初のリリース準備完了 品質保証とIssueクローズ(開発日記 No.099)
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はじめに
昨日は、主要な機能開発を終え、テストカバレッジを90%以上に維持しつつ、E2Eテストの拡充やテンプレート・モデル指定機能のテスト強化、そして品質保証体制の強化とドキュメント修正を行いました。mainブランチとreleaseブランチの差分もなくなり、開発フェーズは一段落しました。
そして今日、いよいよ初のリリースに向けた最終準備に取り組みました。CHANGELOGの作成、最終的なE2E/CI確認、ドキュメントの最終化、そして残っていたIssueのクローズなど、リリース前の総仕上げです。
背景と目的
今回の開発は、特定のCLIツールを開発し、それをユーザーに届けられる状態にすることが大きな目標でした。機能開発が完了した今、最も重要なのは「品質保証」と「ユーザーが迷わず使える状態にする」ことです。
そのため、リリース前に以下の点を徹底的に確認し、整備する必要がありました。
- 開発した機能が意図通りに動作すること(CI/E2Eテスト)。
- ユーザーがツールを簡単にインストールし、使い始められること(ドキュメント、インストールガイド)。
- これまでの開発で発生した課題が全て解決されていること(Issueのクローズ)。
- 変更履歴が明確であること(CHANGELOG)。
これらの目的を達成することで、自信を持って最初のバージョンをリリースできると考えました。
検討内容
リリース準備にあたり、特に以下の点を重点的に確認する必要があると考えました。
- テストの網羅性: 機能開発中に拡充したE2Eテストや単体テストが、本当に主要なユースケースをカバーできているか。
- ドキュメントの正確性: 特にインストール手順や基本的な使い方が、実際の環境で再現可能か。開発環境と異なるユーザー環境での動作を想定する必要がある。
- Issueの残存: オープンになっているIssueが、今回のリリースで対応済みか、あるいは次期バージョン以降の課題として整理されているか。
- リリース手順: タグ付け、CHANGELOG作成、ブランチのマージといった一連のリリースフローに抜け漏れがないか。
これらの点を頭の中でチェックリストのように確認しながら、具体的な作業計画を立てました。特にドキュメントとインストール手順の検証は、ユーザー体験に直結するため、念入りに行うことにしました。
実装内容
本日の主な作業内容は以下の通りです。
-
CI/E2Eテストの最終実行と確認:
- GitHub Actions上で設定しているCI/E2Eワークフローを手動でトリガーし、最終実行しました。
- 結果、全てのテストが正常にパスしていることを確認しました。
- テストカバレッジも90%以上を維持していました。
-
ドキュメントの最終整備:
- 特にインストールガイドに焦点を当て、表現の修正や補足情報の追加を行いました。
- Pythonの仮想環境(venvなど)を使用することを推奨する記述を明確に追記しました。
-
CLIツールの実機検証:
- 整備したインストールガイドに従い、クリーンな仮想環境を構築し、CLIツール(
content-converter
)をインストールしました。 - インストールしたツールが、ドキュメントに記載されている通りに実行できるか、主要なオプションが機能するかなどを手動で検証しました。問題なく動作することを確認しました。
- 整備したインストールガイドに従い、クリーンな仮想環境を構築し、CLIツール(
-
Issueのクローズ:
- オープンになっていたIssue(#8, #5, #4)の内容を最終確認しました。
- 今回の開発で対応済みであることを確認し、全てクローズしました。
-
リリース反映手続き:
- 開発が完了した
release/2025-06-06
ブランチの内容をmain
ブランチにマージするためのPull Request(#9)を作成しました。 - PRをレビューし、マージを実行しました。
- 開発が完了した
-
タグの付与:
-
main
ブランチにマージされたコミットに対して、最初のバージョンを示すv0.1.0
タグを付与しました。
-
-
開発終了処理:
- 一連の作業が完了したため、開発終了を示すワークフローを実行し、記録を終了しました。
技術的なポイント
今回のリリース準備で重要だった技術的なポイントはいくつかあります。
- CI/E2Eの信頼性: 自動化されたテストスイートが安定して動作し、品質の最後の砦として機能していることの重要性を改めて認識しました。これがなければ、手動での確認に膨大な時間がかかり、見落としのリスクも高まります。
- ドキュメントの役割: 特にCLIツールのようなものは、ドキュメントがユーザーとの最初の接点になります。インストール手順一つとっても、環境依存の問題が発生しやすいため、仮想環境の推奨など、丁寧な記述が不可欠です。実際にドキュメント通りにインストール・実行してみる「実機検証」は、開発環境だけでは気づけない問題を発見するために非常に有効でした。
- Gitフロー: シンプルながらも、開発ブランチからリリースブランチ、そしてmainブランチへとマージしていくGitフローは、変更履歴を管理し、リリースバージョンを明確にする上で役立ちます。タグ付けも、特定の時点のコードを後から参照するために重要です。
所感
ついに、初めてのリリース準備が完了しました!機能開発そのものも大変でしたが、最後のリリース準備は、また違った種類の集中力が必要でした。
特にドキュメントの最終整備や、インストールガイド通りに自分でツールをインストールしてみる作業は、開発者視点からユーザー視点への切り替えが求められ、非常に勉強になりました。「この表現で本当に伝わるかな?」「この手順で詰まることはないかな?」と自問自答しながらの作業でした。仮想環境の推奨を明記したのも、そういったユーザー視点での気づきからです。
CI/E2Eテストが全てグリーンになった時は、本当にホッとしました。これまでの開発の積み重ねが、品質として現れた瞬間だと感じました。残っていたIssueを全てクローズできたのも、小さなことですが大きな達成感がありました。
このプロジェクトを通じて、単にコードを書くだけでなく、テスト、ドキュメント、Issue管理、そしてリリースプロセスといった開発全体の流れを経験できたことは、大きな財産です。
今後の課題
今回のリリースで一つの区切りとなりますが、開発は続きます。今後の課題としては、以下が挙げられます。
- リリース後のユーザーからのフィードバックを収集し、改善に繋げること。
- 今回対応できなかった機能や、ユーザーからの要望を次期バージョンの開発計画に反映させること。
- 開発日記にも記載していた「会話ログ・作業記録の自動化」など、開発プロセスの効率化・自動化をさらに進めること。
まとめ
本日の作業をもって、CLIツールの初のリリースに向けた準備が全て完了しました。CI/E2Eテストの正常パス、ドキュメントの最終整備、CLIツールの実機検証、残存Issueのクローズ、そしてリリースブランチからmainブランチへのマージとタグ付けまで、計画していた全てのタスクを完了することができました。
品質保証体制も整い、自信を持って最初のバージョンをユーザーに届けられる状態になりました。この開発で得られた学びを活かし、今後もツールを改善し、より良いものにしていきたいと思います。
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