2024/2/9 コミュニティコーピング体験会に参加してきた
はじめに
2/9(金) コミュニティコーピング体験会に参加してきたので、ちょっと思ったことを書きます。
わずか2時間で1プレイしただけなので正確なところはわかっていず、思い違い・誤解などあるかもしれません。その点はご容赦いただきますようにお願いします。
コミュニティコービングとは
カード型ゲームで超高齢社会を体験するゲームです。ざっと概要を把握するには以下のビデオをみるとよさそうです。
何回か体験会をやってらっしゃるようで、当日の体験者はわたし含め3人でした。体験会当時の流れと参加人数
ざっと以下のような感じでした。
- 自己紹介
- ゲームの概要・説明
- 実際にプレイ
- ふりかえり
オンライン(ZOOM)、当日の参加人数は3人で、他に案内役の方が一人いました。自分以外の二人の方は各地方で実際に支援職をやっていらっしゃる方のようでした。
感想・思い浮かべたこと、よかったこと
ゲームのベースになっている Udonarium の操作感がよかった
不勉強なので知らなかったのですが、UdonariumとはWebブラウザで動作するボードゲームオンラインセッション支援ツールだそうです。ボードゲームや RPG をオンラインセッションで行うためのツールで、たぶんワンナイト人狼 や IKIGAI ゲームもオンラインで実現できると思います。
カチ・カチとしたメリハリとした かつ滑らかな操作感で気持ちよくゲームを進めることができました。
悩みを抱えている人々の現実感をうまく表現していた
悩みを抱えている人々の悩みを、健康・住まい/生活・お金とカテゴリにわけ、「ひきこもりの息子と生活、自分が元気なうちはまだ良いが、自分が亡くなったあとはどうなってしまうのだろう」といったリアルで切実な悩みがカード中で表現されていました。「認知症の父を抱えていてお金をおろしたいが後見制度でないと断れた」カードが出てきたときは、自分が実際にあったこと・苦労したことに近かっただけにドキっとしました。
お金と健康といった複合的な課題が出てくるのもうまくカードで表現していて感心しました。
ゲーム全体の枠組みが全体の課題をうまくとらえているように思えた
まず、よく聞かないと(このゲームではよく聞くことをコーピングと言っているようです)悩みに対処できないというゲームのルールも現実の世界をうまく表現できていると感心しました。
プレイヤー間の勝ち負けはなく、いろんなつながりを持っていかないとゲームが進まず、何よりプレイヤー同士が個人・個人の枠を超えて協力しあわないとゲームがクリアできないという設定も、うまく現実を表現しているように感じました。
一方で違和感も
ゲームバランスの悪さ
しばらく進めていくうちに気づいたんですが、今回の体験会の場合、参加者が3人だったので、悩みを抱えている人が増えたら すぐ飽和して対処できず、数年でゲームオーバーになりそうだなと思いました(予想よりも長く持ったのですが実際にそうなった)。
それを直感的に思い、実際にそうなったので、正直後半は無理ゲー・作業ゲーに感じてしまい、ゲームに集中できませんでした。
正確に分析していないので断言はできないですが、おそらく適正なプレイヤー人数は4〜6人程度な気がしています。
ゲームとして定義が必要なのはとてもわかるのですが、地域の破綻の定義が、1地区に4人以上悩みを抱えている人となっていた理由・背景がよくわからなかったのも、作業ゲーと自分が感じてしまった理由な気もしています。
支援者側・体制のリアリティのなさ
各プレイヤーは善意ある支援者の一人という設定です。つながりを持てれば、つながった先の人が頼めば即対応・1年間何かしらしてくれるというゲームの設定はまず現実ではあり得ないだろうなと感じました。なので、やっているうちに善意ある支援者というよりかは人材派遣業やっているような感覚になりました。
また、プレイヤーがなりきる役として、個人経営の理髪店はまだわかるのですが、世話好きなおばちゃんとかあり、ここ名古屋のような大都市で、今どきそんな人いるのかなぁと、正直違和感を感じながらプレイしていました(もちろん地方自治体によってはありうるのかもしれません)。
仮に自治会の会長・世話好きなおばちゃんが支援者としては有能で、最終的にスーパーマン・スーパーウーマンになるとして、一方で地方自治の権力者という存在にもなりえ、いわゆるシステムの「パワー」の問題もあいまって、これで2030年まで到達したとして、スーパーマン・スーパーウーマン前提のコミュニティの持続性ってどうなんだろう、何よりもこのコミュニティは幸福になりうるのだろうかとも、つい思ってしまいました。
おわりに - ワークショップ・ゲームの方向性として -
ワークショップ・ゲームのカイゼンの方向性
とはいえ、このゲームというかワークショップを、2020年以降起こりうる問題を 現状の枠組み・手段で解決しようとするとこうなるという課題と捉えなおすと、大変よくできたゲームだと思います。
まず、地区の破綻の定義にもう少し裏付けをもう少し持たせるとよいかもしれません。例えば特老の建設費は、定員1人あたりの建設費1612万1000円、1棟あたり建設費が大体33億円とも言われています。この辺りの数字からある地区が公的負担としてだせる金額から逆算して何人介護できるものなのかをざっくり出してみるは一つの手なのかもしれません。
また、ゲームバランスを考慮する方向性もありはありだとは思うんですが、上記にあげた課題だと捉えなおすと、まずは無理ゲーな様子をあえて見せて、その上でどういう枠組み・手段で立ち向かうか、立ち位置(ポジショナリティ)を外して考えてみる方向性がよいように思えます。
その際、見える化・システム化として 自分のようなエンジニアが役立つと思いますし、また、見える化システムとしてシビックテックの活用も考えられるでしょう(おそらく若い人からUber や Airbnb のような驚くような提案が出てくるような気がしています。ワクワクしますね)
机上演習・図上演習の土台、新たなシステムの構築の検証の方向性
現状の枠組み・手段に変わる 新たなシステムとして、自分が思い浮かべるのは、システムとしてのオープンダイアローグです。
精神医療・統合失調症の治療法として注目されていますが、よくよくきいてみると
- 即時援助
- 対話重視(まず話をよく聞く)
- 支援者はマルチロール(看護師とセラピスト)、複数で対処
- 社会的ネットワークの視点をもつ(一つのチームが、他の社会的リソースにつながりをもつ)
- 心理的連続性・責任を持つこと(一つの対応チームがずっと対処を続ける)
といったことに特徴があるようです(この辺りは臨床心理士白木孝二先生のご教示より。あくまでも筆者の理解なんですが)。
これは別に精神医療に限った特徴ではなく、これからの問題にうまく対処できる可能性をもったシステムであるように思えます。少なくともヒントにはなるんじゃないでしょうか。
とはいえ、実際にリアルにシステムを作って検証するにはどうしても初期投資がいり、必ずうまくいく保証もない。
そこで、このゲームの枠組みでシミュレーションして予め課題を潰し、また実際に立ち上げた後も、当初の想定と何があっていたのか、違っていたのか、今後のカイゼンの方向性としてどんなことが考えられるか課題バラシにも使えるように思いました。
その他、本ゲームは高齢化社会という課題に対するゲームなんですが、ゲームのルールをヒントに組織の脆弱性に関するゲームとしての応用も考えられますね。
今後は、認定ファシリテーターの制度もあるらしいので、この辺りの味付けができるならもう少し見てみようかなと考えています。
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