[2025年5月30日] Claude Code Actionしか勝たん?ほんと? (週刊AI)
こんにちは、Kaiです。
先週に発表が固まり過ぎていたせいで、大きいニュースはあまりなかったようです。
その代わり、ユーザによる検証・やってみた系がものすごい数公開されており、さすがに全部は追い切れていません。
特に開発者コミュニティでは、Claude Code Actionの体験が頭一つ抜けている、とされています。まだ少し触った程度ですが、確かにCodexとは一線を画す体験のように思います。
最近は社内の色々な部署でAI導入のサポートをすることも増えているのですが、AIエージェントコーディングに取り組んでいても、ある同じ感想を抱くことが増えました。それは、 「全てのコンテクストを、文字列として、AIリーダブルな一か所に集積する」 ことの重要性です。
どんなに優秀な人であっても入社初日から結果を出せないように、人間社会は膨大な暗黙知を前提として運営されています。少なくとも現在のAIは長期記憶を持たないため、業務をAI化するにしても、エージェントにコーディングさせるにしても、その膨大な暗黙知を明文化し、必要なときに参照させなければなりません。
業務であれば、会社がどんな事業を営んでおり、どんな顧客に何のサービスを提供し、どのように対価を得ているのか。コーディングであれば、誰のどんな課題を解決するために、何を作ろうとしているのか。そういった、 「目の前の作業の前提となるメタ知識」 を整理するために、元になる情報が必要だと感じています。幸い、AIは膨大な情報を処理することが得意なので、議事録の文字起こし、Officeファイル、メール、メモなど「とにかく何でもあらゆる情報をテキストとして一か所に集める」ことさえできれば、あとはAIがやってくれるはずです。
これは想像ですが、Deep Research系のAIエージェントが多数出てきていることを鑑みると、「AIリーダブルデータレイク」→Deep Researchによる必要情報抽出、コンテクスト化→「AI向けメタ知識」→エージェントによるタスク実行 という流れが、ここ数ヶ月で確立されるのではないかと考えています。
とすると、Officeファイルなど、AI親和性の低いプロプライエタリなファイルフォーマット自体から脱却できる企業と、できない企業で、業務スピードが10倍とかになったりするのではないか……などと思ったりします。AIネイティブな企業は、おそらくこのやり方を前提として立ち上がって来るはずです。
もちろんMSなどはCopilotとOfficeの統合を引き続き目指すと思いますが、どうしても汎用性に限界はあるはず。ひょっとしたら、10年後の会社は全てMDやYAMLやJSONで業務を行っているのかもしれません。
冒頭ポエムはこれくらいにして、今週のトピックスです。
注意事項
- 直近収集したAIおよびWeb系の記事やポストが中心になります
- 私のアンテナに引っかかった順なので、多少古い日付のものを紹介する場合があります
- 業務状況次第でお休みしたり、掲載タイミングが変わったりします
AI新着モデル、サービス、アップデート
DeepSeek-R1-0528がひっそりとリリース、オープンモデルでo3レベルのベンチ
モデルカードもなし、説明もなし、華々しい発表もなし。
いよいよ国家プロジェクトになってきた感じでしょうか。
Claude(Sonnet, Opus, Code, Code Action含む)関連
先日の発表を受けたClaude系の記事は多数出ていたので、まとめてざざっと記載してしまいます。
Claude Code で5時間で2つのミニアプリを作った話
GitHub Copilot Coding Agent と Claude Code + GitHub Actions はどちらがどんな人向きか
Claude Code Actionのプロンプト設計が、AIエージェント開発にかなり参考になる件
Agentic Coding 感想戦
ライブ感あって面白かったです。
Claude Code Actionをさっそくレビューしてみた!
Claude Codeを使う際のMAXプランのRate Limitを理解する
Claude Opus 4が数万行のコードに潜む4年間未解決のバグを発見し解決
Coding Agentをこれから導入するならClaude Code Actionが個人的におすすめ
Claude CodeをUbuntuで試してみたけどどうなん?
