戦略・作戦・戦術・兵站と生産性の3レイヤーを結びつける:組織の問題を解く統合フレームワークを調査してみた
はじめに:エンジニア出身の私が感じた「階層の壁」
私はエンジニアからキャリアをスタートしました。当時は、ひたすら戦術レイヤーでアウトプットを出し続けることに集中していました。「早く、正確に、品質高く」コードを書き、機能を実装し、バグを修正する。それが私の仕事の全てでした。
しかし、マネジメント層にキャリアを進めるにつれて、大きな壁にぶつかりました。
困ったことがあると、すぐに「手を動かすアウトプット」で結果を出そうとしてしまう自分がいるのです。
チームの生産性が低い?「開発効率化ツールを作ろう」
プロジェクトが遅れている?「人を増やして作業を分担しよう」
顧客満足度が低い?「機能をもっと追加しよう」
振り返ってみると、私には戦略・作戦レイヤーの情報を取りに行く習慣がありませんでした。「なぜこの課題が発生しているのか?」「そもそも我々は何を目指しているのか?」といった上位の文脈を理解せずに、目の前の問題に戦術的な解決策を当てはめ続けていたのです。
そんな中で、様々な組織でこんな会話を何度も聞くようになりました:
「なぜ現場はあんなに頑張っているのに成果が上がらないんだろう?」
「戦略はちゃんと立てたのに、実行でつまずいてしまう」
「生産性を上げろって言われるけど、何から手をつけていいか分からない」
経営層と現場の間で、何かが噛み合っていない。でも、その「何か」が何なのかがよく分からない。そして、エンジニア出身の私自身も、この「何か」の正体を掴めずにいました。
そんなモヤモヤした状態が続いていた時、3つの重要な概念に出会いました:
- 「戦略・作戦・戦術・兵站」 - 組織の活動を4つの階層で整理する軍事由来のフレームワーク
- 「生産性の3レイヤー」 - 仕事量・期待付加価値・実現付加価値で生産性を分類する開発組織の枠組み
- 「アウトプットとアウトカム」 - 活動の直接的成果物と最終的に実現したい価値の違い
これらを個別に学んでいるうちに、ふと気づいたのです。
「この3つの概念がどのように深く関連しているのか、そして私のような『戦術脳』から脱却するヒントはないのか、徹底的に調査してみよう」
特に「戦略・作戦・戦術・兵站」の4階層と「生産性の3レイヤー」の対応関係、そして「アウトプット」と「アウトカム」がどの階層で重要になるのか。これらの関係性を正確に理解できれば、エンジニア出身の私でも組織の問題を構造的に整理できるのではないか。
この素朴な疑問と、「なぜ自分は戦術ばかりに偏ってしまうのか」という反省から始まった調査と考察を、この記事で整理したいと思います。
この記事では、これら3つの概念の関係性を深掘りし、組織の問題を構造的に理解するための統合フレームワークとして活用する方法を構想したいと思います。同じようにエンジニア出身で「戦術脳」から抜け出したい方の参考になれば嬉しいです。
この記事で読者が得られること
この記事を読むことで、以下の3つの価値を提供したいと考えています:
1. 組織課題の構造的理解
問題が「戦略・作戦・戦術・兵站」のどの階層にあるかを見極め、適切なレベルで対策を打つ判断力
2. 統合フレームワークの活用法
「4階層 × 3レイヤー × アウトプット/アウトカム」を組み合わせた、実践的な組織分析・改善ツール
3. エンジニア出身者の視点拡張
戦術偏重から脱却し、上位階層(戦略・作戦)の情報を取りに行く習慣とマインドセット
本記事の最終目標は、**目的関数(事業価値)→制約(資源・時間)→設計(計画)→実行(方法)**という抽象モデルを軸に、各階層の必然的な関係性を理解し、組織力を最大化することです。
調査して分かった3つのこと
1. 組織の問題には「階層」がある
同じように見える問題でも、戦略・作戦・戦術・兵站のどの階層にあるかでアプローチが全く異なる
2. 生産性の3レイヤーと見事に対応している
作業量→期待価値→実現価値の3レイヤーが、戦術→作戦→戦略と綺麗にマッピングされる
3. 「どこから手をつけるか」が明確になる
上位階層の問題は下位では解決できない。適切な階層で適切な対策を打つことが重要
Step 1: 問題の原理を把握する - 4階層フレームワークの基本構造
4階層の基本構造
軍事由来のこのフレームワーク(ポートフォリオマネジメント的な組織設計手法)は、組織の活動をピラミッド型の4階層で整理します。上位ほど長期的で全体的(資源配分・優先度設計)、下位ほど短期的で具体的な活動になります。
戦略(Strategy):方向性を決める
