ビットキーにおけるスマートロックの問い合わせ対応フローを紹介
この記事は株式会社ビットキー Advent Calendar 2024 23日目の記事です。
Product Insight所属の中川が担当します。
はじめに
ビットキーではスマートロックやWebアプリケーションといったプロダクトを扱っており、様々な場面でお客様に利用されています。
今回は、ハードウェアデバイスの問い合わせをどのように対応しているかを紹介します。
問い合わせ対応の流れ
ビットキーでは「前衛」と呼ばれるslack chにて問い合わせ対応を行っており、この記事ではスマートロック、即ち「デバイス」に関する不具合を例として問い合わせ対応の流れを記載します。
下記図は「デバイス」における問い合わせ〜最終的な解決までの一連のプロセスを示しており、ここでは「事象内容の確認」〜「解析調査」までの工程について説明します。
「前衛」の詳細に関しては弊社高石の記事を参照頂ければと思います。https://zenn.dev/bitkey_dev/articles/0a6e1ba9ea432d?redirected=1
事象内容の確認
問い合わせは各担当者からSlackを通じて報告され、Notionのデータベースに情報が蓄積されます。この段階では分析が難しいため、次の「事象の分類」工程で各事象への紐付けを行います。
事象の分類
各問い合わせが既知事象に該当するか確認し該当する事象がある場合は、不具合事象データベースに登録された事象と紐付けを行うことで、市場の問い合わせ傾向の分析や品質状況の可視化が行える状態になります。
下記のグラフは、問い合わせの発生件数を事象別に分類して可視化したものです。このような分類により、問い合わせの傾向を明確に把握することができます。
問い合わせを体系的に整理することで、問題の傾向把握と対応の優先順位付けが容易になり、より効率的な製品改善が可能となります。
「縦軸:FIT(品質指標、詳細はこちら)
解析調査
既知事象に該当しなかった場合はデバイスの解析調査を行います。ここではビットキーでよく行われている調査の内、「動作確認」「ログ調査」「電流測定」を例として説明します。
動作確認
デバイスの初期登録、解錠・施錠、登録削除等、お客様の手元でよく行われる操作で動作に異常がないか確認します。
ログ調査
デバイスには操作履歴を記録する小型メモリが内蔵されており、このメモリから抽出したログから「電池残量の推移」や「再起動の頻度」などの重要な情報を確認できます。
電池残量の推移を表したグラフの例
再起動(boot)の発生日時を記録したログ
電流測定
下記のような測定機材を使用してデバイスの電流値を測定します。測定値に異常が見られた場合、デバイス内部の基板や配線などに物理的な破損などがあると考えられます。
引用元URL:https://docs.nordicsemi.com/
実機画像
下記は実際の測定例になります。
正常品の電流値が100~140[μA]なのに対し、測定値が2.5[mA]と異常に高いことからデバイス本体に物理的な破損があると考えられる結果となります。
測定時のPC画面
おわりに
不具合という言葉はネガティブな印象を与えがちですが、発生事象を詳細に分析することで事前の検知や発生率の低減につながる手がかりが見えてくることがあります。
一つ一つの作業は地味になりがちですが、そこから得られた知見を活用することでこれまで解決が難しいと思われていた問題も解決できるようになる—それこそが私たちの仕事の醍醐味だと考えています。
24日目の株式会社ビットキー Advent Calendar 2024は、@Roku Mikami_bitkeyが執筆します。
引き続き是非御覧ください。
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