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CTOとVPoEへのキャリアアップについて

2024/05/09に公開

はじめに

みなさん、こんにちは。
ウェルスナビ株式会社でVPoEを担っております和賀です。

開発者ブログ アドベントカレンダー最終日は、1日目で触れさせていただいた「ウェルスナビにおけるエンジニアとしてのキャリア形成」の派生版として、これまで私自身が、CTOとVPoEおよび技術顧問を歴任させていただいた経験からCTOやVPoEのキャリアについてお話ししたいと思います。

そもそもCTOとVPoEとは?

大まかな違いについてはさまざまなメディアでもすでに数多記載されていますが、

  • CTO(Chief Technology Officer)

経営として技術戦略立案、適切に技術が活用されるように意思決定する役職

  • VPoE(Vice President of Engineering)

技術部門をマネジメントする役職

が一般的な解釈と思います。

間違ってはいません。

ですが、この表現では抽象度が高く、ある程度の規模以上の会社での役割の分け方であると考えております。
会社規模やフェーズによって役割やそれぞれのロールに対しての期待値が違います。

エンジニアの組織サイズ毎に、抱える問題が変わってきます。

小分けにする必要はないかもしれませんが、
私自身が感じてきた、サイズ別に開発組織としての課題や問題点、それらを解決するためのCTOおよびVPoEが担う役割を記載します。

1. エンジニア組織規模:1〜10名ぐらい

・まずは具現化して、早期にプロダクトリリースを実現することが最優先。
・技術負債とか構っていられないぐらいまずはデリバリーすることが優先。
・ドキュメントを書いている時間もない。

CTO
ガリガリコーディングもしますが、技術選定もします。
VPoE
まだ組織規模が小さく必要はない。

2. エンジニア組織規模:10〜30名ぐらい

・プロダクトがマーケットフィットし始めてはいるが、新機能開発の手は緩められない。
・仕様書等のドキュメントが揃っていなく、運用保守に関わるコストが高くなりつつある。
・品質まわりも気になり始め、QAの体制を意識するようになる。

CTO
経営目線で戦略的な技術方針を提示し、開発および運用に関わるコスト管理、採用等組織マネジメントにリソースをかけ始めます。
VPoE
まだ組織規模が小さくCTOが兼任しますが、CTOの組織マネジメントへの負荷が高くなるため、組織運営を任せられるVPoEやEMの採用に意識が向きます。

3. エンジニア組織規模:30〜50名ぐらい

・IPOを意識した、プロダクト開発を求められるようになる。
・技術負債に関してかなり意識はするが、新規機能開発も手を緩められない。
・IT全般統制、ガバナンスでの指摘事項も多くなり、統制が取れる体制が必要となってくる。
・脆弱性のチェックなどセキュリティ対しても意識するようになる。
・様々なバックグランドの方々が参画してくるため、人間関係で悩むエンジニアが増えてくる。

CTO
戦略的な技術方針を提示しながらも、ITガバナンスを意識した開発プロセスの構築運用、脆弱性などのセキュリティ部分の強化にも乗り出す。
VPoE
この規模あたりから、CTOだけでは組織を運営するのは物理的にも精神的な負荷としても難易度が高くなるため、VPoEが参画し、エンジニア採用をはじめエンジニア組織の運営とマネジメントを担い、エンジニア組織を支えます。

4. エンジニア組織規模:50〜100名ぐらい

・企業として複数事業展開をし始めた場合は、プロダクト特化部分とプロダクト横断部分で役割が変わる。
・技術負債に対して、対応を開始し始める。
・プロダクト品質の見える化と品質を高める施策の打ち出し開始。
・ドキュメント関連の整備に加えてISMS構築運用などの情報セキュリティに対しての意識も高くなる。
・IPOしている場合は、上場前後での人種が変わってくる。
・採用におけるコンペティターが、大企業も含まれるようになる。

