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文章を書くときのルールまとめ:基本、ひらく漢字、役物・記号、接続詞

2023/11/30に公開

「意図が伝わりやすく」「仕事を前に進められる文章」を書きたいと思って整理したものです。
できてるとは言ってない。

基本

一文一意

1つの文は1つの内容に限定します(文とは句点()の範囲を指します)。
複数の内容が混ざると理解しにくいからです。
読点()が3つ以上にある場合は、文を分割できないか検討してください。

40〜60文字以内

1つの文は40〜60文字以内に収めます。
一文一意を測るための基準のひとつです。

具体的な表現

解釈の幅が狭い言葉を選びます。
具体的な表現になるほどイメージが膨らみやすいからです。
数字は確実に伝わる表現の代表です。
五感に関する表現は抽象的になりやすいので注意してください。抽象的な表現は見出しに利用すると伝わりやすいかもしれません。

結論から伝える

重要なことは最初に伝えます。
相手に推測させないことで余計な負担を減らすことで、いま必要なことにだけ集中してもらうことができるからです。
時間がない人や一定程度の知識を持っている人ほど、遠回しな説明を嫌がる傾向があると感じています。

動詞で伝える

直接的な表現を選びます。
「〜が必要です」のような表現だと、相手に推測する負担を負わせてしまうだけでなく、認識のズレが生まれてしまう可能性もあります。
「〜してください」「〜を教えてください」といった動詞で伝えます。

肯定表現で伝える

否定的な表現を避けます。
「AがないとBはできない」のような否定表現は理解しにくいからです。
「AがあるとBができる」のような肯定的な表現にします。

前提情報を最小限にする

前提情報は簡潔にします。
情報の提示は必要ですが、長すぎても伝わりづらくなります。
「相手は何を知っているのか?」「相手は何を知らないのか?」「相手は何を聞きたいのか?」をよく検討してください。

体言止めを活用する

必要に応じて体言止めを使います(文末を名詞で終えること)。
文章にリズムが生まれたり、接続詞の省略ができることで文末の重複を避けられるからです。
使いすぎると違和感が出てくる可能性があるので注意してください。

主語を省略する

前の文で主語が明らかな場合は主語を省略します。
指示語や「こそあど」を減らすことができ、簡潔な文章になるからです。
日本語ならではの長所を活用します。

言い換える

同じ単語の繰り返しを避けます。
幼稚な印象を与えやすいからです。
類語や関連語に代えることで豊かな表現にできないか検討してください。

表記を統一する

キーワードは表記を揃えます。
表記がブレていると、内容自体が理解しづらくなったり、信頼性を損ねてしまう可能性があるからです。
たとえば、アイデアとコンセプトのような似た意味合いの表現はブレやすいので注意してください。

記号を統一する

括弧や引用符などの記号の使い方を統一します。
人によってルールや解釈が違うと、意図しない受け取り方をしてしまう可能性があるからです。
迷ったら「記者ハンドブック」のような信頼性の高い文献に頼ってください。

やりとり単位で完結させる

いま提示する情報だけで理解できるようにします
情報を探すのに手間がかかりますし、探し出せない可能性もあるからです。
過去の情報を引用する、要約する、リンクを貼るなどで、相手の手間を最小限にしてください。

絶対的な言葉を使う

「昨日」や「先日」のような相対的な表現を避けます。
日付が変われば「昨日」の日付は変わりますし、いつのことを「先日」と呼んでいるのかわからない可能性があるからです。
「2023年4月16日」のような絶対的な言葉に変換して、齟齬が起こらないようにしてください。

繰り返し禁止

同じ単語の繰り返しを避けます。
幼稚な印象を与える可能性があり、冗長でわかりにくい文章になる傾向があるからです。
気をつけたいのは「読点」「語尾」「主語」の3つです。

  1. 読点:「、」
  2. 語尾:「です」
  3. 主語:「この商品は」「わたしは」

「一文一意」「体言止め」「主語の省略」で繰り返しを防げます。

文をつなげすぎない

文を短くします。
冗長でわかりにくい文章になる傾向があるからです。
気をつけたいのは「順接接続詞」「指示語」「こそあど」の3つです。

  1. 順接接続詞:「よって」「だから」「そのため」
  2. 指示語:「この」「その」
  3. こそあど:「これ」「それ」「あれ」「どれ」

重言禁止

同じ意味の語の繰り返しを避けます。
信頼性を損ねる可能性があるだけでなく、必要のないところで注目されてしまうと、本当に伝えたいことが伝わらなくなってしまう恐れがあるからです。
「不快感を感じる」は「不快感がある」、「頭痛が痛い」は「頭痛がする」が正しいです。

抽象的な修飾語禁止

抽象的な修飾語を避けます。
解釈にズレが生まれやすいだけでなく、実質的に相手に何の情報も与えていないからです。
たとえば、「洗練された」「驚愕の」「高級感のある」などの修飾語は具体的なデータや数字で表現できないか検討してください。