定義:組織が長期的に成功するための大局的な方針・目標
役割:
- 「どの戦いをどこで戦うか」を決める
- 企業のビジョンを具体的なシナリオに落とし込む
- 自社の強みを活かした勝ち筋を描く
具体例:
- 「新領域開拓型:AIチャットボット市場で2年以内にシェア30%獲得」
- 「差別化戦略型:革新的UXでブルーオーシャン市場を開拓」
- 「集中戦略型:既存顧客のリテンションを120%向上させるCX戦略」
ステークホルダー:CEO、取締役会、経営企画部門
作戦(Operation):計画を立てる
定義:戦略を実現するための具体的なプロジェクト計画
役割:
- 戦略を複数の中期的施策にブレイクダウン
- 「何を・いつ・どこで実行するか」を決める
- リソースと制約を考慮した実現可能な計画を策定
具体例:
- 「測定可能なマイルストーン:来年度中にプロトタイプ開発完了、主要企業20社でPoC実施」
- 「具体的な数値目標:3月ローンチイベントで参加者500名、SNSインプレッション100万達成」
- 「コストとリソース計画:開発人員10名、マーケティング予算500万円で実行」
ステークホルダー:事業部長、部門責任者、プロジェクト統括、プロダクトマネージャー
戦術(Tactics):実行する
定義:作戦を現場で実行するための具体的な方法論・手段
役割:
- 現場レベルでの具体的なアクション
- 状況に応じた柔軟な調整と改善
- 繰り返し使えるノウハウの蓄積
具体例:
- 「開発手法:アジャイル開発で2週間スプリント、毎回ユーザーテスト実施」
- 「営業アプローチ:役員クラス訪問、デモ中心のソリューション提案」
- 「品質管理:コードレビュー100%、自動テストカバレッジ80%以上維持」
ステークホルダー:現場マネージャー、チームリーダー、実務担当者、プロジェクトマネージャー
兵站(Logistics):支える
定義:戦略・作戦・戦術を支えるリソース供給と支援システム
役割:
- ヒト・モノ・カネ・情報の前線への供給
- 組織全体を下支えする基盤整備
- 「戦う行為」以外のすべての支援活動
具体例:
- 「人的リソース:エンジニア採用・研修、組織体制設計、パフォーマンス管理」
- 「財務リソース:資金調達、予算管理、ROI測定・投資判断」
- 「技術リソース:CI/CDパイプライン、クラウドインフラ、セキュリティ基盤」
- 「情報リソース:ナレッジマネジメント、ベストプラクティスの標準化」
ステークホルダー:バックオフィス部門、CFO、COO
調査していて驚いた「プロは兵站を語る」という言葉(出典:米軍の格言「素人は戦略を語り、プロは兵站を語る」*1)
*1: 「Amateurs talk about strategy, professionals talk about logistics.」とされる米軍関係者の有名な格言。出典例:Thomas E. Ricks, "The Generals"(2012)など。
軍事の世界には「戦争のプロは兵站を語り、素人は戦略を語る」という格言があることを知りました。ビジネスに置き換えると「プロは実行基盤(リソース配分)を語り、素人は戦略を語る」とも言えるでしょう。
最初は「兵站なんて地味じゃない」と思っていたのですが、よく考えてみるとこれは深い洞察でした。どんなに素晴らしい戦略や戦術を考えても、それを実行するためのリソースや基盤がなければ、結局は絵に描いた餅になってしまうからです。
これ、ビジネスでもまさに同じだなと思いました。
4階層フレームワークのまとめ
- 4階層は上位ほど長期的・全体的、下位ほど短期的・具体的
- 各階層は異なる時間軸と責任範囲を持つ(戦略:1-3年、作戦:3-12ヶ月、戦術:1日-3ヶ月)
- 兵站(リソース・基盤)は全階層を支える見えない土台として機能する
Step 2: 成果の本質を見極める - アウトプットとアウトカムの構造的理解
生産性の話をする前に、まずはアウトプットとアウトカムの違いを整理しておきたいと思います。調査していて分かったのは、この2つが意外と混同しやすいことでした。
アウトプット(Output):活動の直接的な成果物
- 定義:組織が直接コントロールできる活動の結果
- 例:開発したフィーチャー数、営業訪問件数、実施したキャンペーン数
- 特徴:測定しやすい、短期で結果が見える
アウトカム(Outcome):最終的に実現したい価値・影響
- 定義:顧客や市場に与えた価値や変化
- 例:売上向上、顧客満足度改善、市場シェア拡大
- 特徴:測定に時間がかかる、複数要因に影響される
この区別、なぜこんなに重要なのか?
