書類選考をAI化してみた結果、時間短縮より嬉しい効果があった話
はじめに
みなさまこんにちは、こんばんは!エアークローゼットCTOの辻です。
採用活動において、書類選考は非常に重要なプロセスですが、同時に最も時間とリソースを消費する工程でもありますよね。多くの応募書類に目を通し、一人ひとりの経験やスキルを評価し、自社とのマッチ度を判定する。この作業を丁寧に行おうとすると、どうしても膨大な時間がかかってしまいます。
最近、エアークローゼットではNotebookLMを活用した書類選考の仕組みを導入し、驚くほどの効果を実感しています。今回は、その具体的な運用フローと実際に得られた効果について共有させていただきたいと思います。ぜひ最後までお読みいただけたら嬉しいです!
なぜ書類選考にAIを導入したのか
エアークローゼットは創業以来、エンジニア採用を非常に重視してきました。優秀なエンジニアの採用は、技術力の向上だけでなく、チーム全体の生産性向上にも直結するからです。
書類選考にかかる時間は決して小さくありませんが、それは非常に重要なプロセスです。そして、時間的制約により応募書類を隅々まで読み込むことが困難になり、「本当は優秀だが、パッと見では分からない候補者」を見逃してしまうリスクが課題でした。
具体的な運用フロー
1. 事前準備:エアクロの技術・文化情報をNotebookLMに学習
まず、過去に書いたエアクロのエンジニア組織の技術や文化に関する記事をNotebookLMに読み込ませます。具体的には以下のような情報です:
- イベント駆動アーキテクチャへの取り組み
- フルスタックエンジニアリングの思想
- AI活用への姿勢(Claude Code Max導入など)
- リアルタイムコミュニケーション重視の文化
- ニックネーム制度や合宿などの組織文化
これらの情報をベースとして、NotebookLMがエアクロの技術的な方向性や組織文化を理解できるようにしています。
2. 候補者情報の分析と判定
候補者の履歴書、職務経歴書、ポートフォリオなどの情報をNotebookLMに読み込ませ、以下の観点で分析を依頼します:
- 技術的マッチ度: 候補者のスキルがエアクロの技術スタックや開発方針と合致しているか
- 文化的マッチ度: フルスタックエンジニアリングや積極的なコミュニケーションといった文化に適応できそうか
- 成長ポテンシャル: 経験年数だけでなく、学習意欲や技術への取り組み姿勢
- 相互マッチング: エアクロにとってのメリットだけでなく、候補者にとってもエアクロがプラスになるか
NotebookLMは、これらの観点から候補者がエアクロに合うか合わないかを分析し、その根拠を詳細に文章化してくれます。
3. 最終判断とフィードバック
NotebookLMの評価結果を参考に、私自身が候補者の情報を改めて確認し、最終的な判断を行います。AIの分析により見るべきポイントが明確になっているため、限られた時間でもより深く候補者を理解できるようになりました。
実際に得られた効果
1. 業務効率の劇的な改善
まずわかりやすい効果は、時間短縮でした。これまで1人の候補者の書類を詳細に確認するのに約10分かかっていましたが、AI活用により約3分程度で同等以上の精度での判定が可能になりました。つまり、選考にかかる時間が1/3程度に短縮されたのです。
この時間短縮により、他の重要な業務(技術戦略の策定、既存メンバーとの1on1、開発プロセスの改善など)により多くの時間を割けるようになりました。
2. 書類選考の質の向上
正直なところ、AI導入の目的は「時間短縮」だったのですが、予想していなかった最も嬉しい効果が、この選考の質の向上でした。
以前は時間的制約から「ざっと目を通す」程度の確認しかできない場合がありましたが、AIが重要なポイントを抽出してくれることで、候補者の強みや課題をより正確に把握できるようになりました。単に効率化されただけでなく、より深く候補者を理解できるようになったのです。
3. より客観的な評価の実現
人間の判断には、どうしても主観的なバイアスが入ってしまいます。しかし、AIは事前に学習した評価基準に基づいて一貫した判断を行うため、より客観的で公平な評価が可能になりました。
また、AIが判定根拠を詳細に文章化してくれるため、なぜその判断に至ったのかが明確になり、面接官への引き継ぎもスムーズになりました。
セキュリティ面での安心感
採用情報は非常に機密性の高い情報です。NotebookLMはEnterprise版が提供されており、データの暗号化、IAMによるアクセス制御、監査ログ、VPC Service Controls対応など、エンタープライズレベルのセキュリティ機能が備わっています。
個人情報保護の観点からも、データの適切な管理と削除が可能で、コンプライアンス要件を満たしながらAI活用を進められる点は大きなメリットです。
注意すべきポイント
もちろん、AI活用にも注意すべき点があります:
AIはあくまで支援ツールであり、最終的な判断は必ず人間が行う必要があります。AIの分析は非常に有用ですが、候補者の人となりや細かなニュアンスは、やはり人間が直接確認することが重要です。
また、AI学習データの質が結果に大きく影響するため、組織の価値観や求める人材像を正確にAIに伝えることが成功の鍵となります。
おわりに
書類選考へのAI導入は、単なる効率化以上の価値をもたらしてくれました。時間短縮により他の重要な業務に集中できるようになり、同時に選考の質も向上した。そして何より、優秀な候補者を見逃すリスクを大幅に減らすことができました。
AI技術の進化により、採用活動も大きく変わろうとしています。重要なのは、AIの特性を理解し、適切に活用することです。AIに全てを任せるのではなく、人間とAIがそれぞれの強みを活かして協働することで、より良い採用活動が実現できると確信しています。
エアークローゼットでは、こうした先進的な取り組みに一緒にチャレンジしてくれるエンジニアを積極的に募集しています!AI時代の採用プロセスを一緒に進化させていきませんか?
興味を持っていただけた方は、ぜひエアークローゼットのエンジニア採用サイト「エアクロクエスト」をご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
技術とAIの力で、採用活動に新しい価値を創造する。その挑戦は、まだ始まったばかりです。
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