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Slack AIを導入した後のリアルな感想

2024/06/28に公開

はじめに

こんにちは、ウェルスナビの深田です。

普段は、社内 IT・社内セキュリティ(いわゆる情シスやコーポレート IT )を担当しています。

2018年11月にウェルスナビに入社し、現オフィスへの移転、上場対応、ゼロトラストセキュリティプロジェクト等を対応し現在に至ります。

直近では今秋に移転予定のオフィスに関する IT 全般(ネットワーク、監視カメラ、入退室システム、PBX 等)を担当しています。
 
本記事では、Slack AI の概要や導入の経緯、実際に Slack AI を導入したあとの感想等を記載します。

同じ課題を持たれる方の参考になれば幸いです。

対象読者

  • Slack AI に興味がある方
  • Slack AI の導入に踏み切れない方

特に導入に踏み切れない方が多いのではないかと推察しています。
現状まだまだ情報が少なかったり、Slack AI のトライアルは NG だったり、Slack AI がワークスペースのメンバー全体へ適用され、特定のメンバーに対してのみ有効にする(課金対象とする)といったことができないのも要因かと思われます。
 ※トライアルなどについては営業担当へご確認ください

導入の経緯

主な理由としては、当社のコミュニケーションが Slack 中心であり、情報が蓄積されているためとなります。

一方で、Slack 上には一時的であり未確定な情報も投稿されるため、どの程度の期待する回答が返ってくるかが懸念でした。

より正確な情報を期待する場合は、Confluence や Notion といったドキュメンテーションツールに Fix した情報を残す運用にし、そこから Atlassian Intelligence や Notion AI を利用して情報を引っ張ってくるのが良いかと思います。

上記のような懸念もあったため、次回の年間契約更新のタイミングまでのテスト的な導入という形で利用を開始しました。

Slack AI とは

Slack AI はいわゆる生成 AI ツールであり、自社ワークスペース内から検索・要約してくれる機能を提供してくれます。
詳細は公式サイトや公式の Youtube チャンネルをご覧ください。
https://slack.com/intl/ja-jp/features/ai
https://www.youtube.com/watch?v=cTENUSZz4oc

以降では Slack AI の主な機能についてほんの少し紹介したいと思います。

Slack AI の主な3つの機能

Slack AI には以下のような機能があります。
ちなみに Slack AI 自身に Slack AI の機能を質問したところ以下のような回答となりました。

  • 会話の要約
    チャンネルまたはスレッドを要約する機能。
    チャンネルの場合は指定した期間の投稿を、スレッドの場合は指定したスレッド内容を要約してくれます。

  • まとめ
    指定したチャンネルの要約を日次でもらえる機能(毎日午前7時にまとめられる)。

  • 回答の検索
    従来の Slack の検索機能に加え、Slack AI が回答を検索・要約する機能。
    自分が閲覧できる範囲のチャンネルからのみ要約されるため、そのユーザーが閲覧できないプライベートチャンネルや DM からは要約されません。

検索・要約の対象範囲

自身が所属する Slack AI が有効なワークスペース内からのみ情報を検索・要約してくれます。
また前述の通り、Slack AI を実行したユーザーが所属しているチャンネルやスレッドからのみ検索・要約されます。
そのため、そのユーザーが参加していないプライベートチャンネルや DM は対象外であり、セキュリティ上配慮された設計となっています。

ちなみに一般的な質問はできるのか確認したところできるようでした(できない認識でした)。
試しに 「深田という名字は世界で何人くらいいると予想できますか?」 と質問したところ回答が返ってきました。

なお、引用先のメッセージは全く関係のないものでした。

しかし 「普及している VPN サービスを5つ列挙してくれますか?」 という質問をしたところエラーとなってしまいました。

基準がよくわかりませんが、基本的には Slack の外から情報は持ってこないと思って良いかと思います。

誰が Slack AI を利用できるのか

ワークスペースに参加しているユーザーが利用できます。
そのため、シングルチャンネルゲスト、マルチチャンネルゲストも利用できます。
しかし、Slack コネクトで連携した先のユーザーは利用できません。

ぶっちゃけ Slack AI どう?

いくつかのテーマにわけて回答していきます。

機能毎の使用頻度と感想について

個人的には前述した3つの機能毎(チャンネルの要約、スレッドの要約、まとめ、回答の検索)の使用頻度は以下になっています。

回答の検索 > まとめ > 会話の要約

以降では、利用頻度の理由含め各機能について感想を記載します。

会話の要約について

5月1日より導入したのですが、まだチャンネル・スレッドの要約が必要と思える場面に出くわしませんでした。
ただ、より上位の役職になるにつれ利用頻度が上がっていくのではと感じています。

例えば、トラブル時にチャンネルやスレッドが少し見ない間にすごい伸びていることや、自分がほしいタイミングで現在の進捗が知りたいことは無いでしょうか。

そういったときに Slack AI でチャンネルやスレッドを要約することで、トラブル時でも他の対応者を煩わせることなく自分のペースで現在の進捗を把握することが可能です。

