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【リ・スキリング講座の分析シリーズ③】 通学形態の講座と通信/eラーニング講座とのコスト/パフォーマンス比較

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はじめに

これまで、「リ・スキリング講座の分析シリーズ」と銘打ち、厚生労働省が教育訓練給付金制度の給付対象講座として指定しているリ・スキリング講座に関するスクレイピングデータを用いて、通学形態のリ・スキリング講座におけるコストパフォーマンスを記述的分析で分析、可視化しました。

第1弾記事はこちら。
https://zenn.dev/ka_ichi/articles/9e3e7f068768e6

第2弾記事はこちら。
https://zenn.dev/ka_ichi/articles/c6a268ee2261ff

しかし、これまでの記事で用いたデータは通学形態の講座に関する情報に限ったもので、自宅から講座受講が可能な通信およびeラーニング講座は考慮していませんでした。しかし、コロナ禍におけるICT環境の整備、浸透が進んだことなどにより、現在はリ・スキリング実施手段のうちeラーニングを活用している方が多くなっています。実際に令和5年度「能力開発基本調査」によると、正社員、非正社員共に、自己啓発の実施方法について「eラーニング(インターネット)による学習」を挙げる人が最も多い(正社員では43.6%,非正社員では41.2%)結果となっています(重複回答を許している)。令和元年の調査では「ラジオ、テレビ、専門書等による 自学、自習」を挙げる人の方が多かったことからも、リ・スキリングにおけるeラーニングの近年の人気が感じられます。

通信とeラーニングは厳密には異なりますが、教育訓練給付金の対象講座のうち両方の要素を持った講座が多々見られることや、両者とも通学を要しないという点で類似した性格があると観察できます。また労働者、とりわけ就業者のリ・スキリングを考えると、労働時間外に学習の時間を設けるのはそれだけでも大変なことであることは想像に難くないと思います。こうした状況のもと、受講に通学が必要となると余計に時間や労力を負担しなければならなくなるため、やはり通学形態の講座と通信やeラーニングで受講できる講座とは様々な側面で違いがみられるのではないかと思います。通信講座やeラーニング講座を通学形態の講座と比較することで、よりリアルなリ・スキリング受講の現状を理解することができるかと思います。

そこで今回はこれまでと異なり、講座受講時に通学する必要のない通信およびeラーニングで受講できる講座データを分析し、通学形態の講座と比較しながら受講コストおよび受講によって得られる就業者/非就業者向けの効果の特徴を明らかにしていこうと思います。

前回の記事同様、本分析は記述的分析の枠を超えないことに留意いただく必要があります。観察データを用いている手前、あくまでも因果関係は観察できないことに留意いただきたいです。

教育訓練給付金制度とは

働く方々の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的とする[1]教育訓練給付金制度は、1998年に創設され、2011年の大きな制度改正を経て、近年は制度拡大の一途をたどっています。本制度では、雇用保険への加入期間などの条件を満たした人が厚生労働省が指定したリ・スキリング講座を受講した場合に、その費用の一部を補助するものです。2025年3月現在、給付金は以下のような3種類に分類されます。

  • 専門実践教育訓練給付金:受講費用の50%(年間上限40万円)
    • 資格取得等をし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合に受講費用の20%(年間上限16万円)が追加支給される
    • さらに訓練修了後の賃金が受講開始前より5%以上上昇した場合に受講費用の10%(年間上限8万円)が追加支給される
  • 特定一般教育訓練給付金:受講費用の40%(上限20万円)
    • さらに資格取得等をし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合に受講費用の10%(上限5万円)が追加支給される
  • 一般教育訓練給付金:受講費用の20%(上限10万円)

給付金制度の詳しい内容等については、厚生労働省のHPを参照いただきたいと思います。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html

