20名のテスタールールから得られた経験とGoogle Play Store公開ルール変更に関する意見とアンケート
はじめに
こんにちわ。zmsoftです。
昨年12月末にAndroidのDeveloper登録をしました。
ご興味が前回の記事もご確認頂ければと思います。
今回は、新ルールを経験した実体験を元に
- ルール変更がなぜ行われたか
- 20名ルールが個人開発者に与える影響
- アプリ市場に与える効果と影響
- Googleの狙い
- 今後、どのようにルール変更されるか
といったことを考えていきたいと思います。
対象読者
2023年11月以降にDeveloper登録を行った或いは予定している個人開発者
PlayStoreでアプリ公開しているAndroid開発者
20名ルールの目的
まず、このルールの目的についてです。以下の通り、品質の確保が目的とされています。
すべてのデベロッパーが質の高いアプリを配信できるようにするため、新しいテスト要件を導入することになりました。
個人開発者に与える影響
では、このルールが個人開発者に実際にどう影響するかを考えたいと思います。これについては、まず私自身がクローズドテストを終えるまでに行ったこと、実体験を記載します。
実体験:行ったこと
テストに当たって私は以下を行いました。
- 家族への依頼
- テスター募集方法の調査
- SNSの導入
- Discord
- GoogleGroupsでの連絡
まずは、手近なテスターとして、家族への依頼を行いました。勿論全く人数が足りないのでどうするか悩み、色々と検索をしました。20台の機器にインストールし起動するサービスとして一万円以上を要求するもの等が多く目に付きましたが、具体的にテスターを集めるための情報は案外少なかったです。YoutubeでDiscordの存在をしり、導入をしました。そこから、他の開発者と相互にテストを実施していましたが、複数のアプリを開発していたこともあり、それでも不十分でした。そのため、Redditに登録したり、他のテスターのグループに参加した際に他のグループメンバにテストの交換を持ちかけたりしました。
実体験:テストで得たもの/失った
得たものは、他の開発者に働きかけるアグレッシブさ、失ったものは時間です。
テストに対する期待は、品質向上ですが正直なところあまり品質には貢献しないテストだと感じました。自分が他の開発者のアプリをテストすることを考えると分かりますが、興味のないアプリであることの方が多い、興味があったとしても本格的にテストする時間はかけられない 為です。勿論、開発者によっては指摘をくれる場合もあり、私自身も気が付いたことは指摘をするのですが、いかんせんテストにかけている時間が少ないので指摘が浅く、既に分かっているような修正予定であった内容が殆どになってしまいます。テスターを探す時間があれば最初から直せていた、というようなものでした。(例外的に特定の端末で基本機能が動かないといったようなものはありましたが、特定端末で落ちる場合はどちらかというとPlayConsole登録時に行われる自動テストで見つかる印象です。)
そういった意味でソフト品質的に得られるものは少なく、どちらかというと「このルールがなければここまで積極的に動くことがなかった」であろう自身の人間的な成長を得られたという感想です。ただ、それにしてもテスター集めにかかる時間が多く、「割に合いません」でした。
個人開発者にどう影響する?
既に広く言われていますが、個人開発者として登録してアプリをリリースする人は大きく減るものと予想されます。実際に開発者同士でテスト交換するのは、始めてしまえば難しいことはないですが、最初の気持ちのハードルが大きく、かつ取られる時間が多すぎます。当然、それをクリアできる人は絞られてきますし、お試しで自分のアプリをリリースしてみたいという開発者は減るでしょう。しかし、私が一番問題と考えるのは、「時間を取られる」ことと「あまり品質に貢献しない」、つまりは、割にあわない作業であることです。開発者が限られた時間で作業をしている中で、非効率なことに時間を取られれば(時間をロスすれば)当然、個人開発者のアプリ品質は下がります。
アプリ市場に与える影響
では、アプリ市場に目を広げるとどうでしょうか?Googleの狙いである市場全体の品質向上を考えるには、以下の二つがどう作用するかを考慮する必要があります。
- 低品質なアプリ(開発者)の選別
- 各アプリ開発者の時間のロス
Googleとしては後者に触れず、前者を全面に押し出して品質向上を見込んでいるようですが本当にそうでしょうか?私は寧ろ後者の影響が大きく市場全体の品質低下を招くものだと考えています。なぜなら、そもそも私たちがPlayStoreで目にしているのはリリースされているごく一部、批判を恐れずにいうと「上澄み」であるためです。新規の使われないアプリが減ったところでユーザーから見た品質は変わらないでしょう。実際にアプリをリリースしたことのある開発者であれば、ストアで自分のアプリを見つけるのがいかに難しいかご存じだと思います。一方で各アプリの開発者の時間のロスは個人開発者全体に影響し、市場品質にも影響するでしょう。
Googleの本当の狙い?
ここまで記載したことを天才集団であるGoogleが考えていないのでしょうか?勿論そんなことはなく、本当の狙いは別にあるものと思われます。思いつくところだと審査コストです。多くのアプリが登録されれば、それだけ審査に関わる人が多くなります。アプリが十分に出揃ってきた今、そのコストがGoogleにとって、「割に合わない」ものなので減らしたい、というところでしょう。ただ、割に合わない、だけであれば開発者登録料を上げる、等も手としてはあるはずです。値上げを手段として取らなかったのは、「割に合わない」ことに気づかせるような打ち出しをしたくなかったのと、値上げによる企業イメージの低下をさせたなかったものと思われます。品質 というそれっぽい名目を盾にし、有り余った個人開発者にしわ寄せをさせるようなルール変更に踏み切った というのが私の見解です。他にも狙いはあるのかもしれませんが、個人開発者にとって厳しいものであることには変わりなさそうです。
今後どのようにルール変更されていくか
ルールの適用範囲を広げることで審査コストの削減は更に進むでしょう。既に十分なアプリ(もしくは企業デベロッパー)が出揃ってきていると判断しているであろうGoogleとしては、「新規開発者のアプリ」の審査を減らすだけでは不十分で、「新規アプリを作り続けている既存開発者のアプリ」の審査コストを下げたいはずなので。そうなれば、この問題は既存開発者にとっても他人事ではありません。
最後に
ここまで長文にお付き合い頂きありがとうございました。20名ルールのポリシーに関してアンケートを作りましたので良ければ、ご回答をお願いします。
原則、選択形式で回答を頂ければ内訳を見れますので、他の開発者がどう考えているか、の参考にしてください。後日談はこちら
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