KDE neon
KDE neon
これまで何も考えずLinux Mintか Ubuntuばかりだったのでそろそろ最新のdistribution状況を探るべく、MX Linux、EndeavourOS、ElementaryOS、Zorin、Alma Linuxを試してきたけど、どれもあまりしっくりこなかった。
見た目は最新の感じでかっこよくても使い始めると使いにくかったり(Elementaryとか)、自由度が意外となかったり、といったものが多い感じ。MXとかは4Kのノートパソコンだとバランスが非常に悪かった。
もちろんLinuxなのだからすべての問題は調整して、ハックして、スクリプト書いて、とかで解決はできるのだけど。
その中で、KDE neonはUIなどがかなりしっかり作り込んであり、成熟していて、且つカスタマイズ性も高い。UbuntuにKDE Plasmaを被せたものらしい。XじゃなくてWayland。本家はこちら。
Distrowatchでもランキングが上昇しているらしい。使ってみたら、KDEってしばらく(年以上)使ってなかったのだけど、「こんなに進化してたんだ!」と驚いた。XfceやGnomeとかよりぜんぜんよいかも。GUIのバランスもよく、「KDEシステム設定」というのがとてもよくできていて、メニューの設定、ウィジェットや視覚エフェクトなどすべてにおいてデフォルトの状態で自由に自分の好みに合わせることができる。
ただしKDE neonは実際下記に
最新の技術を投入しているけれど、ドライバ関連で苦労したり、下記にある日本語入力で若干調整がいるけれど、デフォルトの仕様やデザインはよくできていて、ある程度使い始めのガイドがあれば割と実用で使いはじめることが可能。
というわけで、しばらく、自宅、仕事場、ノートのすべてでKDE neonを使ってみることにしたので、以下はそのときみつけたバグへの対策や設定などに関して、KDE neon自体と関係ない事も含めてのメモ。
OnlyOffice
OnlyOffice が最近はとてもよくできているので、これを入れることで、ほぼMicrosoft Officeはいらなくなり、Windowsフリーな生活を送れる。
メニュー --> システム --> Discover を開き検索すると、FlatPackとSnapが出てくるが、これらを入れると、こちらで議論されている問題が生じる(Snapでは確認したけどFlatPackはどうだか知らない)。症状は、symbolic linkを経由するパスが使えないというもの。symbolic linkを使わないという人には問題ない。
解決法として、OnlyOfficeは公式サイトからDEBダウンロードしてインストールすると、この問題は生じない。
Font
OnlyOfficeでWindows系の人々とファイルをやりとりするには、Windows Fontを入れておくと便利。
.pptxや.docxファイルがほぼ完全に、Windowsで開いたときと同じように見える。
また、私は好みで PlemolJPなどを入れている。
/usr/share/fonts/
に、上記フォントを入れて再起動されば認識される。
KDE neon 6.2での日本語入力の問題を解決
KDE neon 6.2はWaylandだけど、日本語関連で以下のような問題がある。
症状
- デフォルトではIBus+Mozcだけど、IM切り替えキーを Alt-Graveにすると、Terminator(ターミナルソフト)でそれを検知してくれない。多分他の切り替えでもそう。
- 多分同じ理由でデフォルトでは右下にWarningが出て、仮想キーボードをIBus Waylandにきちんと設定し、im_configで設定される環境変数などは無くせ、と文句を言われる。
- しかし、それをすると今度はgoogle chromeでまともに入力ができなくなる(どうやらgoogle chromeはim_configが設定する GTK_IM_METHOD 環境変数が必要)。
- google chromeの chrome://flags から Wayland text-input-v3 をenableにすると良いという記述がどこかにあったがそれもうまくいかない。
- IBusはIM切り替えがなんだかもさっとしていて、切り替え直後に入力してもまだ前のメソッドが動いていてそちらが機能してしまったりする。1秒待てばよいが、サクサクうてない。
対策
対策方針は fcitx5を導入、起動時のWarningに従いim_config はやめてwaylandの機能を使う。そしてgoogle-chromeに関しては起動スクリプトをいじることにした。
まず次でfcitx5導入
apt install fcitx5-mozc kde-config-fcitx5
次にim-config の設定をしないようにする。コマンドラインで、im-config を実行し、OK、YESと進み、
メニューにて "do not activate any IM from im-config and use desktop default"を選択してOKを押す。
Wayland非対応アプリのために、.profile もしくは .bash_profile に以下を追加。
export XMODIFIERS=@im=fcitx
KDEシステム設定 --> キーボード --> 仮想キーボード、と進み、"Fcitx 5" を選択する。
「適用」を押すと右下にキーボードのアイコンが出現して、fcitx5を使用できるようになる。
ただし、この時点でgoogle chromeだけうまく日本語が入力できない。
これを解決するには、/usr/bin/google-chrome をエディタで開き、以下の行をなるべく先頭に近いところに追加する。