「など」を使いすぎない

曖昧な表現を避けます。
具体例が少ないと人によって解釈が変わる恐れがあるからです。
具体例を3つあげて、何かしらのパターンを見つけ出せるようにしてください。

カタカナ語や慣用句を使いすぎない

カタカタ語や慣用句を過剰に使わないようにします。
相手が意味を知らなければ伝わらないですし、知っていたとしても解釈が異なっている可能性もあるからです。
誰もが理解しやすい具体的な言葉を使うようにしてください。

丁寧すぎる敬語禁止

他人行儀すぎる敬語を避けます。
二重敬語のように間違った敬語になっている恐れがあるだけなく、丁寧すぎても逆に印象を悪くしてしまうこともあるからです。
丁寧な敬語ではなく、適切で正しい敬語を使ってください。
たとえば、「拝見させていただきます」は「拝見します」、「よろしかったでしょうか」は「よろしいでしょうか」が正しいです。

話し言葉禁止

話し言葉を文章として書くことを避けます。
冗長な印象を与える可能性があるからです。
不必要な言葉や表現を取り除き、重要な言葉だけを残すようにしてください。

文体の混合禁止

「である・だ」調と「です・ます」調を混ぜないようにします。
文体には与える印象やスタンスが異なるため、混ぜてしまうと違和感のある文章になる可能性が高いからです。「です・ます」調は丁寧な印象、「である・だ」調は説得力を与えます。

ひらく漢字

漢字を「ひらがな」にすることを「ひらく」、ひらがなを漢字にすることを「とじる(ひらかない)」と呼びます。
ひらく理由は、漢字の割合が多いと読みにくくなってしまったり、硬い印象を与えてしまうからです。
ここでは、一般的に「ひらいたほうがいいとされている漢字」をまとめています。

※ネットで調べた情報が中心ですので、正しくない可能性があります。あくまで参考として利用してください。

基本的なルール

動詞として使う場合は「ひらかない」

  • 〜をかいます → 〜を買います
  • 〜にいきます → 〜に行きます

補助動詞は「ひらく」

「補助動詞」とは、直前にある別の動詞(本動詞)を肯定したり、尊敬の意味を付けくわえる動詞です。

  • 本を読んでください(補助動詞)
  • その本を下さい(動詞)

複数動詞はあとの動詞を「ひらく」

  • 走り続ける → 走りつづける
  • 見回す → 見まわす

副詞は「ひらく」

  • もっとも効果の高い方法
  • いったん手を止める

形式名詞は「ひらく」、実質名詞は「ひらかない」

具体的な意味を持たない名詞は「ひらき」ます。「とき(時)」や「もの(物)」なども同じように扱います。

  • 文章を書く事が苦手だ → 文章を書くことが苦手だ
  • ことが起こってからでは遅い → 事が起こってからでは遅い

「開く」漢字一覧

基本的に開くほうがいい漢字を集めました。文法によってはひらかないほうがいい場合も一部あります。

ひらがな表記 漢字・かな表記 備考
あえて 敢えて
あげる 挙げる 「手を挙げる」は漢字書き
あらかじめ 予め
ありうる 有り得る/在り得る
ありかた 有り方/在り方
ありがたい 有難い
ある 有る/在る 有無をとくに明確にする場合は漢字書き
あるいは 或いは
いく 行く 「会社に行く」など行動を表す際は漢字書き
いくら 幾ら
いずれ 何れ
いたします 致します
いただく 頂く/戴く
いつ 何時
いっせい 一斉
いったい 一体
いったん 一旦
いまだ 未だ
いわゆる 所謂
うえ 方向を示す際は漢字書き
うち 内部を示す際は漢字書き
おおむね 概ね
おこなう 行う
おそらく 恐らく
おもしろい 面白い
および 及び
かつ 且つ
かろうじて 辛うじて
ください 下さい
くらい
こと
ごと
ごとく 如く
ことに 殊に
ころ
ご存じ ご存知
さきほど 先程
さまざま 様々
さらに 更に
しかし 然し
しがたい し難い
しきりに 頻りに
したがって 従って
ずいぶん 随分
すぐ 直ぐ
すごい 凄い
すでに 既に
すなわち 即ち/則ち
すべて 全て
ぜひ 是非
そば
たくさん 沢山
ただ
ただし 但し
たち 友達以外はひらく「君たち」「私たち」など
ため
ちなみに 因みに
ちょうど 丁度
つき 付き 付与されている場合は漢字書き
できる 出来る
とおり 通り 「二通り」など接尾語として使う際は漢字書き
とき/ときどき 時/時々
どこ 何処
ところ
とりあえず 取り敢えず
とも
ない 無い 有無をとくに明確にする場合は漢字書き
なお/なおさら 尚/尚更
など
なにとぞ 何卒
ならびに 並びに
なる 成る
のちほど 後程
はかどる 捗る
ふさわしい 相応しい
ほう
ほか 他/外
ほど
ほとんど 殆ど
まいります 参ります
まず 先ず
また/または 又/又は
まったく 全く
まで
みる 見る 視覚的な場合は漢字書き
むしろ 寧ろ
もしくは 若しくは
もちろん 勿論
もって 以て
もっとも 最も
もはや 最早
もらう 貰う
やさしい/やすい 易しい/易い
ゆえに 故に
よい 良い/善い
ように 様に
ようやく 漸く
よぶ 呼ぶ 声に出しての意味で使う「名前を呼ぶ」は漢字書き
よる 因る/依る/拠る
よろしく 宜しく
わかる 分かる/判る/解る
わけ
わずか/わずかに 僅か/僅かに

