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『The Advantage ― なぜあの会社はブレないのか?』をわかりやすく

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はじめに

組織開発とは、組織や組織間の問題にアプローチし、組織をよりよくしていく取り組みのことを指します。今後ますます価値観が多様化し、仕事に対する向き合い方、就業形態の違い、役割や権限も多様化してきています。組織内の人や部門間のつながりを強化し、活性化するための組織開発が注目され、企業の大小とわず多くの取り組みがなされています。エンジニア組織のマネジメントも踏まえつつ、企業を強くする組織開発についてとある書籍のまとめを書いてみたいと思います。
ちなみに、日本語訳は絶版になっておりますが、英語版はAmazonなどから購入可能です。

『The Advantage ― なぜあの会社はブレないのか?』要約

📘 概要

著者:パトリック・レンシオーニ
主張:「組織の健康(Organizational Health)」こそが、持続可能な競争優位性を生む最大の源泉である

「戦略や技術」などの“賢さ”よりも、「信頼・明確性・一貫性・説明責任」などの“健全性”が、組織のパフォーマンスを根本から左右する。


🧭 健康な組織をつくる4ステップ

  1. リーダーチームの信頼関係を構築する

    • 心理的安全性を前提とした率直な対話を奨励
  2. 組織の明確性をつくる

    • ミッション、価値観、成功の定義などの整合性を明文化
  3. その明確性を全社に伝える

    • コミュニケーションを一貫させ、情報の“ノイズ”を排除
  4. 人事制度や仕組みと整合させる

    • 採用・評価・昇進基準に明確性を反映させる

🗂 会議体設計:4つのタイプ

会議タイプ 主な目的 頻度 時間 特徴
デイリーチェックイン 業務進捗のすり合わせ 毎日 5–10分 今日何をやるかを全員で共有
タクティカルミーティング 現場の課題解決 週1 45–90分 KPIベースの短期課題に集中、戦略議論は避ける
戦略ミーティング 中長期テーマの深掘り 月1または随時 数時間 優先度の高い戦略課題に1〜2個集中
四半期オフサイト チームの結束・健全性の見直し 四半期ごと 1–2日 信頼・ビジョン・行動様式を再確認

※ 目的の異なる議論(戦略×戦術)を1つの会議に混在させないことが重要。


🧹 リーダーシップの本質:

  • 組織の健康は「委任できない経営課題」であり、CEO自身が模範を示すべき領域である。
  • カルチャー・信頼構築・会議の質など、地味で泥臭い仕事こそ、リーダーの本業。
  • 高みの見物ではなく、現場と向き合う姿勢(=床掃除的マインド)が、信頼と一体感を生む

📝 まとめメッセージ

優れた戦略や才能ある人材も、組織が不健康であれば機能しない。
経営者が先頭に立ち、健全な組織文化を設計・体現することが、企業を「ブレない存在」にする唯一の道である。

おわりに

概ね本書籍に書かれていることを意識している企業は日本の中にも多いのではないかと感じた。
一方で、わかっていることを組織運営に反映できなきず悩み続けるのはなぜなのか、最終的には経営トップの強い意志が最も重要であると思う。

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