これまでの分析記事において、通学形態の講座のコストおよびパフォーマンスの傾向について、以下のような特徴を観察できました。

コスト

  • 専門実践教育訓練の講座は、相対的に受講費用が高く、受講期間も長い傾向にある
  • 専門実践教育訓練は、月単位や時間単位で費用を換算すると、他のカテゴリーとの差が縮小し、むしろ「オトク」な講座も多く存在
  • 一般教育訓練と特定一般教育訓練は費用面で類似した分布だが、給付金の違いにより実質費用に差が生じている
  • 同一給付カテゴリー内でもサブカテゴリー間で受講費用や受講時間に大きな差がある

パフォーマンス

  • 一般教育訓練は就業者向け、専門実践教育訓練は非就業者向けの傾向が見られた。
  • 専門実践教育訓練では資格ごとに就業者向けの効果の特徴が異なり、一般教育訓練に比べて非就業者にとっての効果が相対的に高い傾向にあった。
  • サブカテゴリー間で効果の傾向に顕著な違いが観察された。

今回の記事はこれらの特徴の傾向を念頭に通信およびeラーニングの講座の相対的な特徴を見ていこうと思います。

通信/eラーニングの講座について

まず、通信/eラーニング形態の講座について、手元の集計に基づき、その分類と講座数を見ていこうと思います。

表1:サブカテゴリーの説明

カテゴリーid 給付カテゴリー サブカテゴリー 通学形態の件数 通信/eラーニングの件数
1 専門実践 業務独占資格・名称独占資格を目指す養成施設行われる訓練 1,296 531 専門学校、短期大学での介護福祉科、栄養士科 など
2 専門実践 職業実践専門課程 714 9 専門学校におけるビジネス学科、IT学科 など
3 専門実践 キャリア形成促進プログラム 8 0 -
4 専門実践 職業実践力育成プログラム 151 71 大学や大学院等による教育、保健等の正規、特別の課程
5 専門実践 専門職大学、専門職短期大学、大学及び短期大学における専門職学科の課程 2 0 -
6 専門実践 専門職大学院 80 0 ビジネス・MOT/法科大学院 など
7 専門実践 高度情報通信技術関係資格 4 2 シスコ技術者認定 など
8 専門実践 第四次産業革命スキル習得講座認定制度 64 185 AIエンジニア育成講座/データサイエンティスト養成コース など
9 特定一般 業務独占資格、名称独占資格若しくは必置資格に係るいわゆる養成課程等又はこれらの資格の取得を訓練目標とする課程 516 286 大型自動車第一種免許/けん引免許/税理士 など
10 特定一般 情報通信技術に関する資格のうちITSSレベル2以上の情報通信技術に関する資格取得を目標とする課程 4 1 情報処理技術者試験 など
11 特定一般 短時間のキャリア形成促進プログラム及び職業実践力育成プログラム 32 14 -
12 一般 情報関係 221 20 ITパスポート など
13 一般 事務関係 316 79 簿記検定試験/ドイツ語技能検定試験/TOEIC など
14 一般 専門的サービス関係 346 220 公認会計士/FP技能検定試験 など
15 一般 営業・販売・サービス関係 127 52 インテリアコーディネーター/美容師国家試験 など
16 一般 社会福祉・保健衛生関係 242 1680 介護福祉士/きゅう師/看護師 など
17 一般 自動車免許・技能講習関係 7,765 0 大型自動車第一種免許/けん引免許/フォークリフト運転技能講習 など
18 一般 技術関係 177 107 危険物取扱者/建築士/自動車整備士 など
19 一般 製造関係 13 7 製菓衛生師/技能検定試験 パン製造 など
20 一般 その他 679 38 修士・博士/科目等履修生 など

上記の表は、手元の集計で分類が行われた通信/eラーニング講座全3302件のサブカテゴリー分類を表しています。

このうち、一般教育訓練のうちサブカテゴリーid = 16(社会福祉・保健衛生関係)に関しては、通学形態の講座の7倍以上が指定されており、さらに通信/eラーニング講座全体の半数以上がこのサブカテゴリーに含まれることが分かります。また、専門実践教育訓練のサブカテゴリーid = 8(第四次産業革命スキル習得講座認定制度)以外のサブカテゴリーに関しては、通学形態の講座の方が通信/eラーニングの講座よりも多いことが分かります。