export GTK_IM_MODULE=fcitx
このやり方だけ汚いので、なにか別の方法がいいかも。chromeをアップデートするとどうなるか。
以上で、再起動しても問題ない事を確認する。
fcitx5にしても起動時にibusの影響がある問題
fcitx5を入れて、そちらに切り替えても、kubuntuとかだと
apt purge ibus
をしないと、terminator やthunderbirdでうまく動かないことがあったので、注意。
Mozcのデフォルトがローマ字入力になるように調整
ここを参考にして、.config/mozc/ibus_config.textproto
のactive_on_launch:
をTrue
に変更。
RDP
これまでxfreerdpを使っていて、スクリプト類も揃っている。wayland ではこれが、freerdp の実行バイナリは wlfreerdp (freerdp2-waylandの場合)ないしwlfreerdp3 (freerdp3-wayland)となる。しかし、wlfreerdp3はSegmentation Faultで止まるし、wlfreerdpは実行中に画面がよく乱れる。どちらもまだ不完全のよう。
仕方ないのでRemminaに移行。GUIが用意されていて、ssh forwarding経由接続も問題なく設定できるので、問題なし。昔はRemminaは描画が遅かったりしたから使ってなかったけど、今はそれも解決していて、xfreerdpと遜色ない。
Remminaでのssh tunneling
Remminaは機能が豊富でGUIで設定ができて便利だが、ssh tunnelのやり方が若干よくわからないのでまとめておく。
よくネットでは
ssh -L 11111:windowshost:3389 gatewayserver
みたいなことと等価な設定はどうするのか、という質問が投げられているが、このやり方は ssh forwarding であって、Remminaが備えているssh tunnel とは方式が異なることに注意。
Remminaのssh tunnelは、上記例における gatewayserver にログインし、そのセッションを経由してwindowshostにつなぐ。forwardingのように、11111のようなポートは開かない、というか内部的にどうしているのかは知らないが、11111のような指定は必要ない。
ではどうするかというと、SSH Tunnelタブでは下記のようにする。
つまり、Enable SSH tunnelを押して、Custumサーバとしてgatewayserverを書く。
もちろん、gatewayserverが22番ポート以外を開いている場合はgatewayserver:2222みたいに書く。
いずれにせよ11111や3389の設定はここではいらない。
認証はこの例では.sshにあるプライベートキーを用いているが、パスワードを使っても問題ない。
そしてBasidタブでは下記のように接続先のServerにwindowshostを書く。
こちらのUsernameとPasswordはWindowsにログインする際のものを書く。
Remminaのみのスケーリングをキャンセル
高解像度モニタではKDE neon のディスプレイ設定で、スケールを120%とかにするとUIがちょうどよくスケールされて、これはこれで良いが、Remminaの中のリモートホストの画面もスケールされてしまい、且つきたなくスケーリングされてしまうので、Remminaのみそのスケーリングをオフにしたい。
ここにあるようにX11のときは
QT_SCALE_FACTOR=0.5 GDK_SCALE=0.5 application-name
のように調整できたらしいのだけど、Waylandではだめらしい。
こことかみながら、
GDK_BACKEND="x11" remmina
とすると、何故かはよくわからないけど、remminaはリモートの画面をスケールしなくなる。
Remminaは、KDE neonでインストールすると、ログイン時にアイコンモードで自動起動するように設定され、アイコンから各種サーバに接続できて便利だが、このアイコンモードで上記の環境変数を反映させながら起動するには、.config/autostart/remmina-applet.desktop
を編集して、Exec部分を以下のように書き換える。
Exec=env GDK_BACKEND=x11 remmina -i
ThunderbirdのAltキー問題と改行抑制
英語キーボードで、日本語・英語の切り替えをWindowsに合わせてAlt-Graveで行うように設定すると(多分Alt-なんとかだと全部同じ)、Altの押下でThunderbirdのメニューの出し入れが反応してしまう。メニューを常時オンとかにしても、Altを押すと「ファイル」が選択された状態になる。これでは入力切り替え時に常にサイドAltだけ押しなおさないといけなくて、非常にやっかい。これの解決方法は、Thunderbirdにて「設定」→「一般」→一番下に行き「設定エディタ」から、「ui.key.menuAccessKeyFocuses」という項目を探し、これを "false"にする。
ついでにメールを編集中に72文字で勝手に改行する問題は、同様に「mailnews.wraplength」を"0"に設定する。
input method切り替えの設定
Input Method 切り替えを Alt-Graveにしようとしても右ALTがISO_Level3_Shiftとかと認識されてしまう場合は、
.Xmodmap
に
keycode 108 = Super_R
と書く。keycodeはxevで調べられる。
参考