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組織開発:チームで成果をあげるために必要なこと

2024/02/04に公開

はじめに

先日IT協会からIT優秀賞という光栄ある賞を受賞、また個人賞としてSuperSE100人衆に選出されました。これも、日々皆様のご協力あってのことだと思います。この場を借りて御礼申し上げます。その受賞記念の式典も含まれるプログラムの中で、元女子バレーボール選手でスポーツ解説者の大山加奈氏による特別講演「繋ぐ ~バレーボールが教えてくれたこと~」を視聴する機会がありました。本公演では、バレーボールを通じて、チームの本質とはなにか、チームとしての活動するにあたって大切なことについて語られていました。本稿では、その公演を通じてチームとは何かという点について、エンジニアでもマネジメントそれぞれの視点で、様々な学びがありそうでしたので、記事にまとめていきます。

目的と目標の達成のために必要な「共働力」

バレーボールは究極の繋ぐスポーツである。相手に攻撃を仕掛けるときに、連続して一人でボールを触ることは許されておらず、必ず誰かにボールを託す、あるいは託してもらわなければならない。そのため、チームメンバーとの連携が不可欠である。チームのメンバーが共通した目的・目標の達成に向け対等の立場で協力して共に働いている状態を実現するためには、チームの中で他人に共感し共同で成果をあげる、いわゆる「共働力」を個々が高めていく必要がある。

「共働力」を高めるために意識すること

「共働力」を高めるには、大きく分けてチームの本質、つまりチームとは何かを理解すること、個々人の個性の違いを力にすることを意識する必要がある。

チームの本質とは何か

チームは日本語で言うと組織、集団、団体という言葉で表現されるが、それらを英語に直すと、チームという単語にはならない。つまりチームという言葉に対する人々の認識も人それぞれである。ハーバードビジネスレビューによれば、チームとは共通の目的、達成すべき目標、そのためのアプローチを共有されていて、連帯責任を果たせる補完的なスキルを備えた少人数の集合体であるとも言われている。アプローチまで共有されていなければそれはチームという状態になれていないということである。

個々人の個性の違いを認め、力に変える

強いチームには個々の能力が高い人材が多数所属しているケースもあり、例えばバレーボールでは、全日本のメンバーは実業団の各チームから選抜された個性の強いメンバーの寄せ集めである。目標や目的が同じであってもアプローチの途中で対立することがある。何を目指し、何を大切にし、どう近づこうとしているかは個々がもつバックグラウンドと経験によって違う。誰かと対立している、と感じる場合は相手もそう感じていると考える方が自然だ。そのため、自分の中の常識を疑い、他者の意見を受け入れ、その違いをチームの力に変えようとする努力が大事となる。

自分の常識を疑う

違いを認め、他者の意見を受け入れるのは簡単なことではないが、まずは自分の中の常識を疑い、他者の意見を受け入れることから始める必要がある。常識的にこうである、こうあるべきだという考え方は非常に危険であり、縛られてはいけない。自分と違う考え方と対立し、排除してもチームは一定の成果を上げることはできるかもしれないが、その閉塞感からいずれ持続的な成長が止まってしまう可能性がある。その具体例として公演では、高校で全国大会優勝は果たすものの、その予選の東京都大会は1位通過できなか時の話が挙げられた。全国1位を狙っているので、東京都大会は1位で予選通過は当然、勝つために厳しい練習をするのは当然、負けた自分たちには何が足りなかったのか、弱みを徹底的に克服して当然、とにかくキャプテンとしてしっかりしなければという思いでチームを引っ張ろうとした。そこへ、後に全日本で共にプレーすることになる荒木選手が、負けたことをいつまでもこだわって反省ばかりしていても次には進めない、負けたことを悔やむのではなく、切り替えて未来を向いて活動すべきとチームに訴えかけた。その際に大山加奈氏は小学校のころからチームのキャプテンで常に全国の大会でも優勝、バレーボールでは輝かしい経歴を歩んできたこともあって、無名だった荒木選手の意見をどうしても認めることができなかったという。対立と対話の結果、ただ、それは荒木選手もそれをわかった上であえて言ってくれた一言だったとのことで、逆に荒木選手の言葉を受け入れて活動したことによって、チームのメンバーも肩の力が抜け、のびのびとプレーすることが出きるようになり、結果として全国大会で優勝することができた。この例からも、自分の過去の経験からくる常識にとらわれる事がいかに危険であるか、時にはそれがチームの成長と未来を大きく左右することがわかる。

褒めるよりも認めること

少しマネジメントの方に話が移るが、大山加奈氏は、チームの監督はチームのメンバーに対してほめるのではなく、客観的な事実を伝えることが重要であると述べていました。ほめるという評価をするのではなく、できていることに対しては客観的な事実を伝えることが重要であると。事実に対する共通認識を通じて、人は認めてもらえているという安心感につながる。褒められるために行動するような状態になってしまうよりは、客観的な事実を伝える、その人のできていることを認めることが重要である、これには共感する面も多分にある。

借りた力も自分の力

チームで活動してるにもかかわらず、その人の責任感が強ければ強いほど、自身の力不足を感じるものである。しかし、メンバーとの関係性によって得られる力は個人の力だけのものとは異なり、得られる結果や成果も大きく異なる。チームで活動している以上、他者から力を借りられる関係を構築できている、もしくは他者の個性と協調し、自分力と併せてチームとして成果を出せるということは、それもまた自分の力である。人から力を借りられること自体も、自分の力であることを認識し、当事者意識と責任感を持ち、チームとしてのアウトプットを最大化していくことも意識していかなければならない。

まとめ

本公演を通して、チームとして活動していることの本質を改めて意識していく必要があると感じた。「共働力」を高めていくには、個々人の個性の違いを認め、力に変えることが求められる。これcは1on1、チームミーティング、コードレビューなどあらゆるシーンで有効である。自分の常識を疑い、他者の意見を受け入れる、これは時にはとても難しいことではあるが、実践していきたい。また他人から力を借りられることも、自分の力であると意識し、チームとしてのアウトプットを最大化していきたい。

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