開発の現場に「WinWinコミュニケーション」が増えると、仕事が楽しくなる

公開:2021/02/20
更新:2021/02/22
6 min読了の目安(約5500字IDEAアイデア記事

伝え方を変えるだけで、これだけ変わる

先日、以下のツイートをしました。

https://twitter.com/kara_mage/status/1362705182778265606?s=20

上記のやりとりは、実際の開発の現場であったコミュニケーションを元に書いています。

Badコミュニケーション

現実の私たちは、下記のようなBadコミュニケーションを取ってしまうこともあるのではないでしょうか。

×「Hogeがないから、このコードはダメだ。却下」
→ ワイのモチベダウン

わたしは、このようなコードレビューが苦手で、怖いです。
レビューのコメントってどうしても冷たくみえてしまうし、自分が傷つけられてる感じがするからです。
その結果、どうしても前向きに作業に取り組むことができなくなってしまいます。
気分が落ちたことで、さらにうっかりミスをしたりして、再度レビューで詰められたこともあります。

WinWinコミュニケーション

一方で、以下のやりとりが、WinWinコミュニケーションです。

〇「作業ありがとうございます。いいですね、Hogeがあれば完璧ですね」
→ お、たしかに。見落としてた。ナイス指摘👍

この場合、お互いに良い気持ちで、次の作業にすすむことができます。
気持ちが前向きなので、仕事の品質や生産性が上がることは間違いないでしょう。

WinWinコミュニケーションとは、コミュニケーションを取ることによって、双方が得をし相乗効果を得られるコミュニケーションのことです。

WinWinコミュニケーションは、開発の現場だけではなく、日常のあらゆるところで使える汎用的な考え方です。知っておいて損はないです。
実践できると仕事が楽しくなりますし、周りの人も幸せにできます。

この記事が読まれることによって、日本の開発の現場で少しでもWinWinコミュニケーションが増えると嬉しいです。

戦いになった時点でBadコミュニケーション

×「Hogeがないから、このコードはダメだ。却下」
→ ワイのモチベダウン

このコミュニケーションの何がBadかというと、「Win(レビュワー) - Lose(レビュイー)」 の関係になっていることです。
レビュアーは問題点を見つけて、それを指摘し仕事を遂行できて良い気分です。
なんなら自分の技術力を見せつけることができてマウントがとれたので鼻高々な気持ちも少しはあるでしょう。
しかし、問題を指摘されたレビュイーは、自分に落ち度があったとはいえ、不満をおぼえます。
少なからず自尊心を傷つけられ、人格を否定されたようにさえ感じてしまいます。

こうなると、長期的にみて双方が損をしている状況になります。

レビュワーは問題点を指摘して勝った気になっていますが、長期的にみるとレビュイーの恨みを買い、信頼や人望を失って損をしています。
つまり、「Lose-Lose」 の関係になってしまいます。

戦いが発生して、勝者と敗者を生み出した時点で、「Lose-Lose」 なのです。

孫子に学ぶ、兵法の最善策は「戦わない」こと

なぜ戦いが発生してしまうかというと、仕事が忙しいと視野が狭くなり、自分しか見えてない状態になりがちだからです。
人間、どうしても利己的になって、自分が勝つことを優先してしまいます。
毎日の仕事をこなしていくなかで、いっぱいいっぱいになってしまい相手の利益のことまで考える余裕がないのです。わかります。仕事が忙しくなればなるほど、他者を思いやる余裕がなくなっていくんですよね。
そんなときにBadコミュニケーションを選択してしまうと、周りとの関係性を悪化させ、忙しい仕事がさらに忙しくなるという悪循環を生み出してしまいます。思いやりがなくなった現場は悲惨 です。お互いが疑心暗鬼になって、出社するのがつらくなります。こうなると仕事の品質や生産性は地に落ちるのではないでしょうか。

かの 「孫子の兵法」を要約すると以下のようなことが書いてあります。

  • 戦争はするな。 敵を味方に変えるのが最もよい。

孫子も言うように、兵法の最善策は、「戦いをしない」ことなのです。

もう一つ重要なこととして、「敵がいるのなら、味方に変えることはできないか」 考えることです。

意見が対立した際、「敵を味方に変える」

実際の開発の現場で、意見が対立することは、避けられません。
どんな現場でも、一定の確率で意見の対立が起こると思っています。

例えば、こんな意見が出たとします。

  • A「プロダクトの品質を上げるためにはテストコードを書くことが重要だ」
  • B「いや、テストコードを書いてたら、納期に間に合わなくなる。テストはなしで」

Aさんの意見も、Bさんの意見も、どちらも正解だし、不正解だということです。

ここで、重要なのは、A,Bどちらの意見を選択するかではなく、どちらの意見も考慮したWinWinな状態に持っていけるかが重要なのです。

0-100で物事を考えるのではなく、折衷案を探るのです。

ここで、Aさんが次のようことを言い出すと、争いが生まれます。

  • A「テストを書かないなんて正気ですか!? テストファーストじゃないなんて、今どきありえないですよ。○○さんを前にして、同じこと言えますか」

Aさんは、つどつどとテストを書く素晴らしさ、テストを書かないという愚かしさを語って満足して良い気分になりますが、Bさんは不満をおぼえます。
AさんとBさんは敵対関係になってしまい、今後の仕事に悪影響を及ぼすでしょう。
時限爆弾のスイッチが押され、いつの日か爆発する可能性が高まります。