新規でチャンネルやスレッドに呼ばれたときに要約するのも有用だと感じています。

回答の検索について

日常的に利用します。
Slack AI は Slack 内を検索・要約するという特性上、より自社に合った回答が出力されます。そのため、自社独自のルールや申請方法といったものの検索が容易です。

例えばウェルスナビではパソコンの貸与やアカウントの発行・削除・権限変更といった申請にはジョブカンというワークフローシステムによる申請をルール付けています。
ただ IT に関連する申請が多岐に渡るため、申請に慣れていないユーザーはどれを選べば良いか迷う場合もあります。
そのような状況でも Slack AI で検索することでウェルスナビに適した回答が返ってきます。
以下に、「パソコンの貸与にはどのような申請が必要ですか?」と Slack AI に質問した場合の回答を掲載します。

社内のルール通り、ジョブカンの「702_IT・ネットワーク機器利用申請者」による申請が必要である旨の回答が返ってきました。

まとめについて

個人的にはまとめを利用することで朝の各チャンネルのキャッチアップ速度がかなり上がりました(Slack の中の人もおっしゃっていました)。
やりとりが多いチャンネルをまとめに設定しておくことで、朝の業務開始のスタートダッシュをより早くできると感じました。

算出方法は謎ですが、まとめの画面で、まとめがどの程度時間を節約してくれたかを教えてくれます。

ただ、網羅性という意味だとやはりチャンネルを直接見たほうが良いです。
まとめの内容を見る限り、スレッドが伸びてやり取りが盛んなスレッドがまとめとして取り上げられているように感じました。

ハルシネーションについて

上記では各機能について記載しましたが、以降は Slack AI 全体についての感想を記載していきます。

Slack AI にもハルシネーション(間違った情報の提供)があります。

ただこれは質問者の質問力が足りなかったり、Slack AI を理解しきれていないという点も大いにあると感じています。

AI ソリューション全般に言えることですが、AI からは間違った回答がされる可能性がある旨をその会社の AI を主導するチームがしっかりと伝えて認知させる必要があります。

検索範囲をより広げてほしい

Canvas やファイルについては現在のところ検索範囲対象外です。
Canvas やファイル内の画像や文字についても検索対象とする(選べる)ことで、より正確な要約・回答が返ってくることを期待しています。

特に Canvas を検索対象とすることには強い期待をしています。
前述の Slack AI の懸念点として、Slack には一時的で不確定な情報も貯まるため、正確な情報が返ってこないのでは、という点を記載しました。

Canvas を正式なドキュメンテーションツールの1つとして採用し、そこには確定した情報のみ記載するという運用にしておくことでその懸念点を払拭した結果、より正確な要約・回答が返ってくるのではと考えています。

利用者の声

社員に Slack AI を利用した感想を聞いてみました。
以下に記載します。

- Aさん
「まとめ」機能により、集約され自分が居なかった情報を素早くキャッチアップでき、且つ、その元情報リンクによりときには細かく確認することができるので良い。ただ、まだ「まとめ」自体に勘違いを生みそうなものが含まれるので精度向上に期待!!

- Bさん
古い情報を検索するのに役に立つ。
「こんな情報が Slack にあったはずなんだけど見つけ出せない」といった場合に、 Slack AI で検索をするとキャッチアップして拾ってきてくれるケースが多いです。ただ検索する際に Slack AI が拾ってきてくれるように具体的なワードを入れて検索する必要があるので、コツは入りますがとても便利です。

- Cさん
Slack に情報が蓄積されていることもあり、「社内のことで分からないことは誰かに聞く前に Slack AI に聞く」という流れは生まれそうに感じました。
現に何度かそれによってキャッチアップできたこともありますし、参照先のリンクが表示されるためソースの確認もできるため重宝しています。

- Dさん
個人的にはまとめが便利ですね。
チャンネルには参加しているけど、都度確認する内容は無いが、動きだけは認識しておきたい、みたいなチャンネルが多数あるのでそれらをまとめ対象にして毎朝ポイントだけキャッチアップできるのはかなり効率的だと感じてます。

最後に

率直な意見を記載しましたが、Slack のイベントで共有されていたロードマップを拝見する限り今年の夏や下半期にもどんどんいろいろな機能がリリースされるようでした。
リリースされて間もない Slack AI ではありますが、今後どんどん便利になっていくと確信しています。

以上で、本記事の紹介を終わらせていただきます。
この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。

また、ウェルスナビでは一緒に働く仲間を募集しています。
働く世代に豊かさを、というミッションを私たちと一緒に目指していきませんか?

興味のある方は、こちらからご応募お待ちしております。
https://hrmos.co/pages/wealthnavi/jobs?category=1243739934161813504

著者プロフィール

深田 航(ふかだ わたる)
2018年11月 入社
社内IT・社内セキュリティ(いわゆる情シスやコーポレートIT)担当
以前投稿した記事はこちら
https://zenn.dev/wn_engineering/articles/8c310457969d0a
https://zenn.dev/wn_engineering/articles/88a2ec067b462d

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