NeovimでDenoを開発するときにめっちゃ効率上げるコマンドを作った
追記ここから
本記事の内容はNeovim専用です。
以下の記事で紹介しているものは、エディタを問わず、便利な機能が追加されています。
今後はこちらをご利用ください。
追記ここまで
最近、いろいろとDenoで開発しています。
以下のような制作物をZennで紹介しています。
- Deno Deploy専用のSSG Diplodocus
- DenoでGitHubの草を取得できる github-contributions-api
- Deno Deployに自己紹介ページを作れる Denote
- DenoでHTMLタグを書ける markup-tag
- Deno Deployで使えるログモジュール tl-log
開発を続けていくうち、サンプルやテストを書いて、確認のために手動で何度も実行するのが億劫になってきました。
そんな中、こちらの記事にインスパイアされ、変更を自動検出して確認できる環境があると良いなと認識しました。
ということで、NeovimでDenoを自動実行するコマンドを作ったので紹介します。
NeovimでDenoを自動実行するコマンド
こちらがDenoRun
コマンドです。
上記をinit.vim
に保存してください。
旧バージョン
最初はDenoRun
コマンドからDnoTerm
関数を呼び出す形で作っていました。
function! s:DenoTerm() abort
let l:filename = expand('%:p')
let l:cmd = l:filename =~ '\(\.\|_\)\?test\.\(ts\|tsx\|js\|mjs\|jsx\)$'
\ ? 'test' : 'run'
only | echo '' | split | wincmd j | resize 12 |
\ execute 'terminal deno ' . l:cmd .
\ ' -A --no-check --unstable --watch ' . l:filename |
\ stopinsert | execute 'normal! G' |
\ set bufhidden=wipe | wincmd k
endfun
command! -bang DenoRun call s:DenoTerm()
現行版とは以下の点が異なります。
-
only
の出力を消すためにecho ''
を使用していた - 正規表現の判断がDenoと異なるものがあった
- Denoは
atest.ts
のようにtest
の前にアルファベットが来るものをテストとみなさないが、この正規表現はテストと判断してしまう - こういうファイルを使う場合があるかは不明
- Denoは
- ウィンドウ分割に
split | wincmd j | resize 12
と3コマンド使っていた
動作
:DenoRun
を実行すると、画面が上下に2分割され、下側の画面がターミナルとなります。このターミナル内で現在のファイルに対しdeno run
が実行されます。
--watch
オプションにより、ファイルの保存で自動的にdeno run
が再実行されるため、開発に集中できます。
また、テストファイルで実行すると、deno run
ではなくdeno test
が走ります。
解説
以下は既にNeovimスクリプトに詳しい方、Denoの実行に関することだけ知りたい方には不要な内容だと思いますが、関数の中身を知りたい方は一読していただくと調整などしやすくなるかと思います。
複数のコマンドを順次実行しているだけなので、各々について解説します。
silent only
複数のウィンドウが開いている場合に、現在フォーカスのあたっているウィンドウ以外を全て閉じます。
これがなくても動作するのですが、:DenoRun
を複数回実行したときにターミナルがいくつも開いてしまうのを防ぐため、前処理として呼び出しています。
また、silent
は本質に関わらないのですが、ウィンドウが一つしかないときに単にonly
を実行すると「既にウィンドウは1つしかありません」という警告メッセージがされて煩わしいので、silent
を使うことでこれを除去しています。
botright 12 split
現在のウィンドウの下側に、高さ12行のウィンドウを新しく開きます[1]。「日」みたいな状態になりますね。
適切な行数は画面解像度などによって変わると思うので、好みによって調整してください。
execute 'terminal deno ' . (expand('%:t') =~ '^(.*[._])?test.(ts|tsx|js|mjs|jsx)$' ? 'test' : 'run') . ' -A --no-check --unstable --watch ' . expand('%:p')
メインの処理です。下側のウィンドウでターミナルを開き、そこでdeno [run or test] -A --no-check --unstable --watch [現在のファイル名]
を実行します。
(expand('%:t') =~ '^\(.*[._]\)\?test\.\(ts\|tsx\|js\|mjs\|jsx\)$' ? 'test' : 'run')
は現在のファイル名がDenoのテストファイル形式に該当するかを正規表現で調べ、テストファイルならtest
に、そうでなければrun
になります。エスケープだらけなのはVimの正規表現の仕様です。
最後のexpand('%:p')
は現在のファイルのフルパスになります。
execute 'terminal ...'
ではなくtermopen()
でも動作可能です。
開発で使うことを想定しているため全ての権限を許可した状態でdeno run
していますが、外部のスクリプトを開いて実行する場合はご注意ください。
stopinsert
ターミナルモードから抜けます。
公式ヘルプにある以下の設定がされていると、ターミナルに入った時点でターミナルモードになっているため、stopinsert
してモードを切り替えます。
autocmd TermOpen * startinsert
初めからノーマルモードの場合はそのままです。
execute 'normal! G'
G
でターミナルバッファの末尾に移動します。
これをしないと結果が更新されても画面が追従スクロールしていかないためです。
一つ前のstopinsert
でノーマルモードになっているので、execute 'normal! G'
ではなく$
でも動作可能です。
set bufhidden=wipe
ターミナルバッファのbufhidden
設定を変更します。
デフォルトはhide
なのですが、このままだと前述のonly
などでバッファを非表示にした際にターミナルがバックグラウンドで残り続けてしまうため、wipe
を設定して非表示とともに削除するようにします。
独立したコマンドとして実行するのではなく、split
の+cmd
オプションに渡してもOKです。
execute 'autocmd BufEnter <buffer> if winnr("$") == 1 | quit! | endif'
バッファローカルな自動コマンドを定義します。
意味は、「このバッファに入ったときにウィンドウ数が1なら終了する」です。
Vimを終了しようとしてエディタ側を閉じたときに、ターミナルだけが残りつづけてしまうのを防ぐための設定です。
Vista.vimのissueに出ていたhookを参考にしました。
wincmd k
フォーカスを上側のウィンドウに移動します。つまり、元のエディタ側に戻ります。
結果として、エディタ側はそのままで、下画面でファイル保存監視中のターミナルが立ち上がっている状態が出来上がります。
おわりに
動作確認が非常に楽になりました。今まで手動で再実行していたのが信じられません…。
これを使ってDenoの開発を加速させていければと思っています。
Neovimを使っている方はお試しください[2]。
また、もっと良いやり方がありましたらコメントいただけると幸いです。
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