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Unreal Engine 5.6の新機能&アップデート情報をわかりやすくまとめました

に公開

🐱今回は5.6の新機能やアップデート情報について初心者向けにわかりやすくまとめていきます。

YouTubeでも解説しています↓

https://youtu.be/0mVeKxYVVf4

UnrealEngine5.6について

2025年6月4日にUnrealEngine5.6正式版が公開されました。主にオープンワールド向けのパフォーマンス強化と、MetaHumanの実用性強化、エディタのUI改善、テンプレートプロジェクトの刷新がメインの項目になります。
https://youtu.be/eOX40-hZtMM

主な機能は以下です。

  • エディタUIの改善
  • テンプレートプロジェクトの刷新
  • 安定的な60FPSのオープンワールド制作が可能に
  • MetaHumanがエディタに統合され、さらに使いやすく
  • アニメーションやリギング機能の改善
  • 文字列を扱いやすくする新機能の追加

アップデートの方向性としてはエディタ自体の改善と、大規模なゲーム向けの機能が強化されたといった感じになっています。

①エディタUIの改善

エディタUIは微々たる変更ですが、今までビューポート内上部に散らばって配置されていたビューポート設定とトランスフォーム関係のボタンがまとまって、より直感的な配置になりました。

例えばバージョン5.4.4と5.6.0を見比べてみましょう。

トランスフォーム関係のボタンとビューポート設定が逆に配置されました。また細かいですが、スナップのアイコンなども変更されており、より直感的になっています。

また細かい部分ですが、ビューポートで正投影の上表示にした場合、XY軸が反対に表示されるようになりました。つまり正投影の場合はX軸が垂直軸、Y軸が水平軸で表示されます。

ちなみに通常の表示「パースペクティブ」の場合は、今まで通りXYZの表示は変わりません。

なお以前のバージョン5.5の場合は右方向(水平軸)がX軸となっていました。

XY軸が変更された理由についてはこれはMayaなどの標準軸に合わせた調整との事です。

🐱シンプルにエディタは見やすくなりましたね!

②テンプレートプロジェクトが刷新

テンプレートプロジェクトは大きく刷新され、種類が増えました。特にゲーム用のテンプレートプロジェクトは大きく変更されました。

プロジェクト毎にタイプが追加されて、作成時に選択できるようになっています↓

例えばサードパーソンのプロジェクトでは格闘ゲームのCombat、3DアクションゲームのPlatforming、横スクロールゲームのSideScrollerなどがあります。

テンプレートプロジェクトを一通り試してみました↓
https://youtu.be/HwJD8X3kqhk
ただしこれらのテンプレートプロジェクトは見た目通り内容も非常にシンプルです。細かい機能なども特に無いので、基盤のプロジェクトとして採用しやすいかと思います。

なお機能は特に変わりませんが、サードーパーソンのグレイマン等もUE4っぽいメッシュに変更されています。

最低限作られたテンプレートプロジェクトが増えた事で初心者の方でもより手軽にプロトタイプを作成できるようになりました。サードーパーソンの

🐱シンプルにエディタは見やすくなりましたね!

③安定的な60FPSのオープンワールドが実装

大規模なオープンワールドでも特定のハードウェアにおいて(PS5やPC,最新モバイル)で60FPSを安定して実装できるようになりました。以下はUE5.6の機能を使用してウィチャー4のオープンワールドが作成されたデモ動画です↓
https://youtu.be/FJtF3wzPSrY
こんな感じにオープンワールドでも60FPSで安定してスムーズに描画されるようになりました。

UnrealEngine5.6では、「次世代ハードウェアで60FPSを維持できる大規模オープンワールドの構築」を目標に、以下のような具体的な機能改善が行われています。

  • ハードウェアレイトレーシングの改良
    ハードウェアレイトレーシングとは簡単に言うとリアルなライティングを作る技術のことで、それが改良されてフレームレートを維持しやすくなるようになりました。

  • Lumenの最適化
    Lumenとはリアルタイムで間接光を綺麗に作る機能で、簡単に言うとリアルタイムで綺麗なライティングを作るのに使用される機能です。そのLumenが従来版と比べて二倍以上高速に動作するようになり、フレームレートが安定しやすくなりました。

  • コンテンツストリーミング全体の改善
    コンテンツストリーミング機能というのはレベルのオブジェクト(地形)を読み込む際のロード,アンロードの処理のことで、そちらが改善されてカクつく事なく60fpsを維持しやすくなりました。

  • Naniteの強化
    Naniteというのは自動LODの事になります。簡単にいうと大量の3Dモデルを低負荷で描画するシステムですが、そちら強化されてフレームレートの安定的になりました。

これらの機能により重たいオープンワールドでも60FPSを維持しやすくなりました。

🐱ウィッチャー4などのオープンワールドゲームでフレームレートが安定するように改善されました!

④MetaHumanが統合され、大幅に使いやすさが向上

MetaHumanとはEpicGamesが提供する高品質なキャラクターを作成するツールの事です。顔の表情や肌の質感、髪型まで細かくカスタマイズできるのが特徴ですしたが、5.6でさらに使いやすく実用的になりました。

https://youtu.be/0oYrZGjNOec

具体的な変更点は以下です↓

  • エディタにMetaHumanが統合されました
    これまでは外部サイト(ブラウザや専用アプリ)で設定していたMetaHumanを、直接UE5.6のエディタから呼び出して編集できるようになりました。

  • サンプルキャラクターの追加
    初心者向けに、そのまま動かせるMetaHumanキャラクターが複数用意され、顔のアニメーションや表情のテストが簡単に行えます。