実際に様々な組織を見ていて気づいたのは、多くのチームが「アウトプット」を一生懸命増やそうとして、最終的な「アウトカム」を見失ってしまうことでした。
よくある失敗例:
- フィーチャーをたくさん開発したが、ユーザーが使わない
- 営業活動は活発だが、受注につながらない
- キャンペーンは実行したが、認知度が上がらない
ここで気づいたのは、アウトプットはあくまで手段であり、アウトカムこそが本当の目的だということでした。
アウトプットとアウトカムのまとめ
- アウトプット = 活動の直接的成果物(測定可能、短期的)
- アウトカム = 最終的に実現したい価値(事業価値、長期的影響)
- アウトプットの増加がアウトカムに結び付くのは、上位階層の仮説と整合している場合に限られる
Step 3: 対応表を構築する - 生産性の3レイヤーと4階層の統合
次に、開発組織でよく語られる「生産性の3レイヤー」について調査してみました。このフレームワークも、最初は単純な整理だと思っていたのですが、よく見るとかなり深い内容でした。
特に広木大地氏による解説では、開発生産性の議論が「アイデンティティに届く刃」であることが指摘されており、この話題の繊細さを改めて実感しました。
レベル1:仕事量の生産性
定義:投入した労働に対する作業量の効率
これは経済学でいう「生産性 = アウトプット / インプット」の最も直接的な形です。工場での「従業者数に対してどれだけの量の製品を作れたか」のような物的労働生産性に近い概念です。
測定指標:
- 時間あたりのタスク完了数
- コード行数、バグ修正件数
- 処理したチケット数
- デプロイ頻度
- 変更のリードタイム
特徴:
- 最も測定しやすい
- 個人・チームレベルで改善可能
- 価値や事業貢献度は考慮しない
- 「テキパキと仕事をこなしているか」の世界
改善例:
- 開発環境の整備
- ツール・自動化の導入
- スキル向上、研修実施
レベル2:期待付加価値の生産性
定義:期待される価値を持つ成果物をどれだけ効率的に作れるか
実際の価値(売上貢献など)はリリース後しばらく経たないと測定が困難なため、プロダクトチーム全体で価値があると見込んだ機能をどれだけデリバリーできたかに着目します。
測定指標:
- 重要機能のデリバリー率
- 顧客価値の高い施策の実行効率
- プロダクトロードマップの達成度
- ユーザーストーリーの価値重み付き完了率
特徴:
- 「正しいことをやっているか」を重視
- プロダクト・プロジェクトレベルの判断が重要
- 優先順位付けと取捨選択が鍵
- 量より質の世界
改善例:
- プロダクト戦略の明確化
- 顧客価値に基づく優先順位付け
- 仮説検証プロセスの導入
レベル3:実現付加価値の生産性
定義:最終的な事業成果にどれだけ貢献できたか
開発チーム単独ではなく、カスタマーサクセス・営業・マーケティング等、事業全体の働きによって実現される成果まで含めて測定します。これは広木氏が指摘する「価値労働生産性」に相当します。
測定指標:
- 売上・利益への貢献度
- 市場シェア、顧客満足度
- 事業KPIの改善度
- プロダクトが生み出した総価値
特徴:
- 組織全体の連携が必要
- 外部要因の影響も大きい
- 測定に時間がかかる
- 「事業価値の実現」の世界
改善例:
- 事業戦略の見直し
- 部門間連携の強化
- マーケット戦略の最適化
Step 4: 統合の必然性を理解する - なぜ4階層と3レイヤーが対応するのか
ここで、私が最も驚いた発見についてお話ししたいと思います。それは、ある重要な繋がりに気づいたことです。
軍事の4階層と生産性の3レイヤーが、ほとんど完璧に対応していることに気づいたのです!これは私の調査・分析による仮説ですが、多くの組織で見られるパターンではないかと考えています。
なぜこの対応関係が必然的に生まれるのか
この対応関係は偶然ではありません。両者に共通する抽象的なモデルが存在するのではないかと考えました:
目的関数(事業価値)→ 制約(資源・時間)→ 設計(計画)→ 実行(方法)
このモデルで考えると:
- 目的関数の設定 = 戦略レベル = レベル3(実現付加価値)
- 制約下での最適設計 = 作戦レベル = レベル2(期待付加価値)
- 設計の具体的実行 = 戦術レベル = レベル1(仕事量)
- 実行可能性の条件 = 兵站レベル = 全レイヤーの基盤
つまり、組織活動の本質的な構造(目的→制約→設計→実行)が、どちらのフレームワークでも共通して表現されているため、必然的に対応関係が生まれるのではないかと分析しています。
最初は偶然の一致だと思っていたのですが、よく調べてみると、これには必然性があることが分かりました。
対応関係一覧表
階層 | 主な役割 | 対応する生産性レイヤー | 重要な指標 |
---|---|---|---|
戦略 | 方向性決定・目標設定 | レベル3(実現付加価値) | 売上、市場シェア、事業KPI |
作戦 | 計画立案・優先順位付け | レベル2(期待付加価値) | 重要施策達成率、顧客価値指標 |
戦術 | 現場実行・効率向上 | レベル1(仕事量) | タスク完了率、作業効率 |
兵站 | リソース供給・基盤整備 | レベル1をベースサポート | リソース充足率、環境整備状況 |
なぜこんなにきれいに対応しているのか?
