LLM対話で実現する継続的な開発プロセス
LLM対話で実現する継続的な開発プロセス
はじめに
この記事では、私が日々の開発で実践しているLLMを活用した開発サイクルについて紹介します。LLMとの対話を通じて開発を進め、その過程を自動的に記録し、さらにZenn記事として公開するまでの一連の流れを解説します。
開発サイクルの全体像
私の開発サイクルは以下の5つのステップで構成されています:
- 前日の活動履歴共有
- 今日のテーマ設定
- 対話による開発進行
- 成果のバージョン管理
- 開発日記のまとめ
これらのステップを毎日繰り返すことで、継続的な開発と知識の蓄積を目指します。
開発セッションの始め方
私の開発サイクルでは、毎日の開発セッションをCursorのチャットまたはClineのチャットスレッドで新規に作成することから始めます。これは単なる習慣ではなく、効率的な開発を維持するための重要なポイントです。
過去の経験から、長大なチャット履歴の中で開発を続けると以下のようなデメリットが生じることがわかりました:
- コンテキストウィンドウの制限により、LLMが過去の会話内容を忘れてしまう
- 応答速度が徐々に低下し、開発効率が落ちる
- トークン消費量が増大し、無料枠を早く使い切ってしまう
- 特定の話題や解決策を後から見つけにくくなる
- チャットの途中でLLMの挙動が不安定になることがある
これらの問題を避けるため、毎日新しいチャットスレッドを作成し、そこを一日の開発セッションとして使用しています。これにより、チャットの応答速度を維持しつつ、日々の開発内容を明確に区切ることができます。
各ステップの詳細
1. 前日の活動履歴共有
開発セッションの最初に、前日までの活動履歴を箇条書きで共有します。これにより、以下のメリットがあります:
- 前回の作業内容を思い出し、今日の作業との連続性を確保
- LLMに対して適切なコンテキストを提供
- 長期的な開発の流れを把握しやすくなる
例:
昨日までの活動履歴は以下の通りです。
* 2025-03-09: CLINEの設定最適化
* 2025-03-10: 日記変換ツールのDocker環境構築
* 2025-03-11: Zenn日記テンプレートの改善
2. 今日のテーマ設定
その日の開発の方向性を明確にするため、具体的なテーマや目標を一文で設定します。
- 明確な目標設定により、作業の焦点が定まる
- 複雑な課題を小さな単位に分解できる
- 達成感を得やすくなる
例:「今日の開発テーマは、Zenn公開用日記フォーマットの改善です。」
3. 対話による開発進行
LLMとの対話を通じて開発を進めます。この過程では:
- 問題の分析と解決策の検討
- コードの実装や修正
- テストと検証
- 疑問点の解消や新たな知識の獲得
対話の内容は自動的に記録され、後から振り返ることができます。
4. 成果のバージョン管理
開発の成果はGitリポジトリで管理します。
- 変更内容の追跡と履歴の保存
- 必要に応じて過去の状態への復元
- チーム開発への移行がスムーズ
5. 開発日記のまとめ
一日の開発セッション終了時に、以下の内容を含む開発日記をまとめます:
- 取り組んだ課題と解決策
- 学んだこと、気づいたこと
- 未解決の課題や今後の取り組み
- 全体の成果と感想
Zenn記事への変換プロセス
開発日記は必要に応じてZenn記事に変換します。変換プロセスは以下の通りです:
- 開発日記の「会話ログ」から重要なポイントを抽出
- 各セクションに関連する内容を整理して配置
- 技術的な詳細と個人的な視点のバランスを取る
- 読者にとって価値のある情報を優先
- 全体の流れを整えて一貫性のある記事に仕上げる
- 具体的な例や図表を追加して理解を促進
- 読者の興味を引く導入と締めくくりを工夫
LLM活用のベストプラクティス
効果的なコミュニケーション
LLMとの効果的なコミュニケーションのために心がけていることは:
- 具体的な指示: 明確かつ具体的に伝える
- 目的の共有: 開発の目的や背景を伝える
- 質問の活用: 不明点は積極的に質問する
- 反復的な対話: 対話を重ねて深い洞察を得る
開発効率の最大化
開発効率を最大化するためのポイント:
- 一度に複数の指示を出すのではなく、段階的に進める
- 複雑な問題は分解して取り組む
- 定期的に進捗を確認し、方向性を調整する
- 成功パターンを記録し、再利用する
自動記録システムの活用
開発プロセスの記録を自動化するために、専用のプロンプトシステムを構築しています。このシステムについては、以下の開発日記で詳しく紹介しています:
これらの取り組みにより、以下のような効果が得られています:
- 会話内容の自動記録
- 構造化された開発日記の生成
- Zenn記事への変換の効率化
さらに、開発日記をZenn記事に変換するための自動化ツールも開発しています:
これらのツールを組み合わせることで、開発プロセス全体の効率化と知識の蓄積・共有を実現しています。
継続のための工夫
開発サイクルを長期間にわたって回し続けるために、私が特に意識している点がいくつかあります。
毎日の積み重ね
どんなに内容が少なくても、毎日何かしらの活動を行い、記録することを自分へのルールとしています。自動記録システムや公開日記の作成システムの開発も、この「継続」をより容易にするための取り組みの一環です。小さな一歩でも、毎日積み重ねることで大きな成果につながると信じています。
コスト管理の工夫
LLMの利用はなるべく無料で済むよう工夫しています。Cursorの無料枠や、Google Gemini APIなどの無料枠があるLLMモデルのAPIを積極的に活用することで、経済的な負担なく開発を続けられるようにしています。これも長期的な継続を可能にするための重要な要素です。
バランスの取れた進行
継続のためのもう一つの工夫として、開発の強弱をつけないように意識しています。仕事や家事、子育てが忙しくほとんど時間が取れない日もあれば、平日と休日で使える時間も大きく異なります。そんな中でも無理なく続けられるよう、「今日はたくさんやったから、明日はいいか」といった考えに陥らないよう注意しています。
小さな目標を設定し、少しずつでも着実に進めることで、長期的な開発の流れを維持しています。この「コンスタントに続ける」という姿勢が、結果的に大きな成果につながっていると実感しています。
まとめ
LLMを活用した開発サイクルは、単なる開発支援ツールの利用を超えて、知識の蓄積と共有、継続的な学習、効率的な問題解決を可能にします。この記事で紹介した開発サイクルを参考に、皆さんも自分なりのLLM活用法を見つけていただければ幸いです。
今後も開発サイクルの改善を続け、より効率的で創造的な開発プロセスを目指していきます。
Discussion