続いて、コストの比較に移ります。

コストの比較


図1:講座ごとの費用と受講者における就業者が占める割合を表す散布図

図1は、講座ごとの実施形態と補助金の種類、および講座ごとの費用と受講者に占める就業者の割合(2021年のデータ)を示す散布図です。なおデータの代表性担保の観点から、2021年の実績において受講者が11人以上の講座に絞ってプロットしています。

これまでの記事において、通学形態の講座に絞った散布図では、一般教育訓練は相対的に受講費用が小さい講座が多い一方、本制度において給付費用の大きい専門実践教育訓練は相対的に受講費用が大きい講座が多いという傾向を見ることができました。また、一般教育訓練は在職者の多い講座が比較的多く、専門実践教育訓練は就業していない人が多く受けている講座が相対的に多いということも特徴のひとつとなっていました。

通信/eラーニングの講座をみると、通学形態の講座のこうした傾向との類似点および相違点を確認することができます。

まず、特定一般教育訓練一般教育訓練就業者割合に関しては通学形態の講座と類似した分布となっていることが分かります。両者の通信/eラーニング講座の就業者割合の平均は0.9 (90%)前後で中央値は1 (100%)となっていますが、通学形態の講座に関しても平均がそれぞれ0.81, 0.86, 中央値が0.94, 0.98とかなり近い値となっています。

一方で通信/eラーニングの講座に関しては、通学形態の講座と異なる傾向を確認することができます。
まず目立った相違点として、専門実践教育訓練の就業者割合が挙げられます。前述のとおり、通学形態の講座に関しては、全受講者が非就業者である講座が半数以上を占めるなど、就業者比率が小さい講座が比較的多いことが特徴となっています。一方で通信/eラーニングの専門実践教育訓練講座に関しては、就業者比率の平均が0.91となっていて、散布図からも就業者比率が大きい講座が多いことが分かります。専門実践教育訓練はコストが大きいことが通学形態の講座における傾向として挙げられていましたが、通学が必要ない通信/eラーニングに関しては、中長期的なキャリアアップを目的とした講座が多い専門実践教育訓練でさえも就業者が受講者の多くを占める講座が多い結果となっています。

因果関係は断言できませんが、通学が必要ないという点が就業者の受講確率を引き上げている可能性があります。一方で、逆に、通信/eラーニングの講座に関しては就業者が働きながらでも受講しやすいようなコンテンツが設計されていたり、そもそも就業者が受講しやすいような資格が目標として設定されているという可能性もあります。表1からわかるように、通学形態の講座と通信/eラーニングの講座とでサブカテゴリーごとの件数および全講座数におけるサブカテゴリーごとの件数割合がかなり異なっていることが分かるため、通学の有無によって講座の内容のすみわけがある程度起こっているという説明は可能性として否定できないと思います。

また、受講費用に関しても、通信/eラーニングの講座の方が比較的にリーズナブルな講座が多いことも分かります。特に専門実践教育訓練に関してはこの傾向が顕著で、さらに費用額のばらつきも通学形態の講座と比べて小さいことが分かります。

これまでは受講の費用面を比較検討しましたが、受講に必要な期間に関しても上記のような特徴がみられるのでしょうか。


図2:講座ごとの費用と受講期間(か月)に関する散布図
この受講費用と受講期間の関係を示す散布図からも、通学形態と通信/eラーニングの講座との間の異なる特徴を観察することができます。

通学形態の講座に関しては、受講期間が長い講座が多いことが専門実践教育訓練の特徴でした。通信/eラーニングに関しては、他の訓練カテゴリーに比べて訓練期間が平均値、中央値でも大きいことは同様ですが、通学形態に比べて平均値も標準偏差も小さいことが示されています。一方で一般教育訓練と特定一般教育訓練に関しては通信/eラーニングの方が受講期間の平均値が大きく、標準偏差も大きくバラツキが大きいことが分かります。