1. 戦略 ↔ レベル3:最終成果を規定する関係
考えてみれば当たり前のことですが、戦略が間違っていたら、どんなに現場が頑張っても最終的な事業成果(レベル3)は上がらないですよね。
例:イベント企画の場合
- 戦略段階:「イベントを開催すべきか、予算はいくらか、どんな成果を期待するか」
- この判断を誤ると、後からいくら頑張っても期待した成果は得られない(まさに「後の祭り」)
2. 作戦 ↔ レベル2:価値創出の効率性
作戦レベルでは「本当に価値のあることを選べているか」がカギになります。ここがうまくいけば、期待付加価値の生産性(レベル2)がグンと上がります。
例:プロダクト開発の場合
- 闇雲に機能を追加するのではなく
- 「ユーザー価値の高い機能に絞って開発する」
- 「ビジネス上重要な領域から着手する」
3. 戦術 ↔ レベル1:実行効率の向上
戦術レベルは「いかに効率よく実行するか」の世界なので、ここでの改善は直接的に作業効率(レベル1)を向上させます。
例:開発チームの場合
- 効率的なコーディング規約
- 開発ツールの活用
- レビュープロセスの改善
4. 兵站:すべての基盤として機能
兵站が整備されていないと、他のすべての階層の生産性が低下します。
例:組織基盤の整備
- 人材の採用・育成が不十分 → 戦術レベルで人手不足
- 予算・リソース配分が不適切 → 作戦の実行に支障
- 意思決定プロセスが曖昧 → 戦略の浸透が困難
Step 5: 実践手順を設計する - 統合フレームワークの4つの活用ステップ
調査を進める中で、この統合フレームワークを実際の組織課題に適用するなら、以下の4ステップが効果的なのではないかと構想しました。同じような課題を抱えている人の参考になればと思います。
ステップ1: 問題の正体を突き止める(課題の階層分類)
最初にやるべきは「いま組織が抱えている問題は、本当はどの階層の問題なのか?」を突き止めることだと考えました。
調査した事例を見ていると、ここで間違えると後の対策が全部的外れになってしまうパターンが多いようです。
戦略レベルの問題:
- 「何をやるべきかわからない」
- 「競合優位性が不明確」
- 「長期ビジョンが曖昧」
作戦レベルの問題:
- 「戦略はあるが実行計画が不十分」
- 「優先順位が不明確」
- 「リソース配分が適切でない」
戦術レベルの問題:
- 「やることは決まっているが効率が悪い」
- 「現場のスキル・ツールが不足」
- 「プロセスが整備されていない」
兵站レベルの問題:
- 「人材・予算が不足している」
- 「組織体制・権限が不明確」
- 「インフラ・システムが脆弱」
ステップ2: 階層に合った指標を設定する
問題の階層が特定できたら、次はその階層に適した指標を設定します。ここでのポイントは「上位階層の指標を下位で測らない」ことです。
戦略階層(レベル3指標):
- 売上成長率、利益率
- 市場シェア、顧客満足度
- 事業目標の達成度
作戦階層(レベル2指標):
- 重要施策の完了率
- 顧客価値指標の改善度
- プロダクトロードマップの進捗
戦術階層(レベル1指標):
- チーム生産性指標
- プロセス効率指標
- スキル習得・向上指標
兵站階層(支援指標):
- リソース充足率
- 組織体制整備状況
- インフラ・ツール整備状況
ステップ3: 適切な階層で適切な対策を打つ
ここが一番重要なポイントです。問題のある階層と同じ階層で対策を打たないと、効果が出ません。
例えば戦略レベルの問題を戦術レベルの改善で解決しようとしても、永遠に解決しません。
戦略の問題 → 戦略レビュー・見直し:
- 市場分析、競合分析の実施
- ビジョン・戦略の再策定
- 事業ポートフォリオの見直し
作戦の問題 → プロジェクト管理・計画改善:
- プロダクト戦略の明確化
- 優先順位付けプロセスの導入
- ロードマップの再構築
戦術の問題 → オペレーション改善:
- プロセス最適化
- ツール・環境の改善
- スキルアップ研修
兵站の問題 → 組織基盤強化:
- 採用・組織体制の見直し
- 予算配分・リソース計画の改善
- インフラ・システム整備
Step 6: 落とし穴を回避する - よくある認識ギャップと対策
罠1: 経営層と現場の「噛み合わなさ」
経営層の視点:
- レベル3(最終成果)を重視
- 「売上が上がらない」「競合に負けている」
現場の視点:
- レベル1(作業効率)を重視
- 「こんなに頑張っているのに評価されない」
こうして対応すべきだと考えました:
「いまどのレイヤーの話をしているのか」を会話の最初に明確にする。これだけで、噛み合わない会話がかなり減るのではないでしょうか。
罠2: 「頑張ってるのに成果が出ない」の原因
よくあるパターン:
- アウトプット(機能数、活動量)を一生懸命増やそうとする
- でも最終的なアウトカム(事業価値)には繋がらない
