Palette3による多色印刷(5) 〜P2PP実践編〜
P2PPの設定では一苦労したかもしれませんが、実際のプリントではCanvasとさほど変わりません。最初のプリントで、Palette3側でのプリンタープロファイル作成に一手間かかるところも同じです。
なお以前の記事に記載した手順は簡略化しましたので、詳しくは下記を参照してください。
- PrusaSlicerでの多色設定方法
- Palette3でのプリンタープロファイル作成手順
動作環境など
動作環境
項目 | バージョンなど |
---|---|
PCのOS | Windows 10 Pro 22H1 |
スライサー | PrusaSlicer-2.5.0+win64 |
P2PP | バージョン:8.00.49 |
プリンター | Prusa MK3S+(MK3SからMK3S+へのアップグレード品) |
ノズル | kaika604 |
Palette | Palette3 Pro、ファームウェア:22.08.11.0 |
フィラメント | 無名ブランド4色PLAセット(250g×4、Amazonにて購入・当該品は販売終了) |
プリントサンプル
- flap3_1.stl・・表面の文字
- Flap3.2.stl・・裏面の文字(「ALL MODEL FILES」に含まれず個別ダウンロード)
- flap3.stl ・・文字枠および中間の層
読んでおいて欲しい記事
ここに至るまでの多色印刷記事をある程度目を通したものとして説明を簡略化した箇所があります。多色印刷に関しては手動でもPalette3でも共通の注意点がありますので、できるだけ目を通しておいてください。
1.PrusaSlicerでスライス
最初にPrusaSlicerの「プリント設定」「フィラメント設定」「プリンター設定」を、前回初期設定したPalette3向けの設定に切り替えます。例によってパージタワーが出現します。
いつものプリントサンプル(スプリットフラップ)を読み込んで、
- フィラメントの色指定
- 各パーツにエクストルーダーを割り当て
を行います。
これもCanvas編と同じですが、Palette3で扱える最小サイズに達するように、少し大きくします。今回も各方向120%にします。
パージ体積は各色間250
となります。
スライスしたらこのような結果になりました。
2.GコードのエクスポートとP2PPの起動
スライス後「Gコードのエクスポート」をクリックすると、「〜.mcfx」ファイル保存先のダイアログが出ますので、適当な場所に保存します。
なお、ファイル名に日本語やスペースを含めないのがお決まりの作法です。
P2PPが起動し、PrusaSlicerが生成したGコードを加工してPalette3向けに変換します。WiFiなどネットワークの設定が正しく行われていれば、そのままPalette3に転送します。
なお、ネットワーク接続されていなくても、先程の「〜.mcfx」ファイルをUSBメモリでPalette3に持っていくことも可能です。
3.プリンタープロファイルの作成
Palette3にデータが転送されたら、これ以降はPalette3で作業します。
今までと同様にPalette3のタッチパネルからプリントを開始します。Canvas編と同様に、初回はプリンターのプロファイルから作成します。手順はCanvas編と同一です。
HM値の修正がありますので「Ready!」の画面まで来たら、「Back」で戻り最終的にプリントをキャンセルします。この時「Printer name」をタップするとプリンター名を修正できます。複数のプリンタープロファイルを作る際、名称変更しないと同じ名前で作成されてしまい区別がつかなくなります。
Canvas編と同様にHM値を修正しますが、今回は「104」に設定します。
4.プリント開始
やるべきことは全て終わったので、プリント開始します。この通りCanvasと同様にきれいに多色印刷できました。
今までは小さな例で試してきましたが、色数の多い本格的なプリントで失敗しないためにも、Palette3の考え方について理解しておく必要があります。次回のまとめでは、そのあたりを詳しく解説します。
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