Cline用自動記録プロンプトの統合と改善
Cline用自動記録プロンプトの統合と改善
はじめに
LLMを活用した開発プロセスでは、会話の記録と整理が重要です。これまで私は「Cline_Guide.md」と「cline_auto_logging_prompt.md」という2つの別々のドキュメントを使用して、開発プロセスのガイドラインと会話の自動記録を管理していました。しかし、これらのドキュメントは重複する内容も多く、別々に管理することで一貫性を保つのが難しくなっていました。
今回は、これら2つのドキュメントを統合し、より包括的で使いやすい自動記録プロンプトを作成する過程を紹介します。さらに、メンテナンス性を向上させるための改善も行いました。
既存ドキュメントの分析
cline_auto_logging_prompt.md
このファイルは、Clineとの会話を自動的に記録するための基本的なプロンプトでした。主な特徴は以下の通りです:
- 日付ベースの開発日記ファイル作成
- 会話ログの自動記録
- シンプルな記録ルール(コード出力やエラーメッセージの要約など)
しかし、このプロンプトには開発プロセス全体のガイダンスや、記録した内容の活用方法についての詳細が不足していました。
Cline_Guide.md
こちらは、LLMと連携して効率的に開発を進めるためのより包括的なガイドラインでした:
- 基本的な開発サイクルの説明
- 開発日記作成プロセス(2段階方式)
- 開発日記の品質向上ポイント
- 開発日記の文章構成ガイドライン
- LLMへの効果的な指示例
- LLM活用のベストプラクティス
このガイドは詳細でしたが、自動記録機能が組み込まれていませんでした。
統合アプローチ
両方のドキュメントを分析した結果、以下の方針で統合することにしました:
- cline_auto_logging_promptの自動記録機能を基盤として維持
- Cline_Guideの開発サイクルと品質向上ポイントを統合
- 重複を排除し、一貫性のある構造に整理
- オプション機能(Zenn公開など)を明確に区分
- メンテナンス性を向上させるために、特定の機能を別ファイルに分離
統合プロンプトの構造
新しく作成した「Cline_Auto_Logging_Guide.md」は以下の構造になっています:
基本設定
- 日付ベースのファイル作成
- 開発日記の基本構造
- 会話記録のルール(外部ファイルへの参照)
開発サイクルの進行
- 前日の活動履歴共有
- 今日のテーマ設定
- 対話による開発進行
- 成果のバージョン管理
- 開発日記のまとめ
Zenn公開用日記作成(オプション)
- 保存場所と作成方法
- 外部テンプレートファイルへの参照
品質向上のポイント
- 内容と表現の改善方法
LLM活用のベストプラクティス
- 効果的なコミュニケーション
- 開発効率の最大化
関連ファイル
- 会話ログフォーマットへの参照
- Zennテンプレートへの参照
モジュール化による改善
統合に加えて、メンテナンス性を向上させるために以下のモジュール化を行いました:
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会話ログフォーマットの分離:
- 「conversation_log_format.md」に会話ログの詳細なフォーマットと記録ルールを定義
- 本体からは参照のみを記載し、詳細は外部ファイルに委譲
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Zennテンプレートの分離:
- 「zenn_template.md」にZenn記事のテンプレートと詳細な記述ルールを定義
- 本体からは参照のみを記載し、詳細は外部ファイルに委譲
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各モジュールの改善:
- 会話ログフォーマットに記録の品質向上ポイントを追加
- Zennテンプレートに開発日記からの変換プロセスを追加
- 両ファイルに開発日記との統合方法を明記
改善ポイント
統合とモジュール化によって以下の点が改善されました:
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一貫性の向上: 別々のドキュメントで管理していた情報が一箇所に集約され、一貫性が向上しました。
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使いやすさの向上: 必要な情報がすべて1つのドキュメントにまとまり、参照が容易になりました。
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構造の明確化: 基本機能とオプション機能が明確に区分され、必要に応じて選択できるようになりました。
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記録の質の向上: Cline_Guideの品質向上ポイントが組み込まれ、より質の高い開発日記が作成できるようになりました。
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効率の向上: 自動記録機能とベストプラクティスが統合され、開発プロセス全体の効率が向上しました。
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ファイル管理の整理: 元の2つのファイルを削除し、統合ファイルに適切な名前を付けることで、ファイル管理も整理されました。
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メンテナンス性の向上: 特定の機能を別ファイルに分離することで、各部分の独立した更新が容易になりました。
今後の課題
統合したプロンプトにはまだ改善の余地があります:
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実際の使用テスト: 実際の開発プロジェクトで使用し、問題点を洗い出す必要があります。
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カスタマイズオプションの追加: プロジェクトの性質に応じてカスタマイズできるオプションを追加すると良いでしょう。
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自動化の拡張: 現在は会話の記録のみ自動化していますが、要約や分析などの機能も追加できる可能性があります。
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分離したファイル間の一貫性維持: モジュール化したファイル間の一貫性を維持するための仕組みが必要です。
まとめ
今回の統合とモジュール化により、LLMを活用した開発プロセスの記録と管理がより効率的になりました。自動記録機能と包括的なガイドラインが一体化したことで、開発の質と効率の両方が向上することが期待できます。
また、会話ログのフォーマットとZennテンプレートを別ファイルに分離することで、メンテナンス性も向上しました。これにより、各ファイルの役割が明確になり、将来の更新や拡張が容易になりました。
元のファイルは削除し、統合ファイルの名前をCline_Auto_Logging_Guide.mdに変更して、ファイル管理も整理しました。これにより、今後のメンテナンスも容易になるでしょう。
今後も実際の使用経験をもとに改善を続け、より使いやすく効果的なプロンプトに進化させていきたいと思います。
Discussion
引き続き、Cursor無料プランのPremium枠で、Claude-3.7-sonnetを使って生成。
CursorのAgentModeで、会話の一発目でテーマを伝えたら、続く応答でzenn公開用記事の作成までやってくれた。
ファイル統合の件はその後の会話で「まだ終わってない」と言って追加で指示出し。こちらもスムーズに会話ログの記録と公開用日記の修正を行ってくれた。素晴らしい。