- 「いつもSlackで雑談ばかりしているけど本当に仕事をしているのか?」のような感覚的な評価
こうして対応すべきだと考えました:
- 「この活動は最終的にどんな価値を生み出すのか?」を必ず確認する
- アウトプットとアウトカムの因果関係を可視化する
- 積み重ねたファクトを重視し、感覚的な不安感に基づく議論を避ける
罠3: 責任範囲の設計不備による過度な指示問題
構造的な対応策として考えられること:
- 各階層の責任範囲を明文化し、組織全体で共有する
- 「上位階層は方向性を示し、実行方法は下位階層に委任する」という原則を徹底する
- 責任範囲の設計が曖昧だと、結果として細部指示が増える傾向があることを認識する
Step 7: 実例で理解を深める - 4階層フレームワークの運用事例
イメージしやすくするための架空物語:AI画像認識スタートアップの成長フィクション
戦略の誕生:「勝てる戦場」を見つけた瞬間
2022年春、AI画像認識スタートアップ「VisionTech」のCEOは、競合ひしめく市場で苦戦していました。汎用的な画像認識では大手に太刀打ちできない。そんな時、製造業の顧客から「工場の検品作業で使える軽量なAIはないか?」という相談がありました。
CEOは市場の可能性を分析しました。大手は巨大なクラウドサービスに注力している一方で、製造現場では「通信遅延なし」「セキュリティ確保」「軽量動作」が求められている。この領域なら競争優位性を築けると判断しました。
戦略が決まりました:
「エッジAI特化で、製造業向け画像認識市場のトップシェアを目指す」
この戦略には明確な「Why(なぜ)」と「What(何を)」がありました。Why:製造現場特有のニーズに大手が対応しきれていない、What:エッジAI技術で工場向け検品ソリューションを提供する。
ここで重要なのは、戦略レベルでは最終的なアウトカム(事業価値の実現)に焦点が当たることです。「市場シェア獲得」という成果は、単なる活動の結果物(アウトプット)ではなく、顧客価値と事業価値が一致した時に実現される最終目標でした。
作戦の展開:戦略を「計画」に変換する
戦略が決まると、次は事業部長とプロダクトマネージャーが動き出します。「エッジAI特化」という戦略を、具体的な行動計画に落とし込む段階です。
事業部長は市場分析を開始しました。製造業のDX投資は年々増加、特に品質管理の自動化ニーズが急拡大している。一方で、既存ソリューションは高価で導入ハードルが高い。
分析の結果、中小製造業をターゲットとし、大企業向けソリューションを10分の1のコストで提供する方針が決まりました。
プロダクトマネージャーはユーザーインタビューを重ね、現場の声を集めました。「誤検知率1%以下」「導入コスト月額10万円以下」「設定の簡単さ」が必須条件として明確になりました。
検討を重ね、作戦が固まりました:
「12ヶ月でプロトタイプ完成→主要製造業20社でPoC→来年度の技術展示会で正式ローンチ」
この作戦には「How(どのように)」「When(いつまでに)」「Where(どこで)」が明確に含まれています。How:プロトタイプ→PoC→ローンチの段階的アプローチ、When:12ヶ月という明確な期限、Where:技術展示会という具体的な発表の場。
作戦レベルでは、戦略のアウトカムを実現するための具体的なアウトプットが定義されます。「プロトタイプ完成」「PoC実施」「展示会ローンチ」は、それぞれが測定可能な成果物(アウトプット)でありながら、最終的な市場シェア獲得(アウトカム)に向けたマイルストーンとして機能していました。
戦術の実行:現場での具体的な実行方法
作戦が決まると、各チームリーダーとプロジェクトマネージャーが動き出します。「12ヶ月でプロトタイプ」という作戦を、日々の開発作業に変換する段階です。
開発チームリーダーは技術的な課題を検討しました。エッジAIの軽量化要件を満たすため、どの程度まで最適化すれば現場で実用可能かを分析する必要がありました。
プロジェクトマネージャーはスケジュール管理を開始。アジャイル開発の2週間スプリントで進捗を管理し、基本アルゴリズム開発、軽量化検証、性能テストの順で進める計画を立てました。
営業チームリーダーは顧客開拓戦略を検討。製造業の技術部門向けに、実際の検品作業をシミュレーションしたデモ環境を整備し、技術責任者に直接デモンストレーションを行う方針を決めました。
マーケティングマネージャーは露出戦略を立案。製造業専門誌とエンジニア向けWebメディアに集中して情報発信を行う計画を策定しました。
戦術が決まりました:
- 開発:アジャイル開発で2週間スプリント、毎回軽量化テストを実施
- 営業:技術責任者向けの実機デモ中心の提案活動
- マーケ:製造業専門メディアでの技術解説記事とエンジニア向けコンテンツ
- PM:全体の進捗管理とリスク対応、週次で各チーム調整
