円滑なチャットコミュニケーションをするために意識していること
リモートワークから出社に回帰していく話も出てきたりしていますが、チャットでのコミュニケーションは変わらず必要です。
チャットコミュニケーションで使わないようにしている表現 - Konifar's ZATSUという記事とコメントを読んでいて、チャットでやり取りすることの難しさをたくさんの人が感じているのを改めて知ったので、自分なりに工夫している点をまとめてみることにしました。
次のような3つの観点があると思っているので、それぞれに対していくつかの方法を載せています。1つでも参考になれば嬉しいです。
- 推測させないための工夫
- コミュニケーションに負荷をかけない工夫
- 物事を悪く捉えられない工夫
1.推測させないための工夫
チャットはひとりで考える時間をとりやすい反面、ひとりで悩んで時間を使ってしまうこともあります。だからこそ、本当に必要なことだけを考えられる工夫が必要だと考えています。
緊急度合いを伝える
「依頼をされたけど、これって今の作業を止めてやったほうがいいのかな?」と迷うことがあります。
- 「お手隙で確認お願いします」
- 「今週末までに確認できれば大丈夫です」
- 「早めに確認いただけると助かります」
このように最初に伝えて、相手が判断しなくても済むようにしています。
毎回書くのは冗長なので、勤務時間外や終業時間間近だったり、緊急度合いが極端な場合に使っています。
はい、いいえ、わかりません
長い文章の中に結論があると「結局、どう解釈したらいいのかな?」と迷うことがあります。
- 「はい、〇〇です」
- 「いいえ、〇〇だと思います」
- 「すみません、ちょっとわからないです」
返事をするときにはなるべく早く、端的な結論を伝えることが多いです。スタンスが明確になると、その後の文章も理解しやすくなると思っています。
やって欲しいこと・スタンスを明確にする
話すより書くほうが時間がかかりやすいので、会話をするようにチャットを使うとコストが高くつくことがあります。
そして、情報を常に相手に渡していかないと、推測させるというコミュニケーションコストを相手に負担させてしまうかもしれません。
負担がかかるというのは、会話はしているけれど「この意見に賛成なのか反対なのかわからない」、依頼はされているけれど「どんな状態にしたいのかわからない」といったことです。
チャットではとくに「うまく判断してくれるだろう」と期待せずに、考えていることを自分から詳細に伝えていくことが大切だと考えています。
注意点としては、「〇〇をする」という述語(動詞)はあるけれど、「何を」という目的語が抜けていたり、述語から離れている場合です。受け取る側からみると、対象物がわからなかったり、確信がもてない場合も多いです。
それはきっと思いつくままに文章を書いていると、強調したい言葉から書いてしまうからだと思います。なので、投稿する前や誰かの文章を読むときに「目的語を述語(動詞)する」に注目するようにしています。
やって欲しいことを伝える簡易的ながら効果的な方法のひとつが「相談です」「連絡です」などを付けることです。たとえば、「連絡だったらスタンプだけで大丈夫そうだな」とか「相談だったらできるだけコメントを返そう」といった判断がやりやすくなります。かなり便利なのでよく使っています。
少し込みいった内容であれば次のような項目で考えると整理しやすいです。
- 状況:実際に「いつ」「どこで」「どのような出来事が」起こりましたか?
- 問題:困っているのは具体的に「何が」「どのように」なってしまうからですか?
- 期待:「何が」「どのような」状態になれば解決したと言えそうですか?
- 原因:「何を」「どのような」状況にすると問題を再現できそうですか?
- 対策:現実的かに関わらず「どのような」解決策がありそうですか?
- 評価:望んだ結果にするために「どの」対策が有効そうですか?
