CCoEの組成についてまとめてみた
はじめに
CCoEとは、Cloud Center of Excellenceの略称で、クラウドに関するプロジェクトを推進するために優秀な人材やノウハウを集約する組織を指します。近年、DXを実現するためにはクラウドは欠かせません。そのため、CCoEは企業がDXを推進、実現するために必要な組織といわれています。本記事では、CCoEの組成についてまとめてみました。
DX実現にCCoEが必要な理由
1.DX実現にはクラウドが必要
経済産業省が公開している「デジタル産業に関する現状と課題」では、デジタル社会を支えるデジタル産業では今後クラウドサービスが社会・経済の重要インフラになる、と記載されており、DXにはクラウド化が必要とされています。
2.クラウド導入の課題
DX実現に向けてクラウド化を推進する一方、"情報漏洩などセキュリティに不安がある"、"ネットワークの安定性に対する不安がある"、"クラウドの導入によって自社コンプライアンスに支障をきたす"などといった理由から、クラウド化が進まない状況となっています。
3.CCoEの役割
クラウドに対する正しい知識や、クラウドを最大限に活用するための知識、ノウハウを集約して、DX実現に向けたクラウド導入の推進を担うためにCCoEは重要な役割を担います。
CCoEの主な活動
クラウドのメリットには、イニシャルコストが低い、運用コストが低い、拡張性が高い、といった点が挙げられます。ただし、これらはクラウドネイティブなアプリケーションのアーキテクチャ設計や、クラウドネイティブなガバナンス、管理ができて実現できます。
CCoEは、Cloud Adoption Framework(CAF)[1]で示されたベストプラクティスに則って、自社にとって最適なアーキテクチャを設計し、またクラウド民主化を実現するガバナンス設計、クラウドサービスの最新テクノロジーを取り入れた品質維持、向上を行うことがCCoEの主な活動となります。
CCoEの組成に重要なポイント
自社内にCCoEを組成するには、クラウドに関する知識は当然ですが、以下が重要となります。
- 強烈なリーダーシップをもつ中心人物の存在
- 経営層の後ろ盾
- 内製化とアウトソースの使い分けの定義
内製化とアウトソーシングの使い分けの定義については、"海外のIT先進国では内製化が流行っているため、なんでもかんでも内製化をしていく"といった考えで進めた場合、難易度の高さや労力の割にコストメリットが出せない、など本来の内製化の目的を見失う可能性があります。
売上などビジネスに直結するアプリケーション開発(データ分析など)や運用は内製化して、それ以外の難易度が高いセキュリティ管理[2]などはアウトソーシングすることを推奨します。
バイモーダルITを意識したクラウド導入
ガートナーが提唱したコスト削減や効率化を重視する"守りのIT"の「モード1」と、柔軟性や俊敏性を重視する"攻めのIT"の「モード2」という2つの考え方を使い分ける手法を指します。
モード1とモード2の連携
ITシステム部門では、ITエンジニアの知見によりクラウドをどのように管理するか、といった考えのみになりがちです。この"守りのIT"を「モード1」といいます。一方、事業部門では、クラウドをビジネスにどう利用していくのか、といった考えのみになりがちです。この"攻めのIT"を「モード2」といいます。
どちらか一方のモードだけでは、クラウドを最適に活用することができません。両方のモードが連携することで、より自社に合った最適なクラウド利用が実現できます。
CCoEの配置先
大抵の企業では、ITエンジニアが所属するITシステム部門がCCoEを担うことが多いですが、その場合はモード1の色が濃く出るため、クラウド利用の拡大が停滞しがちです。"攻めのIT"を一番に考え、事業部門にCCoEを組成しITシステム部門と連携する、といった組織戦略も検討することを推奨します。
まとめ
DXを実現するためにはクラウドが必要です。そして、クラウドによってDX実現を成功させるには、CCoEが必要となります。CCoEはCAFをベースとしたクラウド導入を推進し、ビジネスに直結するシステムは内製化を進め、そうでない領域はアウトソースを進めます。
クラウドを活用するため、ITシステム部門と事業部門で連携したCCoE組織を構築する必要があります。
おわりに
今まで投稿してきた記事がこのCCoEの記事で繋げることができました。自社でCCoEが機能している企業はDXが順調に実現できているのではないかと思います。それくらいCCoEはDXに直結しているものと考えています。技術だけではなくビジネスのことも考えられる、そんな柔軟な組織がCCoEなのだと理解しました。
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DevSecOpsによるサイバーレジリエンスの記事を参考にしてください。 ↩︎
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