戦術レベルでは、日々の活動による直接的なアウトプットが重要になります。「2週間スプリント完了」「デモ実施回数」「記事公開数」といった具体的な成果物を積み重ねることで、作戦レベルの「プロトタイプ完成」というアウトプットの実現を目指していました。ここでのアウトプットは、最終的なアウトカム(市場シェア獲得)への貢献度を常に意識して管理される必要がありました。
兵站の構築:見えない「支える力」
プロジェクトが動き出すと、様々なリソース不足が明らかになりました。
人事部門では、AIエンジニアの確保が課題となりました。エッジAI経験者は希少で、採用競争が激化している状況でした。
IT部門では、GPU開発環境の調達とセキュリティ設定が必要となりました。製造業向けのソリューションのため、顧客データの機密性確保も重要な要件でした。
財務部門では、エンジニア採用費、クラウド利用料、展示会出展費などを積算した結果、当初想定の1.5倍の予算が必要との試算が出ました。
CEOは検討の結果、戦略的投資として予算増額を承認しました。
兵站が整いました:
- 人事:AIエンジニア5名の緊急採用、競合他社よりも20%高い条件で
- 財務:開発予算2億円確保、エンジェル投資家からの追加調達も視野
- IT:GPU開発環境の構築、セキュリティ監査も含めた万全の体制
12ヶ月後:戦略から戦術まで一体となった成果
技術展示会当日。VisionTechのブースには多くの製造業関係者が訪れました。
展示されたソリューションの性能は「誤検知率0.3%、導入コスト月額8万円、設定時間30分」を実現していました。
来場者からは、大手ベンダーのソリューションと比べて性能は同等以上、コストは10分の1以下という評価を得ることができました。
これは「戦略」で定めた「エッジAI特化」が、「作戦」で具体的な計画に落とし込まれ、「戦術」で日々実行され、「兵站」で必要なリソースが確保された結果でした。
重要なのは、各階層で生み出されたアウトプット(成果物)が、最終的なアウトカム(事業価値)に確実に繋がっていたことです。単に「機能を作った」「イベントに出た」という活動の結果ではなく、「製造業の検品業務を効率化し、顧客と自社の両方に価値をもたらす」という本質的な価値創造が実現されていました。
フレームワークの要点整理
1. 各階層の役割と特徴
階層 | 主要な問い | 時間軸 | 担当者 | 成果物 | アウトプット vs アウトカム |
---|---|---|---|---|---|
戦略 | なぜ?何を? | 1-3年 | CEO・役員 | 競争優位性、市場ポジション | アウトカム重視:事業価値の実現 |
作戦 | どのように?いつ?どこで? | 3-12ヶ月 | 事業部長・PM | 具体的計画、マイルストーン | アウトプット定義:戦略実現への段階的成果物 |
戦術 | どうやって実行? | 1日-3ヶ月 | 現場リーダー・PjM | 実行方法、プロセス | アウトプット生産:日々の具体的成果物 |
兵站 | 何で支える? | 継続的 | バックオフィス | リソース、インフラ | アウトプット支援:成果物生産を支えるリソース |
2. 階層間の連携パターン
上位から下位への流れ:
- 戦略(Why/What)→ 作戦(How/When/Where)→ 戦術(具体的実行)
- 各階層で「抽象→具体」に変換される
- 下位階層は上位階層の制約内で最適化を図る
下位から上位へのフィードバック:
- 戦術レベルの課題が作戦の見直しを促す
- 作戦の困難さが戦略の再検討につながる
- 兵站の制約が全階層に影響する
3. 兵站の重要性
物語で見たように、兵站は「見えない支える力」です:
人的リソース:適切なスキルを持つ人材の確保と育成
財務リソース:必要な資金の調達と配分
技術リソース:インフラ、ツール、システムの整備
プロセスリソース:意思決定、情報共有、品質管理の仕組み
戦略が決まっても、作戦が立案されても、戦術が決定されても、兵站が不十分だと全てが絵に描いた餅になってしまいます。まさに兵站=実行可能性の条件であることが、この物語を通じて理解できるのではないでしょうか。
4. アウトプットとアウトカムの関係性
物語で見たように、4階層フレームワークにおけるアウトプット/アウトカムの関係は以下のように整理できます:
アウトカム(事業価値):
- 戦略レベルで定義される最終的な価値実現
- 例:「製造業の検品業務効率化による市場シェア獲得」
- 顧客価値と事業価値が一致した状態
アウトプット(成果物)の階層:
- 作戦レベル:戦略実現のための中間成果物(プロトタイプ、PoC、ローンチ)
- 戦術レベル:日々の活動による直接的成果物(スプリント完了、デモ実施、記事公開)
- 兵站レベル:成果物生産を支える基盤(人材確保、予算調達、環境整備)
重要な原則:
