バイブコーディングで視聴数予測シミュレータ作ってみた
どうも、海外向けアニメ配信サービスを開発しているsazです
2025年株式会社WWWaveアドベントカレンダー3日目やっていきましょう
今回は、自社のアニメ配信サービスにおけるアニメ作品の視聴数予測シミュレータをバイブコーディングしてみたのでその紹介です
視聴数予測シミュレータって何?
新たに配信したい候補作品が自社サービスでどれくらい視聴数を取れそうなのか?
これを予測するシステムです
配信作品を調達する時、予測視聴数を元にしてどれくらいの金額(ロイヤルティ)を支払えるのかを算出する必要があります
その視聴数およびロイヤルティを自動で算出してくれます
開発のきっかけ
調達スピードを上げることで、配信できる作品数を増やせるかも!という話がきっかけです
調達業務の中でも、社内でコントロールが効く+時間がどうしてもかかってしまうこの視聴数予測を自動化してみることにしました
なぜバイブコーディング?
今回開発を担当した私は機械学習の知識が全くない状態だったので、
AIの力をフル活用して、全てバイブコーディングで行うことにしました
バイブコーディングには、以下を使用しています
- Cursor
- spec-workflow-mcp
従来の視聴数予測の流れ
- 類似作品の選定
- 調達候補の作品と類似する既存作品を目視で選定
- 選定は調達者の感覚値によるもの
- 視聴数の予測
- 会員数の予測
- サービス全体の視聴数予測
- 類似作品の視聴数を予測
- ロイヤルティ算出
- 視聴数をもとに算出
類似作品は既存のデータを目視で確認し、似てそうな作品をいくつかピックアップする必要があるのでここでかなり時間がかかっているようでした。
視聴数の予測に関しては、過去データをGeminiに渡して予測してもらっていたため、処理がブラックボックスで、精度向上もなかなか難しいです
出来上がったものがこちら
半年間分の視聴数予測およびロイヤルティの算出を行ってくれます。
とりあえず動くものを2週間で作ろう!ということだったので、スクリプトから実行できる簡易的なシステムになっています。
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スクリプトを実行すると、調達候補作品の情報を入力させる質問が表示されます

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質問に答えていくと、類似作品が選定され、最終的な視聴数予測とロイヤルティ算出が行われてターミナルに表示されます

結果はcsvファイルにも出力されるようになっています
「ベース、楽観、悲観」は、予測値の上振れ下振れも計算に入れた値で、ロイヤルティはこれらの値を使って算出します
技術スタック
- Amazon SageMaker AI
- Python
- pandas
- scikit-learn
- 機械学習ライブラリ
- sentence-transformers
- 意味的な類似度検索
処理の流れ
類似作品の検索
- sentence-transformersを利用して、作品のメタデータを事前にベクトル化しておきます
- ユーザが最初に入力した情報とベクトル化されたデータを元に、コサイン類似度を算出して類似作品を複数取得します
会員数の予測
- 線形回帰分析を使って、過去データから単純な予測値を算出します
サービス全体の視聴数予測
- 過去のデータから、会員一人当たりの平均視聴数を算出
- 会員数の予測値 * 平均視聴数でサービス全体の視聴数を予測
調達候補作品の視聴数を予測
- 類似作品の視聴実績から外れ値を取り除き、平均値と「上位25%/下位25%」(四分位点?)の目安をベンチマークとして利用
- そのベンチマークに、予測会員数、サービス全体の視聴数と月を追うごとの自然減速を表す係数を掛けて算出
効果
まだ試運転程度でしか実行していませんが、今のところは従来のやり方より1時間程度の業務時間短縮できそうというFBをもらっています
視聴数の予測の頻度が多い時で週1はあるということだったので、結構な業務時間短縮になりそうです
苦戦したこと
とにかくそれっぽい視聴数を出すのに苦戦しました。
外れ値に大きく引っ張られたり、データ量が少ないため視聴数の予測値が10くらいにしかならなかったり...
最初はSageMaker Canvasを使って学習モデルを自動構築しようとしましたが、
まだサービス開始から1年も経っていないということもあり、データ量が足りず断念しました。
機械学習の知識0、AWSの力を借りてなんかいい感じにすることもできなかったので、この調整に苦労しました。
とにかく実行して、結果を細かくAIに伝えて、自分がおかしいと思う箇所をしっかり言語化してAIに伝えて...
この繰り返しで、ひとまず使えそうなシステムが完成しました
まとめ
機械学習の知見は一切ありませんでしたが、バイブコーディングだけでとりあえず動くものを開発することができました。
AIの登場により、まずは作って動かしてみるということができるようになったのは改めてすごいことだと感じました。
基礎学習を省くことで、さまざまなものを気軽に早く試せるようになったので、これからも色々なものを開発していきたいです。
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