低温環境でのインテリジェントバッテリーの放電特性
背景
以前に簡易的に低温環境を作り出してバッテリーの性能を評価しました。
また、インテリジェントバッテリーについて、各社の比較を行いました。
今回は、長瀬産業様の恒温槽及び充放電装置を用いて試験を行ってもらいました。
充放電試験
供試バッテリー
前回行った充放電試験の結果より、価格は高いが性能はそこそこのTattuPlus、TattuProと、価格が安くて性能が比較的良いJarwinのバッテリーの3種類の計測を行いました。
型番 | TATTU-PRO-25C-22000-12S1P-AS150-F | TATTU-PLUS1.0-25C-22000-12S1P-AS150-F | HY12S22 |
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外観 | ![]() |
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Brand / maker | tattu/grepow | tattu/grepow | jarwin |
website | https://genstattu.com/ | https://genstattu.com/ | https://jarwin.cn/ |
価格(@maker website) | $977.99 | $869.99 | $299.45 |
Size(TxWxH) | 117x174x238mm | 116x172x235.5mm | 175x110x258mm |
Battery weight | 6400g(±100g) | 6250g(±100g) | 5960g |
電圧特性 | △ | 〇 | ◎ |
温度特性 | ◎ | △ | × |
評価条件
電圧
条件①:Full充電 ⇒ Vo=3.0V・・n=1cycle 供試数=3セット 環境温度=25℃
条件②:Full充電 ⇒ Vo=3.0V・・n=1cycle 供試数=3セット 環境温度=-20℃
※Full充電とは、セル電圧が4.2Vになることを指す
※条件①および②ともに、充電は、必ず環境温度25℃で実施する
※Voは、各セル電圧の最小の電圧値
※供試セットは、条件①終了後、条件②で使用する
電流
充電及び放電は1C
結果
型番 | TATTU-PRO-25C-22000-12S1P-AS150-F | TATTU-PLUS1.0-25C-22000-12S1P-AS150-F | HY12S22 |
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Brand / maker | tattu/grepow | tattu/grepow | jarwin |
SOH % @25℃ | 86.4 | 93.9 | 93.3 |
SOH % @-20℃ | 75.8 | 80.3 | 88 |
SOH低下率 % | 12.3 | 14.5 | 5.7 |
まとめ
周囲温度が25℃の場合と比較して、周囲温度が-20℃になると、全てのバッテリーにおいてSOHが低下することがわかりました。
一番驚いたのは、Tattuの場合、SOHの低下率が12~14%だったのに対し、なんと価格の安いJarwinだとSOHの低下率が5.7%しかないことでした。
TattuPlusとJarwinのバッテリーの表面温度は、TattuProと比較すると上昇するのが速い傾向がわかります。この温度はあくまでも表面温度なので、内部温度はもう少し高くなっているはずです。
この影響で、JarwinのバッテリーのSOHが伸びたのかもしれませんが、同様に温度が上昇しているTattuPlusのSOH低下率について説明することができません。
いずれにせよ、低温環境下での特性については、Jarwinの一択になった結果となりました。
しかし、常温環境や比較的高温な環境については、このJarwinの温度上昇について意識する必要があると思います。
また、今回の試験はあくまでもサンプル数が1個なので、実運用として使うためには、サンプル数を増やして検証していく必要があります。
Discussion