いろいろな工夫をしてみてもコストが高いなと感じたら、直接話すなどの同期的なミーティングに切り替えます。
2.コミュニケーションに負荷をかけない工夫
チャットコミュニケーションの基本は読み書きです。テクニカルライティングのような文章術も大事ですが、その文章を読む相手や相手の状況を想像したり、楽をしてもらうためのひと手間が大切になってくると思っています。
一文を短くする
「いま話題のライブラリAは機能が豊富でパフォーマンスが優れていたり、セキュリティも考慮されていたり、コミュニティが活発なので導入を検討したいですが、既存プロジェクトとの互換性や学習コスト、テストなどにかかるコストを考慮すると、すぐに全体的な導入をするのは難しいかもしれないので、まずは使用頻度の高い実装から取り入れてみようと考えています」
仮に上記のような文章があったとして、記憶に残るのは最初と最後くらいだと思いますし、読み直す場合にも内容が頭に入りにくそうです。いちばん大きな原因は接続語を使いすぎていること。
たとえば次のように箇条書きを併用しながら一文を短くしたり、言い切ることで理解しやすくなると思います。
いま話題のライブラリAの導入ですが、すぐにプロジェクト全体へ導入するのは難しそうなので、使用頻度の高い実装から取り入れようと考えています。
ライブラリAには次のような特徴と課題があります。特徴
- 機能が豊富
- パフォーマンスに優れている
- セキュリティが考慮されている
- コミュニティが活発
課題
- 既存プロジェクトとの互換性
- 学習コスト
- テストなどにかかるコスト
文章の書き方についてはこちらにまとめています。
リンクや引用を載せる
チャットでは何かしらのページを参照しながらやり取りをすることが多いです。そのときにリンクを貼らずにいると、相手がリンク先を探しているかもしれません。引用もリンクと同じ考え方です。
過去のやり取りや参照先をその場に記載することで、その場に出した情報だけでやり取りができるようにしています。
あとから「どういう内容だったっけ?」と参照することも多いので、情報を整理することは自分のためだったりもします。
読む人が不特定多数の場合はとくにコストが大きくなりやすいので、しっかりと整理してから投稿しています。
キャプチャーやアニメーションGIFを貼る
文章では伝えにくいことも、画像を貼ってしまえば解決することもありますよね。そのほうが楽なことも多いですし、文章だと認識がズレてしまうこともあります。
認識合わせをして完了させる
話すより入力するほうが時間がかかる傾向にあるので、認識合わせが疎かになりやすいと感じています。そして、双方ともに「認識がちゃんとあっているのかな?」とモヤモヤしてしまったり。
できればフワッと終わるのではなく、「ありがとうございました。では、最終的に〇〇の方法で進めていきます」のようにコメントを残したり、絵文字で「対応済み」や「Done」などを付けておくと完了したことがわかりやすくなります。
また、「どうしたらいいですか?」では相手に負荷をかけてしまうので、「こうしようと思っていますが、問題なさそうですか?」「こうしようと思うので、何かあればコメントをください」のように、提案したり自ら前に進めていくようにしています。
3.物事を悪く捉えられない工夫
テキストコミュニケーションは感情的なすれ違いも起こりがちです。でも「あなたのことを尊重しているよ」という表現を日常的に交換していれば、個々人の表現の違いは許容できるようになるのではないかと思っています。
否定から入らない・否定しすぎない
「はい、いいえ、わかりません」の項目とやや相反するところですが、否定から入ったり否定の割合が多いと、論理的に正しそうかに関わらず気持ち的に受け取りにくいです。
まずは相手の意見を受け止めたり(必ずしも共感できなくてもいい)、良いところから伝えるようにしています。
アイデアや改善点が指摘に聞こえる場合もあるので、なるべく数を少なくしたり、言い切らずに提案するようなニュアンスにするのも大切そうです。
フィードバックする対象がチームではなく個人に紐づく場合は、アドバイスや追加の意見をあまり言わないことも大切かもしれないと最近は感じています。いい意味で相手の内発的な動機づけに入りすぎないようにしたほうがいいのかなと。
「もしできることがあれば言ってください」「ちなみに、いま困っていることや(みんなに)聞いてみたいことってあったりしますか?」のように相手の要望を確認してから動くぐらいがいいのかもしれません。
もしそれでも伝えるのが難しいなと感じたら、オンラインや対面に切り替えています。
!、ー、〜
テキストは話すよりも感情や抑揚が伝わりにくいので、どうしても冷たい印象で受け取ってしまいがちです。
- 「そうなんですね!」
- 「ありがとうございますー」
- 「ですね〜」
上記のようにちょっと大袈裟なくらいの表現をよく使っています。それこそ、あえて絵文字を付け足すくらいのワイワイしてる感じのほうが「相手に悪い印象を与えていたらどうしよう」と心配しながらやりとりするよりずっと楽です。
絵文字:いいね、DONE、分かりません、確認します
共有や質問をしても反応がなかったり、思っていたより反応が薄いと、ちょっと寂しくなることってないですか?私はたまにあります。
なので、できる範囲でコメントをしたり絵文字を活用しながら、積極的に反応するように意識しています。
もちろん、いつでもチャットに張りついて、すぐに反応しているわけではありません。気がついたときに、何かしらの反応ができるかなと考えているだけです。
ちなみに、顔文字やイラストよりも、文字を絵文字化したもののほうが解釈にブレがないので使いやすいです。
感謝とポジティブフィードバック
何かをしてもらったら「ありがとうございます」「助かります」となるべく伝えるようにしています。感謝を伝えたほうが自分も嬉しくなりますし、見返りを求めていない人だって感謝されなければむなしく感じることもあると思うからです。感謝の言葉がなくても仕事は成立しますが、あっても損することはないですよね。
ポジティブフィードバックは感謝を少し具体的にしたものと考えてもいいかもしれません。
たとえば、「さっきのミーティングで議事録を書いてくれて助かりました」とか「社内活動のアイデアめっちゃいいですね」みたいなことです。相手がしてくれたことに対して「私は肯定的に感じたよ」となるべく早めに伝えるようにしています。
ポジティブフィードバックを受けた側は「やってよかった」「続けていこう」と感じてくれるかもしれませんし、続けることで周りにも広がる可能性もあります。お互いにとっていいことしかありません。
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