KDE neon で Fcitx5 + Mozc による日本語入力環境をセットアップする
KDE neon における日本語入力 (IME) のセットアップ方法がやや複雑なため解説します。
Linux 環境ではおなじみの Mozc (Google 日本語入力のオープンソース版) と、KDE で主流のインプットメソッドフレームワークである Fcitx 5 をセットアップします。
今回の設定環境は下記の通りです。KDE neon は Ubuntu の LTS をベースにしているものの、KDE 関連のソフトウェアに関してはローリングリリース (随時メジャーアップデートが入る) のため、時期によって UI が異なる可能性があります。本記事も不定期的に更新する予定です。
- 検証日: 2026年6月17日 (アップデート全適用済)
- KDE Plasma のバージョン: v6.7.0
- デスクトップ基盤: Wayland
- X Window System 上での設定は未検証で、設定方法が異なる可能性があります。KDE neon は普通にインストールすれば Wayland になっているはずです。
IME のインストール手順
今回は Flatpak 版の Fcitx 5 とその Mozc アドオンを用います。
Fcitx チーム自身によってメンテナンスされていることもあり、個人的に数ヶ月程使った印象では、deb 版よりもこちらの方が安定しているように感じます。
1. 不要パッケージのアンインストール
im-config の削除 (--purge 付き)
まず、一番重要なのが im-config の削除です。
これを削除しないと、Fcitx 5 が正しく動作しない可能性があります。
原因は im-config に付随する設定ファイルなので、必ず --purge オプションを付けてアンインストールして下さい。
sudo apt remove --purge im-config
im-config は deb 版の Fcitx 5 や iBus がインストールされる際、推奨パッケージとして自動的にインストールされます。
Fcitx 5 や iBus を apt リポジトリーからインストールした場合は、都度 --purge オプション付きで削除して下さい。
技術的な詳細
im-config がインストールされていると、インストール時に /etc/X11/Xsession.d/70im-config_launch というファイルが作成され、どうやらこのファイルを経由して GTK_IM_MODULE と QT_IM_MODULE の両変数が OS 起動時かログイン時かに設定されてしまうようです。GTK_IM_MODULE と QT_IM_MODULE は、X Window System で Fcitx 5 などを動かす際には必要なのですが、Wayland 環境ではこれらの環境変数が設定されていると問題が発生します。
apt remove コマンドに --purge オプションを付けるのは、この /etc/X11/Xsession.d/70im-config_launch を削除するためです。
deb 版 Fcitx パッケージの削除
deb パッケージ版の Fcitx がインストールされていれば、削除して下さい。
sudo apt remove fcitx fcitx-mozc fcitx5 fcitx5-mozc
sudo apt autoremove
他に Fcitx 関連のパッケージがインストールされているかどうか、apt list --installed で調べてみると良いかと思います。
apt list --installed | grep fcitx
iBus は削除してもしなくても構いません。
昔は iBus と Fcitx が同居していると設定が大変でしたが、最近は簡単に設定できるようになりました。
(任意) 不要な IME 関連パッケージの削除
デフォルトでは不要な IME 関連パッケージがインストールされていますので、お好みで削除してください。
sudo apt remove anthy maliit-framework maliit-keyboard
sudo apt autoremove
Anthy についてはご存知の方も多いと思いますが、Mozc が出てくるまで Linux 用でデファクトスタンダードであった日本語入力エンジンです。
Maliit はモバイル環境に対応したインプットメソッドフレームワークで、おそらく KDE の提供するモバイル環境 Plasma Mobile 向けとしてのものが混じっているのではないかと思われます。
2. Flatpak 版 Fcitx 5 + Mozc のインストール
Flathub から Fcitx 5 と Mozc アドオンをインストールします。
GUI で操作する場合は、下記の URL からまず Fcitx 5 をインストールします。
Flathub 上でインストールボタンを押すと、KDE のアプリストアの Discover が開きます。

Discover が開いたら、右上に From Flathub と記載があることを確認したうえで、① の Install を押します。その後、Fcitx 5 用の Mozc アドオンをインストールするため、②の Add-ons ボタンをクリックします。

アドオンの一覧が表示されたら、Mozc for Fcitx 5 の項目を探し、その右側にあるダウンロード・インストールボタンを押します。

以上でインストールは完了です。
尚、コマンドラインで作業を行いたい場合、下記のコマンドでインストールができます。
flatpak install flathub org.fcitx.Fcitx5 org.fcitx.Fcitx5.Addon.Mozc
3. KDE と Fcitx 5 の設定
設定に進みます。
2-1. キーボードレイアウトの設定
KDE の設定画面から Keyboard > Keyboard と進みます。左上の検索ボックスから Keyboard と検索しても構いません。
- まず、上段の Keyboard のセクション内にある、model の設定があっているか確認して下さい。恐らく OS インストール時に設定したキーボードモデルが反映されていません。現代の多くの Windows 向けキーボードは Generic | Generic 105-key PC で問題なく動作するはずです。
- 次に、下段の Layouts の Enable がオフになっている (disabled 状態である) か、もしくはEnable がオンになっている場合は、その下に Japanese のみが表示されていることを確認して下さい。

