして大きな衝撃を与えました。まるで映画のCMのようなレベルでありながら、ゲームを題材としたものであったため、驚き屋になりかけました。
ドキュメントからの構造化データ抽出ツールの進化
Amazon Bedrock Data Extraction など、PDFや画像から構造化されたデータを抽出するツールが紹介され、非構造化データを業務に活用する上での可能性について議論しました。日本語や手書き文字、数式にも対応されれば、業務効率化に寄与するイメージが詳細に湧きますね。
待望のスケーリング強化学習による高性能・高効率LLM「QwQ-32B」がリリース
アリババが手がけるLLM「Qwen」が紹介され、その性能の高さが話題に上がりました。320億パラメータという比較的小さなモデルサイズでありながら、高い推論能力を持っている点が特に注目されています。
さらに、家庭用のGPUでも動作する可能性があることから、今後のLLMの利用方法に大きな変化をもたらすかもしれません。これは世界が変わるかもしれないと、テンションが爆上がりでした!
爆速コード生成AI「MercuryCoder」
驚異的な速度でコード生成を行うLLMであるMercuryCoderが紹介されました。従来のコード生成AIと比較して5倍から10倍の速さでコードを生成できる可能性があり、今後の普及に期待しています。ただし、複雑な指示に対してはまだ課題があるようなので、実用化は数年後かもしれません。
GitHub Copilot Pull Request Review機能への期待
GitHub Copilotのプルリクエストレビュー機能についても話題になりました。たくさんのエンジニアメンバーがその導入を期待しているものの、まだウェイトリストの段階であることから、正座待機しています。
AXキャッチアップに対するメンバーからの感想
デイリーでキャッチアップを始めたことによって、どのような変化があったか、どのような感触を持っているか参加しているメンバーに聞いてみました。
- 「自分でもキャッチアップを積極的にしていたが、知らないようなネタを持ってきていただけてよかった。」
- 「毎日意識して AI に関するニュースをキャッチアップするようになりました。また、一つのニュースを流し見するのではなく、ある程度説明できるように調べたり試したりすることが増えました。」
- 「普段、自分だけだとリーチしないだろうなっていう情報もあって面白い。またこのMTGを機にBedrockのように、社内で実際に利用できる環境を整備する動きもあり、試用環境が整えばLLMへのアクセスが容易になって利用のハードルが下がりそうでよさそう。」
- 「単純に AI に関する知識が増えた。各メンバーの AI に対する向き合い方が理解できた。」
- AIの情報収集を必ず行うようになった。自分だけの知見ではなく、他の人の知見を聞けて幅が広がる。話を聞いて、もっと知りたいと興味を持てるようになった」
基本的にポジティブな意見が多く寄せられています。デイリーでのキャッチアップを通じて、インプットとアウトプットを繰り返し行うことで、メンバーにとって非常に有益な時間になっているようです。
さらに、キャッチアップの改善案を積極的に提案してくれるメンバーも多く、非常に熱量の高い場となっています!
今後の取り組み
ケップルでは、AI / AX に対して積極的に投資を行っています。その中で得られた知見を社内に留めることなく、社外に発信することが AI やエンジニアリングを取り巻くエコシステムにおいて重要だと考えています。
そのため、Kepple Tech Blog の Publication では今後も引き続き AI / AX に対する知見を共有していきます。 X でも発信していきますので、ぜひフォローよろしくお願いいたします!
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