Claude Code完全攻略Wiki(隠しコマンド編 - think,拡張機能,思考予算)
その他AI系話題
TS特化Clineプログラミング
Clineに全て賭けた人のプロンプトノウハウ共有資料。
Devin Searchのプロンプト生成機能で指示の精度を上げる
プロンプトもエージェントに作らせる時代へ。先述の通り、人間はコンテクストを与える仕事にフォーカスですね。
生成AIに「要件定義プロンプト」を作らせてみたら、未来が見えた話
これも同じ文脈。私もエージェントコーディングするときはメタ知識だけ提示してあとは対話形式でやっています。
【2025年5月完全版】RAG の教科書
超大作。とりあえず今のRAGについてはこれを読んでおけば間違いないです。
エディタ型からCLI型・自律型へと多様化するコーディングエージェント
現時点でのコーディングエージェント総覧。Cursorがコードをインデックス化するのに対し、Clineはしない(文脈が大切なためチャンク分割にそぐわないとのこと)戦略を取っているのは面白いですね。リンク先の表は社内検討のときに使えそう。
【令和最新版】やさしいBedrock Agentsハンズオン!
当社はBedrockも利用していますが、このようにAWSリソースの一部として使えるのは結構な強みだと思っています。
日本語ModernBERTの開発
SB Intuitionsの3回シリーズブログ。先日公開された日本語ModernBERTの裏側についてお話してくださっています。
たった20秒でUIデザイン完成?Googleの新AIツール「Stitch」をさっそく使ってみた!
Google I/O直後にはあまり話題になっていなかったですが、これはいいかも。
iOSアプリ開発もLLMで自動運転する
やはりこういったスクラッチの軽いアプリ開発は1時間で出来てしまう世界に。
AIのための オンボーディングドキュメントを整備する
冒頭に書いたテーマと同じ趣旨かなと思います。ただこれも、そのうち膨大なテキストデータレイクからAIが整備してくれるようになる気がします。
作って覚えるAIエージェント:1000行以内のtiny-agentをバイブコーディングで作ってみる
「あえて自分で作ってみる」ことで見えてくるものはたくさんありそう。
新しいブラウザ操作系エージェントのworkflow-useがかなり良さそうな予感
Browser-useは画面ごとに都度都度AIが判断する形でしたが、これは決められたワークフローに従ってブラウザを操作。……ん?SeleniumとかPuppeteerでいいのでは……?
AIエージェントで並列実装なら必須技術! Git Worktree を理解する
人間とは異なる次元での並列実装をする際に使うノウハウ。Claude Code公式でも言及されているそうです。
SmartHRの複数のチームにおけるMCPサーバーの活用事例と課題
冒頭で書いたテキストデータレイクのインタフェースがMCPになるんだろうな、という予感のする記事。
Google I/O 2025 で驚いたところメモ
先週もまとめ記事をいくつか紹介しましたが、こちらが一番網羅性が高そうでしたので改めて。
WEB開発系話題
変化に強いテーブル設計の勘所
ビジネスの変化を視野に入れたDB設計は永遠の課題。
ABテスト入門
入門とありますが、「そもそもABテストは何のためにやるのか?」「統計的に意味のあるABテストとは何なのか?」といったお話があり、やること自体が目的化しないためにも定期的に読み返したい。
Amazon Aurora DSQL が一般提供になりました
予告されていた真のサーバレスかつマルチリージョンのAuroraがリリース(日本はまだシングルリージョンのみ)。
その他一般テック話題
郵便番号・デジタルアドレスAPI
公式できちんとした無料APIとして提供されました。ありがたい。
[Windows]+[Shift]+[T]キーでデスクトップのテキストをAIが認識&コピー
Windows11のプレビュー機能で、AIによる自動OCRが実装されるとのこと。
We are hiring!
私の所属するAI技術開発室では、AIを応用した医療系サービスを手掛けています。先日は以下の「CareNet Academia」をリリースしました。
積極採用中ですので、こういった医療xAIの領域に興味のある方は、是非以下からご応募ください!
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