AWS Summit Japan 2025に行ってみた
はじめに
2025年6月25日・26日に幕張メッセで開催されたAWS Summitに参加してきました。今年のJAWS DAYSに参加したときに初めて知り、行きたいと思っていたイベントでした。自分の振り返り用として書いておきます。
当日もらえるもの(持っていかなくていい物)
- 弁当
先着5000人は、弁当引換券もらえる。9時半くらいに着いた人が貰えなかったと言っていたので、かなり早めになくなったと思う。ただ券がなくても、13時以降で余った弁当もらえる。 - 飲み物1本
お茶、水、オレンジジュース... - エナドリ
会場内に配布スペースがあった。(毎年もらえるわけではないかも) - 大きなカバン
アイレットさんのブースで配っていたものが、大容量で良かった - AWSクッション
先着5000人でもらえる。基調講演の席に置いてあった。 - AWS資格持ってる人は、
- 全冠:金のジャケットなど。1日目は500個くらい配布と聞きましたが、10時前になくなっていた
- それ以外:ステッカー。1日目の9時くらいに配布場所を見に行ったら、大大行列だった。
1日目
8時半開場に合わせて、幕張メッセに着いたら既にたくさんの人。受付を済ませると、AWS資格全冠者向けのゴールデンジャケットを配布しているスペースが目の前に。200人近く並んでいた気がする。
全冠の人ってこんなにいるんだ...。
資格取得者向けのステッカー配布場所(別スペース)も見たら、案の定長蛇の列。このステッカーが気になって、前日滑り込みでSAA取ったまであるが、さすがに断念。
基調講演まで1時間以上余裕があったが、早めにホール会場に入った。
広すぎる。
ブースは関係者以外10時まで入れないと言われ、遠目でブースを眺めてた。Outpostsのラックが置かれていて、後で見に行くと決意。
Serverlesspressoも気になった(結局コーヒーは注文しなかった)。
スポンサーがたくさん。
基調講演の席へ。先着のクッションGET。朝の音楽が心地よい。
基調講演
AWS Japanの社長から。
AWS本社の副社長、パートナー企業の方々も続いて登壇。
Anthropicの日本オフィス開設は驚き。
6万3000人もAWS Summit登録しているらしい。
聞いたセッション・ミニステージ
最小権限の原則」を実現するための「AWSポリシー」大全
25分で解説する「スライド資料はこちら。
毎年波田野さんは大好評らしい。去年のセッション資料はこちら。
AWS少しでも触る人は、1度は目通すべきと思った。とてもわかりやすかった。特にスライドのp36,38の捉え方は、なかなか珍しいとのこと(by 波田野さん)。
Amazon SageMaker HyperPod を利用した日本語 LLM (Swallow) の構築
自分と同じ学年の人が登壇して、こんなレベルの高い発表していることが一番驚きだった。
↓内容(ブログあり。雑メモからAIかませた)
- オープンソースのLLMを活用し、日本語性能に特化したモデルを開発するプロジェクト。産総研と科学大の共同研究。
- MetaのLlamaをベースに、継続事前学習を実施。
- 現在までに独自モデルを2つ公開。
- モデルの日本語質問応答(QA)能力を強化するため、教育的価値が高いと判断された日本語コンテンツ(約10%)をコーパスとして学習。
- 1つ目のモデルは、数学・コーディングが弱かった。独自コーパス「SwallowCode」「SwallowMath」を構築して、学習。
- 学習環境には SageMaker の HyperPod を活用。設定ファイルのカスタマイズが可能で、オンプレミスのスーパーコンピュータに近いジョブスケジューリング機能を備える。
- ハードウェア性能が向上しても、データのI/Oがボトルネックになる課題への対処として、FSx for Lustre を使用。ただしコストが高いため、データはS3に保持し、FSxは学習直前に必要な部分だけを一時的にデプロイする運用方式を採用。
CDKのセッション2つ
「CDK を安心して使うために改めて読み直そう。CDK Security and Safety Dev Guide」「全てをコードで管理する Web アプリ開発 ~ AWS CDK で広がるチーム開発」の2つを連続で聞いた。
cdk destroyでストレージが残るのは、RemovalPolicyがdefaultでRETAINになっているからとのこと(注意しないと、リソースが残って課金され続ける)。
参考にすべき資料も知れました。
その他
- DevSecOpsのセッション
スライドはこちら。
全然理解できなかったが、大盛況だった。DevSecOps勉強したいなら、最高水準で厳格なアメリカ国防総省のDevSecOpsガイドラインを見るといいとのこと。 - ソニー
Strands Agents SDKでエージェント開発している。AIエージェントプログラムを70-80%圧縮した。 - PayPay
キャッシュレス決済の5回に1回がPayPayとのこと。データ基盤は、AWSやSnowflakeのマネージド型サービスが中心。
印象に残っている展示
Anthropic
Claude Codeのデモで、ゲームや3D太陽系作ってた。
ソニー・ホンダモビリティ
AFFELA 1の展示。AWS Summitに車置かれるの珍しい、ってツイッターで見かけた。
公式のアナウンスはこちら。
AWS Outpostsのラック
Outpostsは、AWSのインフラを顧客のデータセンターに置いて、AWSサービスを顧客のオンプレに拡張して提供できる。低遅延・データ主権を重視する企業向け。
↑画像内のQRコード
JR東日本メカトロニクス
Suicaでいろんな認証できるID-PORT。
NTT東日本
Amazon Connectのユースケースを見たかった。NTTデータや、それ以外のブースでもたくさんAmazon Connectを見かけた気がする。
QuizKnockのAWS早押しクイズ
遅めの時間帯だったが、大勢参加してた。5問のAWSクイズに解答し、上位5人がQuizKnockと壇上で直接対決できる。クイズ自体は、すごい難しいわけではなかった。自分は1問間違えた。
Q:Amazon Aurora DSQLが採用している、DBでトランザクションの競合を前提としない設計は?