  • 顔に加えて体も詳細にカスタマイズ可能に
    顔のリグ情報が同梱されるようになった。実際に3Dスキャンされたデータをもとにしたパラメトリックボディシステムが追加され、顔だけでなく身長・胸囲・ウエスト・脚の長さなど、細かい体の寸法をエディタ内でスライダー操作できます。

  • 服装・衣装の自動適応
    服やアクセサリを「ひとつのセット」としてまとめられ、MetaHumanのどの体型にも自動でフィットさせる機能が追加されました。例えば、「ジャケット+パンツ+靴」のセットをひとつのOutfit Assetとして作成し、そのまま別のMetaHuman(身長や体格が違う)に適用すると、自動で服のサイズや頂点が再計算されてフィットします。

  • 一般的なカメラでリアルタイムキャプチャが可能
    ほとんどの普通のウェブカメラやスマートフォン(Androidも含む)でリアルタイムに顔キャプチャができるようになりました。これをUnreal Engineの「Live Link」機能と組み合わせることで、キャラクターがカメラに映る表情を即座に再現します。

  • UnrealEngine以外のエンジン(UnityやGodot)でも使用できるようになった
    UE5.6以降のEULAで、MetaHumanで制作したキャラクターやアニメーションを「Unity」「Godot」など他のゲームエンジンで使用できるようになりました。

  • MayaやBlederやHoudiniなどのDCCツールでMetahumanを編集できるようになった
    Maya・Houdini・BlenderなどのDCCツール(3DCG制作ソフト)向けのプラグインやエクスポートテンプレートも公式に提供されるため、MetaHumanデータを他ソフトに渡して二次制作を行いやすくなりました。

  • MetaHumanで作成したキャラをFabを販売できるようになりました
    UE5.6から、MetaHuman向けに作った顔アセット・体型アセット・衣装(Outfit Asset)・アニメーションなどを、EpicのFabマーケットプレイスにそのままアップロードできるようになりました。自作のMetaHumanアセットをマーケットプレイスで販売できるようになり、個人クリエイターでもアセット制作で収益化を狙えるようになりました。

MetaHumanは大幅なアップデートで、より細かいカスタマイズが可能になり、ライセンスも自由になりました。

🐱MetaHumanは既に様々なゲームで使用されています。例えば最近話題になったClair Obscur: Expedition 33,InZOI,The Witcher 4などはMetaHumanでキャラクターの作成が行われています。

⑤アニメーション制作がより高速に実装

今回のアップデートでは、エディタ内のアニメーション ツールセットに過去最大規模の改良が加えられました。これにより、これまで以上にスピーディーで精密、かつ柔軟なアニメーション制作が可能になります。

https://youtu.be/flf2_wM2FIU

以下具体的な機能です。

  • モーショントレイルの使いやすさ向上
    モーショントレイルは、キャラクターやオブジェクトが動いた軌跡を「線」で画面上に表示する機能です。たとえば、キャラクターの手を振るアニメーションがあったとして、モーショントレイルをオンにすると「手の先端がどのような軌跡を描いているか」が白い線や色付きの線で表示されます。そのモーショントレイルが完全に再設計され、視覚的かつ直感的にアニメーションを編集できるようになりました。

  • Tweenツールの刷新
    Tweenとは、アニメーションのキー間の動きを自動で補完する機能のことです。Tween ツールも刷新され、アニメーションの特定のキーやコントロールに対する微調整がより素早く行えるようになりました。

  • カーブエディタの改善
    カーブエディタとはアニメーションの数値の変化をグラフ(カーブ)として表示・編集する専用ウィンドウです。カーブエディタのツールバーも、パフォーマンスと操作性を向上させるために再設計され、キーフレームの操作がより直感的かつ効率的になりました。

  • Control Rig(コントロールリグ)の機能向上
    Control Rigとは、Unreal Engine 内でリグを組み、アニメーションを扱うための仕組みです。体の動きを作るためのノード(命令)が増え、複雑な動作を簡単に組めます。またエンジン内で モーフターゲットのスカルプティングがエンジン内で可能になったため外部ツール不要で顔・筋肉の表情を直接作成できるようになりました。物理シミュレーションノードが追加され、髪や服など揺れものを Control Rig だけで組み込めるようになりました。

以上が、Unreal Engine 5.6で導入された アニメーション・リギング周りの主な改良点です。
これらの機能を活用すれば、従来よりもエンジン内だけで完結できることが増え、アニメーション制作のスピードと表現の幅が大きく広がります。

🐱こちらはアニメーション制作を本職としているアニメーター向けとなっています。UnrealEngine内でのアニメーション制作がより快適に高速に実装できるようになったという感じです。

まとめ

Unreal Engine 5.6は、エディタの使いやすさ向上と大規模プロジェクト向けの機能強化を中心にアップデートが行われています。

ゲーム開発者共通の項目としてはエディタのUIやテンプレートプロジェクトの更新が行われています。一方で大規模ゲーム開発向けに、パフォーマンス機能の強化やMetaHuman、アニメーション制作の機能がアップデートされました。

初めてUEを触る方でも、UI改善やテンプレートプロジェクトの改良でスムーズに学習をスタートできるようになり、中~上級者の方には、60FPSを安定させるオープンワールド機能やMetaHumanの統合、アニメーション・リギングの強化が大きな助けになるでしょう。

これからUnreal Engineを学ぼうとしている方や、すでにUEでの開発を進めている方も、ぜひ5.6の新機能を試してみてください。初めは慣れないかもしれませんが、使いこなせば制作効率が大きくアップします。楽しんで開発を進めましょう!

🐱エディタが直感的かつテンプレートプロジェクトが増えたのは嬉しいですね!またオープンワールド等でカクつく事なくゲームができるようになった調整もUE5.6の特徴かと思います!

以上です。またUnrealEngineの情報があれば更新していきます。お疲れ様でした。

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