CTO
戦略的な技術方針を提示しながらも、ITガバナンスを意識した開発プロセスの構築運用、脆弱性などのセキュリティ部分の強化にも乗り出す。
VPoE
エンジニア採用戦略を含めたエンジニア組織運営、エンジニアの制度設計の見直し、エンジニア組織文化の醸成、技術広報強化

5. エンジニア組織規模:100〜

・プロダクト毎やファンクション毎に組織が形成されたり、EMが5〜6名程度のチームをマネジメントするような組織が複数できたりと、マネジメント工数も高い。
・複数のシステム開発と運用保守が並列で行われるため、それぞれに責任を持つテックリードが複数名必要となる。
・対外的にも知名度があるサービスになっている可能性も高く、DoSなどのアタックなども増え、セキュリティ対策も重要となる。
・採用におけるコンペティターにGAFAMをはじめとしたビックテックが含まれるようになる。
・上場後ロックアップ明けによる古参の離脱がでてくる。

CTO
複数プロダクトを横断した技術方針の提示、プロダクト共通基盤の構築推進、M&AなどによるテックDDやシステム連携強化、CISOと連携したセキュリティ対策
VPoE
より高度な専門職のリクルーティング、複数プロダクト開発運用に適した組織化、プロダクト間における組織課題解決、技術広報および採用広報含めた外部発信強化、PMI含むグループ会社等のエンジニア組織運営

このように、フェーズによって抱えている開発および開発組織の問題は変わっていきます。
それぞれにおいてCTO・VPoEに求められる役割も変わってきます。

2023年12月現在、ウェルスナビのエンジニアデザイナーは、80名強在籍しており、ちょうどに上記に書かせていただいた4相当のフェーズであり、まさしく様々な課題に取り組んでおります。

どうやったらCTO・VPoEになれるのか?

先ほどご説明した通り、フェーズ毎に求める役割が違ってくるので、現時点でのご自身のスキルやご経験に照らし合わせてみて、近しいものがあればチャレンジしても面白いかもしれません

キャリアラダーとしては以下など考えられれますが、これに倣う必要もありません。

適正があればすぐにでもCTOやVPoEになれると考えております。

もちろん様々なスキル習得や経験を踏むことで、フェーズが違ってもCTOやVPoEを担える力は備わるとも感じております。
また必ずしもCTOやVPoEロールが自身の将来の形である必要もなくIndividual Contributorのような働き方もあります。

CTOやVPoEの先のキャリアは?

先にも少し述べましたが、CTOやVPoEがエンジニアとしての最終形ではないです。

様々な働き方があると考えており、CTOやっていたから必ずしも次もCTOとかではないです。

私自身は、運よくCTO、VPoE、技術顧問の経験をさせていただきましたが、この先のキャリアとしては、その時に求められる役割に合わせて自分自身を変化させいきたいと考えております。また次代を担うCTOやVPoEを育てていきたいという想いもあります。

まとめ

ここで挙げたCTOやVPoE像は、あくまでもこれまで私が経験してきた中での姿であり、企業文化やそれまでに至る歴史、経営としての技術に対する意識でCTOやVPoEに求められる役割が変わってくると考えております。将来CTOやVPoEを目指したいとお考えの方がいらっしゃいましたら本記事を参考としていただけたら幸いです。


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著者プロフィール

和賀勝彦(Katsuhiko Waga)
ウェルスナビ株式会社 執行役員 VPoE

様々な分野のシステム構築運用および事業構築運営を経験した後、複数のSaaS企業にてCTO、VPoE、技術顧問を担い、複数社にてIPOを推進。

2022年8月より、ウェルスナビ株式会社所属。執行役員 VPoEとしてプロダクト開発組織を統括し、採用広報の強化含めエンジニア採用を推進、エンジニア人事評価、WealthNaviサービスにおける開発運用保守全体の統括とIT統制全体を管理、CISO業務全般およびCIO業務全般の統括。

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