A:楽観的並行性制御
初めて聞いた...。
2日目
基調講演は電車乗りながら聞いた。ライブ配信がバックグラウンド再生できないことを知らず、スマホで見ながらPC触る2台体制となってしまい、電車で手が忙しくなってしまった。
基調講演
1日目も強調されていたが、「セキュリティは最優先事項」として、セキュリティ周りの話から始まった。Nitro Systemにより専用ハードウェアとワークロード領域に分割し、パフォーマンスだけでなくセキュリティが向上した、などのお話。
パートナー企業として、ドワンゴの社長が登壇。株主総会前とのことだったが、去年6月に起きたサイバー攻撃も踏まえて、セキュリティ強化の重要性を強調していた。
AWSは事業構想が始まった当時(2003年頃)、統合パッケージが主流だった。ただ、個々の顧客に対して最適なソリューションを提供できない形態だったため、「Building blocks」の考え方が生まれた。これがAWSにおけるサービス開発の基本理念となった。この講演では、「Compute」「Strage」「Database」「Inference」の4つのbuilding blockに分けて、説明が行われた。
初日の基調講演でも少し触れられていたが、Amazon Aurora DSQLにおける、リージョンを跨ぐ超高精度な時刻同期の仕組みが印象的だった。
途中でNTTドコモの方が登壇していたが、障害発生時に被疑箇所の推定を15秒ほどで行う仕組みが圧巻だった。
聞いたセッション・ミニステージ
初日はメインセッションはあまり行かず、ミニステージ多めでしたが、すごく面白いものばかりでした。2日目もミニステージ多めにして、メインはアーカイブで見ようと思ってました。
大阪リージョンデータセンタ一の耐震性、耐災害性、DRサイトとしての有用性のご紹介
スピーカーの方がすごい楽しそうに話してたので、立ち止まって聞いてみた。
↓内容
- 大阪リージョンは3つのAZもつ、れっきとしたAWSリージョン(東京リージョンのおまけではない)
- 可用性はシステムを止めないこと、DR(災害復旧)は止まってもすぐ復旧させること
- AWSのDR戦略は、RTO(目標復旧時間)とRPO(目標復旧時点)に基づいて4段階ある。
- バックアップと復元
- パイロットライト
- ウォームスタンバイ
- マルチサイトアクティブ/アクティブ
- 想定する災害
- 地震:耐震構造で、震度7でも大丈夫
- 津波:浸水予定の高さを踏まえ、全てのサーバールームが2階以上。海外のデータセンター低め(2階くらい)が多いが、日本は5階とか8階とか高いってどこかに書いてあった気がする(勘違いかも)。
- 富士山の噴火:風向き的に大丈夫
- 大阪リージョン関連の展示資料はこちら。
AIエージェント最前線! Amazon Bedrock、Amazon Q、そしてMCPを使いこなそう
スライド資料はこちら。
みのるんさんのステージが大盛況だった。キャパの10倍くらいは聞いている人いて、ロープによる規制線が張られていた。
↑引用
2025年はAIエージェント元年。あんまり使えていないな...。
AWS CDK実践的アプローチN選
スライド資料はこちら。
TIPSを聞く以前に、自分はCDKをもっと触らないとだなーって感じた。このTIPSが理解できるくらいになりたい。
後藤さんのブログはこちら。
アーキテクチャ道場 2025 - 実践編!