各階層のアウトプットは、必ず上位のアウトカムに繋がっている必要があります。単なる「作業の完了」ではなく、「価値創造への貢献」が問われるのです。
Step 8: 継続運用のコツ - 調査して分かった注意ポイント
1. ガチガチに縛られる必要はない
このフレームワークは「考えるための道具」であって、固定的なルールではありません。環境変化に応じて柔軟に調整しながら使うことが重要です。
2. 上位階層の問題は下位では解決できない
これは多くの組織で見られる現象ですが、戦略や作戦レベルの問題を戦術レベルの改善で解決しようとしても、根本的な解決には至らないことが多いように思われます。問題のある階層を正確に特定し、適切なレベルで対策を打つことが重要だと考えています。
3. 兵站(リソース・基盤)を軽視しない
地味で目立たない兵站(実行可能性の条件)こそが、組織の継続的な成功を支える最重要の基盤です。ここをおろそかにすると、後で必ずしっぺ返しが来ることが調査から分かりました。
4. 指標設定での「あるある」な間違い
一番やってしまいがちなのは、上位階層の指標を下位階層で使ってしまうことです。例えば戦術レベルのチームを売上数値で評価するなど。各階層の特性に合った指標を選ぶことが重要です。
また、広木氏が指摘するように、「ソフトウェアエンジニアリングの世界で『生産性の高さ』だと主張できる汎用性の高い指標は存在しません」という現実を受け入れ、ファクトベースで慎重に議論することが大切です。
5. 階層間コミュニケーションの「よくある失敗」と解決策
調査の中で最も深刻だと感じたのが、戦略→作戦→戦術の情報伝達におけるコミュニケーション不足です。
よくある失敗パターン
戦略の「Why」が現場に届かない:
- CEO「市場シェア拡大が必要だ」→ 現場「なんで急に忙しくなったの?」
- 戦略の背景・理由が共有されず、現場のモチベーション低下や方向性の誤解が発生
作戦の「How」が具体的でない:
- 事業部長「DXを推進しよう」→ 現場「何をどうすればいいの?」
- 抽象的な指示のまま現場に降り、各自が異なる解釈で動く結果、統一感のない活動に
戦術の「現場課題」が上に上がらない:
- 現場「このやり方だと無理があります」→ 上層部に届かず
- 実行段階の制約や課題が戦略・作戦レベルに反映されない
解決のための具体的な仕組み
1. 階層別コミュニケーション会議の設計
【月次】戦略共有会(CEO → 事業部長・PM)
- Why(なぜその戦略なのか)の背景共有
- What(何を目指すのか)の明確化
- 市場環境・競合状況の共有
【隔週】作戦調整会(事業部長・PM → 現場リーダー・PjM)
- How(どのように実現するか)の具体化
- When/Where(いつ・どこで)の詳細化
- リソース配分と制約事項の共有
【週次】戦術実行会(現場リーダー・PjM → メンバー)
- 具体的な実行方法の説明
- 個別タスクの背景・目的の説明
- 現場からの課題・改善提案の収集
2. 階層横断の「Context Sharing(背景共有)」
戦略レベルの決定には必ず以下を添付:
- 【背景】なぜこの戦略なのか
- 【前提】どんな制約・条件があるのか
- 【目標】最終的に何を実現したいのか
- 【判断基準】何を基準に成功/失敗を判断するのか
作戦レベルの計画には必ず以下を添付:
- 【戦略との関係】上位戦略のどの部分を担うのか
- 【スコープ】何をやり、何をやらないのか
- 【マイルストーン】どの段階で何が達成されるべきか
- 【リスク】想定される障害と対応策
戦術レベルの実行には必ず以下を添付:
- 【作戦との関係】上位計画のどの部分を担うのか
- 【期待成果】何が完了すれば成功なのか
- 【制約条件】何に注意して実行すべきか
- 【エスカレーション】問題時の報告・相談先
3. 双方向フィードバックループの構築
【上位→下位】へのカスケード:
週次で「戦略→作戦→戦術」の整合性チェック
各階層で「なぜこれをやるのか」を説明できる状態を維持
【下位→上位】へのフィードバック:
月次で「戦術→作戦→戦略」の課題・提案を吸い上げ
現場の制約・課題を上位の計画見直しに反映
4. 可視化ツールの活用
【戦略マップ】:戦略の全体像を一枚で可視化
【作戦ガントチャート】:計画とマイルストーンを時系列で整理
【戦術かんばん】:日々のタスクと進捗状況を共有
【兵站ダッシュボード】:リソース状況をリアルタイム監視
この仕組みにより、「上が何を考えているか分からない」「現場の状況が伝わらない」といった典型的なコミュニケーション断絶を防ぐことができます。
まとめ:統合フレームワークで組織力を最大化する
長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
私がこの調査で学んだことを整理すると:
組織の問題には「階層」があることを理解できた
4階層と3レイヤーが綺麗に対応することを発見できた
