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個人開発のスマホアプリをリリースして4年半経ったのでまとめてみる

2024/04/08に公開

自己紹介

こんにちは。
個人開発者としてスマートフォンアプリの開発などしている HAL と申します。
会社では Web 系のシステムエンジニアとして Angular/Python/Strapi あたりを触ってますが、個人開発では React Native をメインにやっています。

2年半前、こんな記事を書きました。

https://zenn.dev/hal1986/articles/20211002-app-2year

さらに2年半が経過し、個人開発アプリをリリースしてから4年半が経過しましたので、今の状況をまとめておこうと思います。

何を作ったのか

「セワシタ?」と言うペットのお世話を管理するスマートフォンアプリを作っています。
iPhone/Android の両方で使えて、データの共有もできる、ペットを飼っている家族で使ってもらうことを想定したアプリです。

https://apps.apple.com/jp/app/セワシタ-お世話を記録-共有できるアプリ/id1482524590

https://play.google.com/store/apps/details?id=com.apps.hal.sewashita

ペットの管理アプリはいくつか出ているんですが、「お世話」を管理するためのアプリがないなぁと言うことで作りました。
実際、自分も猫を飼っていて、妻とお世話を分担しているんですが、「今日おしっこ何回した?」とか「寝る前のおやつあげたっけ?」とかわかんなくなるので、アプリに登録できるようにしよう、と言うことから作ったアプリです。

基本的には、毎日定時に実施するようなお世話を登録しておいて、時間が来るとアプリから通知がきます。
で、実施を登録すると家族の端末のデータも更新されて、お世話が終わっていることが分かる、みたいなものです。
さらに、最近は健康管理向けの機能を追加していて、日々のトイレの平均回数の推移とか、病院に行ったときにパッと欲しい情報が見つけられるような画面などを追加しています。

またその後、定型メッセージをワンタップで送信できるアプリ(Fast Template)や、Twitter の下書き管理に特化したアプリ(ツイメモ)、小説や漫画本などの蔵書管理アプリ(Libra Mate)など、全部で13個のアプリをリリースしています。
(一部アプリはほとんど更新してませんが・・・)

https://hal-cms.web.app/#apps

利用者数の推移

まず、ダウンロード数から。

ダウンロード数は「セワシタ?」の iOS 版が 10.1K(4 月 6 日時点)、Android 版が 174(4 月 6 日時点)と、ほぼ iOS 版です。
(なお、Android 版は「インストール数」であり、アンインストールしたユーザーは除かれるようです。iPhone 版はダウンロード数なので、延べインストール数と言っても良い)
これは前回もそうでしたが、iOS 版については日々コンスタントにダウンロードがあるんですが、Android 版は全く、と言う感じで、自然流入に関しては iOS が強いんだなぁと言う感じですね。
その他のアプリは、iOS で 11.3K、Android は 152(!)です。
トータル 21.7K 程度のダウンロードがあったことになります。

セワシタ?iOS版のダウンロード状況
セワシタ?iOS 版のダウンロード状況。一際大きい山はツイッターでバズったときのもの。

利用者数としては、セワシタ?のトータルのダウンロードは 10.1K ほどあるのに、Analytics でのアクティブユーザー数は 250〜270 / 日 で、 780〜850 / 月 くらいです。
ダウンロードはしたものの、定着しなかった人がいるという状況はあまり変わっていません。
ただ、減ることもない状況なので、一度定着すると継続して使い続けてもらえると言い換えられるかもしれません。

ASO についてはまったく頑張っていなかったのですが、先日から少しキーワード調整などをしていて、多少効果は出ているかな?という感じです。
ただ、Android 側の流入が皆無に等しいので、こっちをなんとかしたいなぁとは思っています。

とりあえず、よく言われるようん「良いものを作れば使ってもらえる」は、正しくは「良いものを作って使い始めてもらえたら、使い続けてもらえる」かなと思いました。
知られないうちは存在しないのと同じなんですよね。
やはり知ってもらう努力が必要そうです。

収益の状況について

続いて収益の状況です。
現在収益方法としては以下2本立てで進めています。

  • Admob(2020/02〜)
  • サブスクリプション(2020/08〜)

広告(Admob)に関しては、昨年くらいからだいたい月 1800〜2000 円前後で安定しています。
利用ユーザー数があまり変わっていない状況なので、まぁ仕方ないかなと言う感じです。
ちなみに使用している広告としては、普通のバナー広告やインタースティシャル広告なども使っていますが、アプリ起動時広告が一番パフォーマンスが良さそうです。
アプリ起動時広告は一瞬ユーザーに待たせることになるので、それを許容できるかが重要なポイントになりますが、許容できるならぜひ導入したほうが良いですね。
起動時広告を消すために後述するサブスクリプションを併用するのも良いかもしれません。

サブスクリプションに関しては7つのアプリで導入をしています。
月額・年額合わせて 65 件の登録と 8 件のトライアル登録をしてもらっている状況です。
以前に比べると伸びは鈍化していますが、アクティブユーザー数と比較するとまぁまぁのサブスク登録率かなと思います。
その他買い切りのオプションも有り、毎月平均して$39(約 ¥5900 / レート 151 円)の収益が上がっています。
まぁ、今は円安の影響で収益が大きくなっている面もあるので、円高になったらまた状況は変わるかなとも思います。