この点から、一般教育訓練や特定一般教育訓練に関しては、通信/eラーニングの講座の方が時間をかけて受講する講座が相対的に多いことが推測できます。一方で専門実践教育訓練に関して、もちろん他のカテゴリーに比べた場合には受講期間が長い講座が多いものの、通信/eラーニングの方が受講期間が相対的に短い講座が多いことは、平均値が約10か月、中央値が約6ヶ月であることから、2,3年をかけて受講するというスタイルが通信/eラーニングとなじまないことに起因しているのではないかと邪推します。

続いて、前回の記事で導入した指標を用いて、労働市場における受講修了の効果を通学形態と通信/eラーニングとで比較しようと思います。

パフォーマンスの比較

就業者向けの効果の比較

前回の記事では、就業中に受講している受講者のうち、講座受講が「処遇の向上(昇進、昇格、資格手当等)に役立つ」、「配置転換等により希望の業務に従事できる」、「社内外の評価が高まる」、「円滑な転職に役立つ」のいずれかに当てはまると答えた人数の割合を「キャリア向上率」として指標化し、カテゴリーやサブカテゴリーごとの特徴を可視化しました。そのほかの選択肢には「趣味・教養に役立つ」、「その他の効果」、「特に効果はない」があることから、上記の4つの選択肢を選択する人の人数の割合が、受講によって労働市場における分かりやすい効果がどれくらい得られるかを表す簡単な指標となり得ると考えれています。

また、非就業者の受講者のうち、講座受講が「早期に就職できる」、「希望の職種・業界で就職できる」あるいは「より良い条件(賃金等)で就職できる」と答えた人数の割合を「非就業者キャリア促進率」と銘打って指標化しました。

前回の記事では、一般教育訓練の方が相対的にキャリア向上率が大きい講座が大きく、専門実践教育訓練の方が相対的に非就業者キャリア促進率が大きい講座が大きいことを示しました。また、専門実践教育訓練の専門職大学院の講座は非就業者キャリア促進率が高い講座の割合が大きい一方、一般教育訓練の語学関連の講座は非就業者キャリア促進率が低い傾向にあることを示唆しています。

こうした通学形態における傾向を踏まえて、通信/eラーニング形態の講座のパフォーマンスに関する傾向や特徴を見ていこうと思います。


図3:補助金カテゴリーと通学、通信/eラーニング別のキャリア向上率の箱ひげ図

表2:補助金カテゴリーと通学、通信/eラーニング別のキャリア向上率の記述統計量表

上記の図は、補助金カテゴリーと実施形態別のキャリア向上率の箱ひげ図です。また下の表は、記述統計量を表したものとなっています。記述統計量の"subsidy_type"列は補助金カテゴリーを格納する列で、"blue"は一般教育訓練、"green"は特定一般教育訓練、"pink"は専門実践教育訓練を表しています。また"commute_flag"列は講座の実施形態を表すダミー変数であり、1ならば通学、0ならば通信/eラーニングとなっている。なお箱ひげ図、記述統計量表ともに、代表性の観点から、2021年の就業中の受講者が11人以上の講座に絞っています。

キャリア向上率の平均値をみると、通信/eラーニング形態においても一般教育訓練が一番大きく専門実践が一番小さいという傾向は通学形態とは変わりませんが、その差が小さいことが分かります。この点を踏まえると、通信/eラーニング形態の講座に関しては、通学形態のように明確に「一般教育訓練は相対的に就業者向け」という傾向は見られないといえると思います。これは、通信/eラーニング形態に関しては通学形態の講座と異なり、専門実践教育訓練でも就業者が多く受講している講座が多いという点と一貫しているように感じられます。

またどの補助金カテゴリーを見ても、通信/eラーニング形態の講座の方がキャリア向上率の平均が高く、標準偏差が小さいことが分かります。箱ひげ図を見ても通信/eラーニングの方が四分位範囲が小さく、同一補助金カテゴリー内の講座間のキャリア向上率のばらつきが小さいことが理解できます。