2-2. Fcitx 5 を IME として設定
次に、KDE の設定画面 > Keyboard > Virtual Keyboard を開き、Fcitx 5 を選択します。
私の環境では "Fcitx 5 Wayland Launcher ..." というものも表示されていたのですが、こちらを選んでもうまく Fcitx 5 は動いてくれないようです。

2-3. Fcitx で Mozc を使うよう設定
画面右下のシステムトレイにキーボードのアイコンがあるので、クリックし、出てきたコンテキストメニューの中から Configure をクリックすると、Fcitx の設定画面が出てきます。
尚、キーボードのアイコンは2種類あり、下記のケーブルが上に付いている方のキーボードアイコンの方をクリックして下さい。

下記の左上に緑の点が付いており、ケーブルが付いていない方のアイコンは別のアイコンですので、間違えないように注意して下さい。

さて、ここまで来ると、見慣れた画面だという方も多いのではないでしょうか。
画面左下の Select system keyboard layout ボタンを押すと下記のようなダイアログが表示されるため、Language: Japanese、Layout: Japanese、Variant: Default を選択し OK を押します。

左側の、Current Input Method (現在有効になっている IME の一覧) に Keyboard - Japanese がない場合、「キーボードに対応した IME がないけど、インストールする?」(Your currently configured input method does not match your selected layout, do you want to add the corresponding input method for the layout?) と聞かれます。
Yes を押して、Keyboard - Japanese を右側から左側に移動させましょう。

ウィンドウ右側の Available Input Method (利用可能な IME の一覧) から Mozc を探し、画面中央にある < ボタンを押すことで、左側の Current Input Method (現在有効になっている IME の一覧) に Mozc が入ります。
Keyboard - Japanese の下に Mozc が来るよう、順番を調整して下さい。
Keyboard - Japanese は、入力メソッドがオフの際に使われるキーボードレイアウトで、こちらが有効になっている時は日本語変換は動作しないモードとなります。
尚、Keyboard - English (US) は不要ですので、画面中央の > ボタンを押して右側に移し、無効化しましょう。
以上でキーボードの「ひらがな」キーを押せば、Fcitx 5 と Mozc が有効化され、日本語が入力できるようになるはずです。
下記が最終的な設定画面の状況です。

もしかすると OS アカウントへの再ログインまたは OS 再起動が必要な可能性もあるかもしれません。もしうまく IME が動かなければ、再ログインや再起動を試してみて下さい。
3. Snap からインストールした Electron 製アプリへの対処
Snap パッケージにおいては、Spotify や VSCode など Electron 製のアプリは、デフォルトでは Fcitx 5 による日本語入力ができないことが多いです。起動コマンドに --enable-features=UseOzonePlatform --ozone-platform=wayland --enable-wayland-ime というオプションを付けると正しく日本語入力ができるようになるケースがあります。(アプリによっては --ozone-platform=wayland だけで良いケースもあります)
起動コマンドの編集は以下の手順で可能です。
- アプリケーションランチャー (Windows の Windows メニューボタンに相当) を右クリックし、コンテキストメニューから Edit Applications をクリック

- KDE Menu Editor というウィンドウが開くので、対象の Electron アプリケーションをクリックし、General タブ → Command-line arguments の欄に
--enable-features=UseOzonePlatform --ozone-platform=wayland --enable-wayland-imeを追加する。

Input Method Panel ウィジェットは追加しない
以前は Input Method Panel というウィジェットを追加しておくと、Windows のように IME 関連のメニューを表示してくれていました。
しかし、現在はこのウィジェットを追加すると、Fcitx のロゴであるペン? を持ったペンギン (Tux 君) が2匹表示されてしまっており、やや動作が変になっているようです。

現在は Input Method Panel を追加しなくても、システムトレイの方にペンを持った Tux 君が1匹追加されており、そちらから Fcitx や Mozc の設定に飛べるようになっていますので、こちらを使うのがおすすめです。

4. 確認
冒頭の im-config の削除が正しく行われているか確認するため、OS を再起動 (再ログインだけでも良いかも?) した後にターミナルで
echo $GTK_IM_MODULE
echo $QT_IM_MODULE
を実行し、両変数の中身が空になっていることを確認しておくと良いと思います。
空になっていれば成功です。
クレジット
本記事は KDE のフォーラム KDE Discuss に私が投稿した下記の記事を修正して掲載しています。
コメントで頂いたアドバイス等も一部反映しています。
上記の初版の作成においては以下の記事を参考にしました。
蛇足と言い訳
IME の設定一つに踏まなければならないステップが多すぎるので、私の方でもそのうち時間を作って、どうにか修正できないか KDE neon のメンテナーの人に連絡を取りたいなー…などと言っていたのですが、半年経った今も未だコントリビュートできてません…
主要な更新の履歴
- 2026.06.17 Flatpak 版を利用する前提に書き換え、また Keyboard - Japanese を登録するように修正
- 2025.09.19 Snap からインストールした Electron 製アプリへのワークアラウンドを追加
- 2024.11.01 Input Method Panel の追加は推奨しないよう記述を変更
- 2024.10.22 初版
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