スライド資料はこちら。
同じ時間帯に見たいセッションが他にもいくつかあったが、悩んだ末これを聞くことに。
与えられたお題に対してAWSソリューションアーキテクトの方がアーキテクチャを考えるというセッション。毎年大人気らしく、今年もほぼ席が埋まっていた。
2つの事例が紹介されており、顧客や業界特有の要件を満たすために、様々な工夫が施されているのが面白かった。
1つ目はZOZOTOWNの事例。
実店舗での購買体験と同じにするため、カートに入れるときに在庫引当を行う仕様となっている。そのため、在庫テーブルとカートテーブルを設けた上で、
- 在庫数の確認
- 在庫テーブルの在庫数を減らす
- カートテーブルにレコードを追加
という処理をトランザクションで行う必要がある。
在庫テーブルへの更新リクエストの負荷集中を軽減すべく、キューイングシステムにより非同期化を行っていた。ただ更新処理の非同期化に伴い問題が起こるので、様々な工夫をしている。
面白かったのは、過熱商品用と通常商品用のキューを分けていたこと。さらに過熱商品のリストについては、アクセス状況をもとに自動メンテナンスできる構成となっていた。
その他、在庫テーブルへの読み取り・書き込みの競合を低減する工夫も紹介していた。
2つ目はSBIセキュリティ・ソリューションズの事例。
業界特有の要件として、セッション維持や固定IPアドレスによる接続が求められるため、ステートレスでIPアドレスが動的なAWSとの親和性が低い。これを解決するため、緩衝層として中継センタを設けていた。
この事例では、Human-in-the-Loopのアプローチが取られていたのが面白かった。
↑
閾値を決めるのが難しい。誤検知の可能性があるので、ゾーンシフトの判断に人間が介入している。ゆくゆくは全自動化を見据えつつも、当面はエラー率の適切な閾値の知見を溜めるような構成としている。
↑
リージョン切り替えは自動で行わず、人間が判断する。切り替えの1時間はサービスが停止するため、ビジネスインパクトを考慮しなくてはいけない。
AWS Outpost をクイック解説 ~お客様が望むところへクラウドを延伸~
アーキテクチャ道場が終わってから、急いで聞きにいった。途中で抜けたので、10分弱しか聞けなった。
[雑メモ]
- 第二世代outposts rack(東京リージョンはまだ第一世代だけ)
- 料金調べたら桁がおかしい...。(そりゃそうか)
- Amazonフルフィルメントセンター(物流拠点)でも、ロボット制御にoutposts使われているとのこと
- 参考:使い方の動画
印象に残っている展示
バーチャルデータセンター
5人くらい待機列に並んでいた。体験時間が長めなので、20分強待った。待機列並んでいるときに、AWSのセキュリティ担当の方に、いろんなお話を聞けて面白かった。
もちろん今回は、セキュリティ上公開していいものだけ見せている。そもそもデータセンターの場所は、AWS社員でも限られた人しか知らない。
VRゴーグルを装着し、操作する機器を手に持って体験。データセンター内部の様々な設備を見られた。
内部の様子を、覚えている範囲で箇条書きしておく。
- セキュリティロビー、セキュリティ監視室を抜けて、ようやくメインの滞在エリア。
- 寝る場所、休憩スペースがある(お菓子とか、コーヒーマシンとか)
- ローディングエリア
- 安全に荷物を運び入れる
- 電力関連
- 発電室に、非常用の発電機がある。
- 電力供給が上流で止まっても、自動で特定・切り離し。自動修復も行う(セルフヒーリング)。
- 消火設備
- 消火方法は、乾式、湿式、気体式。
- 水は基本再生水を使う。2次利用として水道水。
- データホール
- ラック等が置いてある場所。
- ここに入る前にも、また厳格な認証がある。
- 気圧、温度、湿度などを制御。熱効率高めるため、冷気エリアと熱気エリアを分離している
- ラックが「→→」じゃなくて「→←」のような配置になっている
- 集めた熱気は、天井から逃す(熱気のエリアだけ天井が高かった)
- 寿命迎えたストレージデバイスを管理する部屋
- 2mm以下に細断すると、理論的にも実験的にも、絶対中身を復元できないとのこと。
- NIST 800-88に準拠
- 物理セキュリティ
- 全体的に、DoD(アメリカ国防総省)、ホームランド・セキュリティ(アメリカ国土安全保障省)のレベルに合わせている。アメリカでもガバメントクラウドだから、最高水準の物理セキュリティ。日本だと空港くらいしか適用されてない。あとは自衛隊とか。
- データセンタ関連の参考ページ
Nitro Card、Graviton
Nitro CardとGravitonで機能分離しており、どちらかがボトルネックになると全体の性能が律速する。
- Nitro CardがI/O処理、セキュリティ機能(セキュアブートなど)を担う。
- v1は10Gbps → v6は400Gbps
- GravitonがCPUを担う。ARMベースのカスタムプロセッサ。
山岡家
あの山岡家でAWSが使われているらしい。写真を取り損ねたので、拾い画を載せておきます。
AWS障害が起きたら麺が茹でられなくなる、とX上で話題になっていたが、それに対して山岡家がコメント。
山岡家行きたくなった。
感想
- AWSのサービスが多すぎて、聞いたことのないものばかりだった。ただサミット前にSAAを取っておいたおかげで、サービス名に対してアレルギー反応を起こさなかったのは良かった。AWSを使っていく中で、好きなサービスは見つけたい。
- 会場が広いので、1日中回るのは体力がいる。2日間フルで参加したが、Builders Fairをしっかり見てなかった。面白い展示たくさんあったとのことで、だいぶ悔やまれる。
- メインセッションもいいけど、ミニステージも面白い。見たいのが被ったら、メインセッションはアーカイブでいいとは思った。
- AWSがあえて説明していない点に気づけるようになりたい(インターン先の社員さんに言われた)
- 来年も現地参加したいけど、社会人になったら2日間はさすがに難しいかなあ。
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