サブスクリプションの月次平均収益の推移
サブスクリプションの月次平均収益の推移

宣伝

ちなみに、収益化するための広告(Admob)と課金(RevenueCat)の React Native での実装方法についての本を書きました!
まぁ半年から 1 年くらいで元が取れると思われる値段なので、React Native で収益化考えてる人は良ければどうぞ!

https://zenn.dev/hal1986/books/react-native-monetize

経費について

続いて、経費についてです。
こちらは2年半前の時点では月 150 円程度だったわけですが、流石に利用者数が増えたのでもっとお金がかかるようになってきました。
とは言え、一番お金がかかるアプリでも月 1000 円程度なので、やはり全然少なく済んでいます。

一番使っているのは firestore の費用なので、やはりデータベースの費用をいかに抑えるか、利用者数が増えてきたときに赤字にならないようにするかは、事前に検討しておいたほうが良さそうです。
実際、一時的に経費が数倍になってしまったことがあり、アプリを改修して経費を抑える対応を行ったこともありました。

あとは RevenueCat や Sentry、Algolia を使用したりしていますが、これらはまだ無料枠内で済んでいます。
最近のこういったサービスは、無料枠が十分にあり、個人開発だと大体無料枠で収まるのが嬉しいですね。

4年半経って見えてきたもの

2年半前も書いたことですが、改めて振り返ってみます。

  • 機能より出来栄えより何より認知が重要
  • 赤字にならないようにすることが大事
  • モチベーション維持が難しい

機能より出来栄えより何より認知が重要

アプリの機能や出来栄えは、利用者の満足度や継続率につながるので大事なんですが、どんなに良いアプリを作っても、認知してダウンロードしてもらえないと意味がありません。
もちろん、良いアプリなら誰かが紹介してくれて口コミで広まる、みたいなこともなくはないんですが、いつ起きるかわかりません。
一生その日は来ないかもしれません。
そうこうしているうちに、そのアプリの旬も過ぎ、陳腐化し、良いアプリではなくなってしまいます。

最低ラインの機能や出来栄え、「このアプリはこれが出来ることが魅力!」という1点を満たす水準までできたら、ブラッシュアップはともかく認知してもらう努力が必要になります。
特に企業と違って大々的に広告を打つ、みたいなことは個人開発者には難しいので、ある程度地道な方法で(こういう記事だったり、なんらかのイベントの登壇だったり)頑張っていく必要があります。
アプリの開発に割けたはずの時間を使ってやらないといけないので、あまりやる気にはなれませんが、使ってもらえないのも悲しいので、頑張るしかありません。

と、最近は思うようになったので、頑張り始めようとしているところです・・・。

ちなみに広告出稿する場合、1インストールあたりの単価と、それによる将来的な1ユーザーあたりの利益予想を見ていく必要があります。
継続率の高いアプリであれば多少高めのインストール単価でも出稿の価値がありますが、なかなか広告の単価に大して利益が超えないということはあります。
サブスクリプションや買い切りのプレミアムオプションなどを組み合わせて、総合的に収益化出来るような戦略も必要になります。

赤字にならないようにすることが大事

僕の作ってるアプリはずーっと、運用のための経費が収益以下に収まるようにできています。
どうしても、個人開発者って時間を確保するのが難しくて、すぐには売上を伸ばすような機能追加とか宣伝とかができません。
そうすると収益アップのための施策に時間がかかるわけですが、時間をかけている間にも赤字が積み重なっていく状況だと、精神衛生によろしくないです。
もちろん、数百円程度の多少ならあまり気にならないかもしれませんが、それでも1年も経てば数千円・数万円になりえます。

逆に常に数百円でも収益が上がっていると、気持ちに余裕ができます。
また、「よし、これをもっと増やしていくぞ!」といった感じで、プラスなモチベーションにできます。
赤字を解消するためのモチベーションって、どうしても焦りと表裏一体なので、可能な限り黒字の状態をキープした方が良いと思います。

モチベーション維持が難しい

個人開発は(人にもよりますが)やれと言われてやるものでもないし、必要に迫られてやることもあまりありません。
やらなくても本業で生きていける人が多いと思いますし、趣味の延長でやってる人も多いでしょう。

そうすると、逆にいつ辞めてもいいので、頑張るためのモチベーションが維持しづらいです。
自分も、ここ数年はちょっと開発のペースが落ちていた時期があり、なんとなくやる気にならないなぁという状態がありました。

モチベーションを上げる方法が見つかっている人は良いですが、まぁそうそう簡単にはいかないものだと思います。
そんなときに、たくさんダウンロードしてもらえると嬉しくなってやる気になるかもしれませんし、赤字がなければ焦らずやる気が出るのを待つこともできます。

趣味の延長の個人開発は、辛くなってしまったら続けられないと思うので、楽しんでやれるような環境づくりに注力する必要もありそうです。

最後に

しばらく時間が空いてしまいましたが、要望もあったので今の状況を振り返ってみました。
2年半前から大きくは変わっていないなと思いつつ、収益は一応増加しているので、まぁ及第点かなと思いました、
ただ、そろそろもうちょっと収益を増やしていきたい、毎月数万円くらいの収益にしていきたいので、ここからは認知向上の施策を頑張らないといけないかなと感じています。

もらった要望 ↓

https://x.com/romi63hoshino/status/1776518188081324193

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
今後個人開発を始めようかなと思っている人の参考になれば嬉しいです。
不明点などあれば、X(旧 Twitter) などで聞いてください。

https://x.com/HAL1986____

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