さらに箱ひげ図を観察すると、特定一般教育訓練および専門実践教育訓練に関しては通信/eラーニングの方が第1四分位数、第3四分位数ともに大きい分布となっています。他方、一般教育訓練に関してはかなり類似した分布となっていますが、通信/eラーニングに関しては通学形態の箱ひげ図に見られた下方の外れ値が少ないことが分かります。

上記の観察で述べたように、通信/eラーニング形態の講座に関しては、「一般教育訓練は相対的に就業者向け」という傾向が通学形態の講座ほどはっきりとは見られないことが分かります。

非就業者向けの効果の比較

続いて、非就業者の受講効果に関する通学形態と通信/eラーニング形態との比較を、「非就業者キャリア促進率」を用いて行います。


図4:補助金カテゴリーと通学、通信/eラーニング別の非就業者キャリア促進率の箱ひげ図


表3:補助金カテゴリーと通学、通信/eラーニング別の非就業者キャリア促進率の記述統計量表

上の図は補助金カテゴリーおよび実施形態別の非就業者キャリア促進率の分布を箱ひげ図で表したものです。下の表は同様に記述統計量を表したものです。なお、代表性の担保のため、2021年の実績において非就業者が11人以上の講座にしぼって箱ひげ図を作成しています。

箱ひげ図から、通信/eラーニングの講座は、どの補助金カテゴリーにおいても中央値および第1,第3四分位数が通学形態よりも小さいことが分かります。この点から、講座受講に通学を必要としない通信/eラーニング形態は、非就業者向けの効果が相対的に低い講座が多いといえるのではないでしょうか。

また補助金カテゴリーごとに通学の有無を比較すると、一般教育訓練(subsidy_type="blue")と専門実践教育訓練(subsidy_type="pink")に関しては、通信/eラーニングの方が通学よりも非就業者キャリア促進率の中央値、平均値が10%ポイント以上低いことが分かります。

こうした観点から、通信/eラーニング講座は非就業者向けの講座が相対的に低い傾向にあり、非就業者が労働市場において成果を得るという観点から評価すると通学を要する講座の方が効果的な傾向にあるといえると思います。

まとめ

今回は教育訓練給付金制度の対象となっている講座のうち、通信/eラーニングで受講する講座について、その傾向や特徴を通学形態の講座と比較して明らかにしていきました。

コストやパフォーマンスの集計、可視化の結果、通学形態の講座と比較した際の通信/eラーニング講座の特徴について、以下の点が明らかになりました。

  • 中長期的なキャリアアップを目的とした講座が多い専門実践教育訓練でさえも、就業者が受講者の多くを占める講座が相対的に多い
  • 費用も相対的にリーズナブル(特に専門実践教育訓練)
  • 専門実践教育訓練は受講期間が相対的に短い傾向にある
  • 一般教育訓練、特定一般教育訓練は逆に受講期間の平均値が大きく、バラツキも大きい
  • 通学形態のように明確に「一般教育訓練は相対的に就業者向け」という傾向は見られない
  • どの補助金カテゴリーにおいても、非就業者向けの効果が相対的に低い傾向にある

通信/eラーニングは通学というコストを要しないため就業者のリ・スキリング受講にかかる障壁への対策として機能すると考えられ、実際にそうした講座の多くが就業者の受講者に占める割合が相対的に大きいものであることを確認しました。一方で、非就業者に速やかな就業を促したり希望の職種への就職を促すなどといった効果が相対的に小さいことが明らかになりました。リ・スキリング受講を検討する際には、通学を要しないことで省くことができるコストと、受講によって得られるスキルや労働市場における効果とを比較してみることが大事かもしれません。

参考文献

厚生労働省「教育訓練給付制度」
厚生労働省「教育訓練講座検索システム」
厚生労働省(2024)「令和5年度「能力開発基本調査」の結果を公表します」

脚注
  1. 厚生労働省より ↩︎

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