適切な階層で適切な対策を打つことの重要性を学んだ
アウトプットとアウトカムの違いを意識するようになった
兵站(リソース・基盤)の重要性を再認識できた
階層間コミュニケーションが組織力の要であることを痛感した
このフレームワークの一番の価値は、「組織の問題を構造的に整理できる」ことだと思います。
同じような「組織のモヤモヤ」を抱えている方の参考になれば嬉しいです。そして、もしもっと良いアイデアや改善方法があれば、ぜひ教えてください。
最後に、この5つの質問を常に意識することをおすすめします:
「我々は何を目指しているのか?」(戦略)
「それをどう計画するのか?」(作戦)
「具体的に何をするのか?」(戦術)
「そのために何が必要なのか?」(兵站)
「各階層の想いは共有できているか?」(コミュニケーション)
この5つがクリアに答えられる組織は、きっと強いでしょう。
参考文献・関連リソース
私が今回の調査で参考にした主要な文献を、テーマ別に整理してご紹介します。
古典・戦略の源流
孫子『孫子兵法』
紀元前5世紀の世界最古の兵法書。「彼を知り己を知れば百戦殆からず」の名言で有名。現代の競合分析の思想的源流でもある。
クラウゼヴィッツ『戦争論』
19世紀プロイセンの学者による古典。戦略と戦術の区別を明確に定義し、「戦争は政治の延長」として戦略の政治的側面を強調。
B.H.リデル=ハート『Strategy(戦略論)』
20世紀イギリスの思想家。Grand Strategy(大戦略)概念を提唱し、間接アプローチ論でビジネス戦略にも影響を与えた。
経営戦略論の巨匠たち
ピーター・ドラッカー『現代の経営』
「マネジメントの父」による古典。「正しいことを行う(Do the right things)」と「うまく物事を行う(Do things right)」の区別は、戦略と戦術の本質を表現。
マイケル・ポーター『競争戦略』『競争優位の戦略』
ハーバード大学教授による戦略論の金字塔。5フォース分析、バリューチェーン概念を提示。「Operational Effectiveness is not Strategy」の指摘は本フレームワークと直結。
大前研一『企業参謀』
日本企業への戦略的思考導入の先駆けとなった著作。日本企業の戦略と戦術のバランスに関する洞察を提示し、現在の組織論にも影響を与えている。
現代の戦略論・組織論
ヘンリー・ミンツバーグ『The Rise and Fall of Strategic Planning』『Strategy Safari』
計画型戦略論を批判し、創発戦略の価値を説いたカナダの経営学者。戦略の5つのP(Plan, Ploy, Pattern, Position, Perspective)で戦略概念を多面的に定義。
リチャード・P・ルメルト『良い戦略、悪い戦略』
UCLA教授による現代戦略論の名著。良い戦略の要件を「診断→基本方針→具体的行動」と定義し、実行と一体化した戦略思考を提唱。
スティーブン・バンガイ『The Art of Action』
元英軍人によるクラウゼヴィッツのミッション・コマンド思想の企業応用。「計画と実行のギャップ」を埋める組織論として注目。
日本の戦略論・組織論
野中郁次郎 他『失敗の本質』
太平洋戦争における日本軍の組織的失敗を分析した名著。戦略と戦術の階層的な問題構造について深い洞察を提供し、現代の組織論・戦略論に大きな影響を与えている。
野中郁次郎 他『戦略の本質 戦史に学ぶ逆転のリーダーシップ』
歴史上の戦争で劣勢を逆転した事例から、リーダーシップと戦略のあり方を分析。
フレームワーク・手法論
ロバート・キャプラン、デビッド・ノートン『バランス・スコアカード』
戦略マップとBSCによる戦略実行フレームワーク。4つの視点(財務・顧客・内部プロセス・学習と成長)で戦略を具体化。
トヨタの方針管理(ホシン・カンリ)
日本企業で発達した戦略展開手法。全社方針をブレイクダウンし、PDCAで管理する実践的アプローチ。
生産性・開発組織論
広木大地氏「開発生産性について議論する前に知っておきたいこと」
Qiita記事
生産性の3レイヤー(仕事量・期待付加価値・実現付加価値)概念の提唱者。開発生産性の議論における複雑さと重要性について継続的に発信されており、本記事の核となる理論的基盤を提供。
開発組織における4階層フレームワークの実践的応用
エンジニアリング組織やプロダクト開発において、戦略・作戦・戦術・兵站の概念をビジネス応用する事例や議論が各所で展開されている。
関連フレームワーク
OKR(Objectives and Key Results)
Googleで有名になった目標管理手法。戦略目標と戦術的指標をリンクさせる現代的アプローチ。
リーン・スタートアップ
エリック・リース提唱の仮説検証型戦略遂行法。戦術レベルの迅速なPDCAを戦略に昇華させる手法。
Discussion