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科学的管理法

2022/07/23に公開

Note 内容の信憑性についての「おことわり

科学的管理法(テイラー・システム)

所感

19世紀当時の現場任せのいい加減な管理手法が、賃金問題や怠業を招き、
課業がその問題を解決したが、「人間を機械的に扱う」と解釈され、批判を集めることになった。

テイラーの手法は非常に合理的であるが、人間の非合理性や人間性の否定がそれを素直に受け入れられなかった要因ではないかと考えた。
(当時の批判内容は詳しく調べられていない)

一方で、科学的管理法は今でも人事評価制度や給与制度に残っており、
能力評価やノルマの考えは、賃金問題や怠業を避け、能率を促進する一定の効果があるのだろう。

Taylor, though the Isaac Newton (or perhaps the Archimedes) of the science of work, laid only first foundations, however. Not much has been added to them since—even though he has been dead all of sixty years.

Peter Ferdinand Drucker

至極当然のこととして、非情に合理性を求めることは非情なシステムであるという人間からの反感を買う。
しかし、そのことが後のホーソン実験や人間関係論の台頭に寄与したことは確かであろう。

内容

19世紀末、産業革命によりアメリカでは工業化が急速に発展し、労働作業の能率化が問題になった。
これを解消すべく能率増進策が推進され、後の科学的管理法に発展した。

Note 【能率】一定時間にできる仕事の割合。仕事のはかどり方。作業量の効率。

当時、経営者は現場に積極的に関与せず、成り行き経営が一般的であった。
現場では、内部請負制度によって、1日の生産量を勘や経験から目分量で決めることが常態化していた。
19世紀の能率増進策は、賃金上昇を招き、それを抑制する賃下げがしばしば行われた。
これにより、労働者は賃金制度に不満を持ち、怠業を蔓延させた。

Note 労働者は幸福の既得権を持っており、報酬が変わらなければ、必要以上に働いても得がないと考える。
テイラーは、労働者は同じ報酬の中で最も遅い人が行う仕事量にあわせる傾向を観察している。

テイラーは、怠業の原因を賃金制度の根底にある賃率決定方法の非科学性にあると仮定し、労働作業を客観的・科学的に分析した。
分析の結果、「公正な1日の作業量」にあたる課業(ノルマ)を設定した。
課業を設定するにあたり、次のことを決定した。

  • 標準作業時間。1時間で製品10個製造できるなら、1日(8時間労働)の課業は80個と決めることができる
  • 手順の標準化。標準作業時間を求めるには、作業内容が合理的に適正化され、標準化されている必要がある

テイラーは、管理問題の解決を科学に求めることで、労使間の問題を除去できるとし、科学的管理の必要性を説いた。
このような科学的管理法の根底にある考え方をテイラーリズムと呼ぶ。

批判

科学的管理法は、その内容から人間を機械運動と同一視して扱っていることへの批判が労働組合や労働科学者から集まった。
1920年頃になると、これらの批判からか労務管理や人事管理といった領域に分化した。

参考資料

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