🌾

「困難」は構造化できる!〜『チームレジリエンス』を読んで学んだ困難との向き合い方〜

に公開

こんにちは、BABY JOB 開発部のミヤギです。

はじめに

昨今、「不確実性」や「 VUCA[1] 」という言葉をよく耳にします。
EM の役割を担当している身としても全く他人ごとではなく、向き合う毎日です。

仕様の変更、急なトラブル、先の見えない目標 ……etc
日々、多種多様な「困難」が目の前に現れます。
先の見えない困難であればあるほど、苦手意識を持ってしまう人も多いでしょう。

そんな中、弊社のマネージャー向け輪読会[2]チームレジリエンス 困難と不確実性に強いチームのつくり方 という本を読みました。

https://pub.jmam.co.jp/book/b644902.html

今回は、本書を通して学んだ 「困難との向き合い方」 について、つらつらと書いてみたいと思います。

困難は「気合」ではなく「ロジック」で扱える

レジリエンス とは、「ストレスを受けて回復する力」といった意味で使われます。
https://www.weblio.jp/content/レジリエンス

なんとなく「打たれ強さ」や「忍耐力」といった精神論をイメージする人が多いのではないでしょうか。
もちろん、精神的な強さも重要です。
しかし、それだけでは個人の力量に依存してしまいます。
本書では、チームとして 「困難に対してロジカルに向き合う方法」 が紹介されています。

漠然とした「大変なこと」を、エンジニアリングのように構造化して捉える視点。
これが、私にとっては非常に腹落ちするものでした。
納得感の高かった点を 2 つ具体的に紹介します。

1. 「困難の性質」によってアプローチを選択する

本書では、困難に対するアプローチ方法の選び方についての記述がありました。
困難の「性質」を鑑みると、大きく 2 つの観点で困難を分解することができます。

  • 急性 ↔ 慢性
  • 外的要因 ↔ 内的要因

この 2 つの観点をマトリクスにすると、それぞれの象限によってアプローチ方法が異なります。

例えば、突発的な外部サービスの障害(急性 × 外的要因)であれば、原因追及よりもまずは「被害の最小化」という 止血対応 が最優先になります。
一方で、慢性的な内部の技術的負債(慢性 × 内的要因)であれば、一時の勢いではなく、腰を据えた 計画的な治療 が必要になります。

「今、自分たちが直面しているのはどの象限なのか?」 これをマッピングするだけで、見えない敵の正体がわかり、向き合い方を切り替えることができるという考え方です。

2. 「難しさの要因」を段階で捉える

困難には乗り越えること自体の 難しさ があります。
本書では、困難を乗り越えるフェーズに焦点を当て、「ボトルネックとなりやすい箇所」を紹介していました。

困難への対処がうまくいかない要因は、大きく分けて以下の三段階に分けて考えられます。

  1. 課題化できていない
    • 困難を「解決可能な課題(タスク)」として具体的に落とし込めていない
  2. 取り組むことができていない
    • 課題解決に必要なリソースを用意できていない
  3. チームの状態が正常ではない
    • メンバーのストレスが高まりすぎて、正常な判断や行動ができない

「なんとなく進まない」という状況も、このフィルタを通せば「あ、そもそも課題の定義がふわっとしているな」とか「やることは明確だけど、チームが疲弊していて手が動かないんだな」といった具合に、デバッグすることができます。

おわりに

困難は、ただ「怖いもの」ではありません。
「分類し、段階を追って分解できる対象」 としてロジカルに捉えることができます。
困難と向き合うことが不可欠であればこそ、困難と上手に向き合い、成長の糧にしていきたいと思います。

脚注
  1. Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉。あらゆる環境が目まぐるしく変化し、予測が困難な状態を指す。 ↩︎

  2. 開発部マネージャー主体で毎週マネジメント系書籍の輪読会を開催しています。たまに他部署のマネージャーが参加することもあります。 ↩︎

BABY JOB  テックブログ

Discussion