意見が対立した結果、「Win-Lose」の関係になってしまいます。

一方で、下記の場合はどうでしょうか。

  • A「たしかに今のスケジュールだと厳しいですね、初期リリースまではQAの人にも協力してもらって手動テストで乗り切りましょう。でも、その後からはテストコードを必ず書くというルールでお願いします。スケジュールもテストコードを書く分を含めて見積もってください」

これならば、Bさんの意見も尊重され、WinWinな関係性で対立関係を避けられたのではないでしょうか。

相手が争いをしかけてくる人だったらどうするか?

先の例を、Bさんの視点から見てみます。

Bさんは、リリースまで余裕のない状況で、テストコードを書くことに時間を割くことに対して、コスパが悪いと思っています。

そのとき、Aさんからテストコードを書かないことに対して、叱責を受けたとします。

  • A「テストを書かないなんて正気ですか!? テストファーストじゃないなんて、今どきありえないですよ。○○さんを前にして、同じこと言えますか」

ここで、Bさんがキレ気味に言い返してしまうと事態は最悪の状況になります。

逆境の状態をグッとこらえて、形勢逆転のWinWinな状況にもっていくことはできないでしょうか。

このとき有効なのが、善意の先制攻撃です。

善意の先制攻撃 (返報性の法則)を使う

善意の先制攻撃とは、相手の意見に好意や同意を示すことを真っ先に言うことです。

B「Aさんのいうことはもっともですね。テストを書くことは確かに今後の品質を担保するためにもとても必要なことです」

A「うんうん(…なんだ、この人ちゃんとわかってるじゃないか)」

B「でも、スケジュール的にけっこう余裕がないんですよね・・・どうしたものか」

A「たしかに今のスケジュールだと厳しいですね、初期リリースまではQAの人にも協力してもらって手動テストで乗り切りましょう。でも、その後からはテストコードを必ず書くというルールでお願いします。スケジュールもテストコードを書く分を含めて見積もってください」

Aさんは、戦闘状態に踏み出そうとしてましたが、善意を向けられて戦う気を失い、さらに妥協点を提案してくれました。

これは 「返報性の法則」 を使った例です。

返報性の法則は、相手から受けた好意などに対し「お返し」をしたいと感じる心理のことを言います。
たとえば、同僚に「その意見、いいね!」と言われたら、「あなたの意見もいいね!」と思うでしょう。

逆に、嫌なことをされたら、仕返しをしたい気持ちになることも返報性の法則です。

善意の先制攻撃を使えば、9割ぐらいは善意が返ってきます。

しかし、敵意の先制攻撃を行うと、99%敵意が返ってくると思ったほうがよいです。

ですので、善意を差し出すのを自分から行うことができれば、基本、無敵です。(※敵がいなくなる意味)

だって、善意の先制攻撃アビリティは、スキル習得が用意で、無限に使えるコマンドだからです。
使えば使うほど得になります。こんなコスパの良いスキルは他にないのでガンガン使っていきましょうよ。

WinWinを意識すれば、仕事がうまくいく

いかがでしたでしょうか。

開発の現場では、意見が対立するのは、日常茶飯事です。
しかしながら、WinWinを意識できていたなら、Badコミュニケーションはとらず、WinWinコミュニケーションを使ってお互いの得になるような関係性を選択できるはずです。

なぜなら、WinWin以外の選択は、結局、Lose-Loseの関係になってしまうからです。

このことを、意識しているか、意識していないかで、仕事がうまくいくかどうか変わるのではないでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献

  • 「7つの習慣」 第四の習慣:Win-Winを考える スティーブン・R.コヴィー博士著
  • 「孫子」
  • 無職やめ太郎さんのツイート

https://twitter.com/Yametaro1983/status/1362245814228148224?s=20

https://twitter.com/Yametaro1983/status/1362246219687333892?s=20

追記

この記事に対して、考えさせられるツイートをいただきましたので、追記させていただきます。

https://twitter.com/oukayuka/status/1363670793821974528?s=20
https://twitter.com/oukayuka/status/1363672150079533061?s=20
https://twitter.com/kara_mage/status/1363688600710225920?s=20

相手から感謝や好意の言葉があっても、どこか表面的に見えてわずらわしく感じる場面ってありますよね。
メールやチャットの冒頭の「お疲れさまです」に近い、マナーみたいに感じて「さっさと要件言えや、ゴラァ」って思うときもありますもん。
ですので、返報性の法則を小手先のテクニックとして使う際は、ご注意を。
気持ちがこもってないと、相手に見抜かれてしまいます。

また、感謝や好意に満ちた職場が一見すばらしいように見えますが、逆の視点で見るとお互いが仮面をかぶって本音をさらけだせない職場に見えることもまた事実だと思います。

「感謝や好意」を、ルール化されると息苦しいとさえ感じます。マナー警察化は嫌ですし。

ルールや義務にするのではなく、自らの意思でお互いの得になる関係性を探っていければいいなと思っています。