「開かない」漢字一覧

ひらがな表記 漢字・かな表記 備考
みずから 自ら

記号・役物

区切る

記号・役物 読み方 用途`
読点(とうてん) - 文中の切れ目
- 語句を並べる区切り

20文字以内が目安。
接続詞や括弧の直後に入れる必要はないが、強調するためにあえて使用する場合がある。
句点(くてん) - 文の末尾につける終止符
, コンマ - 欧文における読点
. ピリオド - 欧文における句点
中黒(なかぐろ) - 同種の語句を並べる区切り
- 箇条書きの行頭
- 外国人の名と性の間
- カタカナ表記の切れ目
: コロン - 見出しと本文の区切り
- 時と分の区切り(12:00など)
; セミコロン - 関係の深い二文をつなぐ(コンマより強い)

日本語ではあまり使われない。
疑問符(ぎもんふ) - 疑問や質問のニュアンス表現

疑問符のあとに句点は不要。
感嘆符(かんたんふ) - 意思を強調したいときのニュアンス表現

セリフや重要な用語を強調する

記号・役物 読み方 用途
「」 かぎ括弧 - セリフ(発言・会話)
- タイトル(書籍・映画など)
- 重要なワード

かぎ括弧内の最後に句点は不要。
『』 二重かぎ括弧 - タイトル(書籍・映画など)
- かぎ括弧の入れ子
‘’ クオーテーション - 欧文におけるかぎ括弧
“” ダブルクオーテーション - 欧文における二重かぎ括弧・引用
() 丸括弧 - 補足(読み方や注釈)
【】 すみつき括弧 - 重要なワード(強調)

多用するとうるさく見えるので注意。
〈〉 山括弧 - 重要なワード
- 引用

不等号ではない。
≪≫ 二重山括弧 - 重要なワード
〔〕 亀甲括弧 - 引用の補足・強調

縦組みで主に使用。
[] 角括弧 - 丸括弧の代用
- 数式・化学式
- 引用の補足・注記

丸括弧と波括弧の入れ子に使われることがある。
{} 波括弧 - 見出しのアクセント・強調

決まった用途はなし。
丸括弧が入れ子になることがある。

文をつなぐ

記号・役物 読み方 用途
ハイフン - 欧文における文節や単語の連結
ダッシュ - 考えや疑惑、余韻などのニュアンス表現
- 引用

文末などで使用。
2回続けて使う。
3点リーダーよりもテンポが早い印象。
波型 - 区間や期間
3点リーダー - 沈黙や時間経過、余韻のニュアンス表現
- 引用

ダッシュよりもテンポが緩やかな印象。

単位や数式を表す

記号・役物 読み方 用途
正符号(せいふごう) - 加算
等号(とうごう) - 相等関係
等号否定(とうごうひてい) - 相等関係
不等号(小なり) - 大小関係
不等号(大なり) - 大小関係

目印として文章を目立たせる

記号・役物 読み方 用途
米印(こめじるし) - 注釈

日本語で使用。
複数の注釈は「※1」のようにする。
アスタリスク - 注釈
- 伏せ字

英文で使用。
ナンバー - 番号
§ セクション、節 - 文章の節
やじるし - 方向・順路・順序
◯ △ ☓ まる、さんかく、ばつ - 比較

接続詞

順接:前提から結果を導く

できるだけ使用を避ける。

接続詞 用途
よって 結果に必然性があるとき
だから 結果に必然性がないとき
そのため 理由を強調したいとき

言い換え:別の言葉で表現する

接続詞 用途
つまり 本当に伝えたいとき
要するに 別の言葉でまとめて伝えたいとき
言い換えれば 別の言葉でわかりやすく伝えたいとき

逆接:反対の内容を強調する

接続詞 用途
しかし 反対のことを伝えたいとき
ところが 予想外の結果を伝えたいとき
とはいえ 結果を認めつつ、反対のことを伝えたいとき
でも 結果が予想外・ポジティブだが、ネガティブな内容を伝えたいとき

対比:前後の内容を比較する

接続詞 用途
一方で 単純に対比したいとき
逆に 別の方向で対比したいとき
に対して 強めに対比したいとき

追加:あとの内容を強調する

接続詞 用途
さらに 単純に追加したいとき
しかも 後続の内容を強調したいとき
そのうえ 全体を強調したいとき
くわえて 同種の別の情報を追加したいとき

補足:事実を強調する

接続詞 用途
ちなみに 参考情報を伝えたいとき
じつは 意外な事実を伝えたいとき
なぜなら 理由を説明したいとき

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