VimConf2023と2024で登壇してきた
:h intro
去年のVimConf 2023 Tinyが成功を収め、VimConf 2024として完全復活しました。去年の登壇者の1人としては感慨深い物があります。
去年の体験が最高だったのでチケット発売の告知の直後に買いました。(物凄い勢いで買ったはずなのに売れた順番となるチケット番号は#3でした、すごい。余談ですが#1持ってる人と知り合いなので煽られたりしていました[1])
去年登壇してとても疲れたのと、極度の緊張と事前準備不足(これは私が悪い)のせいで人の発表をほぼ聞けていなかったため今年は完全に聴衆側になる予定でした。
しかしLTの募集の段階になってプロポーザルの数が足りないからと募集が延長されたのとたけてぃとりょっぴっぴから煽られ続けたのもあり、腹を括って応募することにしました。
機会があれば語りたいことの中にVim関連と言えなくもない物があったので、それについてプロポーザルを提出した所、採択して頂けたので登壇してきました。
後述する私が感じたVimConfの理念らしきものにも通ずると思うので、「登壇者にしか書けない記事」を目指して感想を書いていこうと思います。
登壇2023
その前に、記事書くのを面倒臭がったせいで私のVimConf2023が終わっていないので終わらせるために去年のことも含めて振り返った方が便利そうなので先に振り返ります。
2023年はTinyということもありCfPではなく自主的な応募という形を取っており、話の流れで日本語周りの話を聞きたいという声があり、登壇させて頂くことになりました。
最初はskkeletonの話でもしようと思っていましたが、実際の所このプラグインにVimらしい部分はほぼ無く、あってもeskk.vimの焼き直しでしかないので、それとの差分となる「モダン挿入モードテクニック」や、ちょうどありすえさんが登壇される「denops.vim」を使った話をするといいかなとなりました。それでも話があまり無いので「なぜVimで日本語入力をしているのか」の話も一緒にすることにしました。
内容についてかなり迷っていたこともあり(言い訳です)提出がギリギリになってしまったことを申し訳なく思っていました。それでも添削して頂けてとてもありがたかったです。
自分の悪い癖が全面に出ていたこともあり結構追い詰められていましたが、九州からの参加ということもあり、かなり高額になる旅費や宿泊費、チケット代まで出して頂いたのに下手な発表をしてしまうのはあまりにも失礼だという気持ちがあったのと、みなさんも同じような条件の中、わざわざ参加してくれているわけで、少しでもよかったと思ってくれればという想いがあったので踏ん張れました。
前野菜などのイベントに誘って頂けたので緊張しっぱなしじゃなくてよかったと思います。今更ながらありがとうございました。
当日もかなり緊張していて、それを紛らわせるためにスピーカーノートいじりや実況をひたすらやっていたりしてあまり発表を聞くのに集中できなくて残念でした。(なお休憩時間はしっかり休憩していたようでShougoさんの思想語りを聞いていたことなどは今でも覚えている模様)
いざ登壇する段階になってみなさんの前に立つと(結構な人数の方々が来てくれていました)高揚感で誤魔化されているのか、逆に緊張することもなく、アドリブとまでは行かないけど、スピーカーノートを元にその場で思い付いた言葉で話せるくらいのは落ち着いていたように思います。(ちなみに、ありすえさんが「denops.vimは適材適所で使うといい」みたいなことを言われてた後の全面的にdenops.vimを使うプラグインをテーマにした発表だったので何とも言えない気持ちになってましたw)
「今のVimは進化していて挿入モードが扱いやすい」というのが伝えたかったテーマだったので、感想や懇親会の話などで<Cmd>
知らなかった、便利そうなどの話が聞けて嬉しかったです。後半の思想語りについても結構共感の声が頂けてわいわいしてました。他にも今だから書けることだと思いますが、今年の登壇者の一部の方から発表の参考になったとかよかったとか言って貰えてよかったです。
終わった後は、待ち合わせのためにちょっとだけ集まった居酒屋で、17人中12人がSKK使いで面白かったり、その会で目の前にいたたけてぃと「VimとEmacsにおけるSKK実装の違い」みたいな話を延々としてて面白かったり(何気にこれ自分しかできない話だったなと思った)、徹夜カラオケがぶっ飛んでて面白かったりした後、帰宅しました。
この当時は当時なりに頑張ったけど、VimConfの理念もあまり理解しておらず、今になって思えばかなり考えが甘かったように思います。図らずとも後に聞いた「自分にしかできない話をしてほしい」ということはできていたかなと思いました。
これも今更にはなってしまいますが、旅費などを出して頂いたり添削などのサポートをして下さったVimConf準備会の皆様、前日に遊んで下さった皆様、私の発表を聞いて下さった皆様、ありがとうございました。楽しい時間を過ごせました。
ところで丁度vim-jp Slackのトライアル特権あるので振り返ったら去年の発表当時から実在性を疑われていた模様。(なんで一緒にご飯食べたはずの人に言われてるの?)ちゃんと実在してますし人間ですよ?(私はテキストエディタではないんですよ)[2]
プロポーザル
実際の所、Nixをおすすめされてドハマりしていた影響でVimはほぼ使っているだけという状態で、Emacsの設定をNixで管理するようにしたら設定以外の部分も一緒に管理できて楽だったので、これは外部依存上等なVimでやると光るのではと思って試そうと思っていた所でした。実際に試してみたら思っていた通りとても便利で、この内容なら行けると思い書き上げました。
自己紹介がとても苦手なのもあり特にPitchは何を書けばいいのかが全く分かりませんでしたが、公開されていたありすえさんとmoppさんのプロポーザルが大変参考になりました。ありがとうございます。
お二人のプロポーザルから
- 何を目的に(何を伝えたくて)この発表をするのか
- それを伝えるにあたっての演者自身のバックグラウンド
を求められていると感じたので、その通りに書きました。実際に採択して頂けたのでこの方針は間違ってなかったように思います。
実際に送ったプロポーザルのPitch部分
目的
- 外部依存があるプラグインは導入コストから避けられがちなのでハードルを下げたい
- Vimの外の環境を含め一括で管理する手段があるということを伝えたい
私について
- skkeletonというVimのプラグインを作ってメンテナンスしています
- denops.vim及びSKK辞書に依存するプラグインです
- dein.vimやdpp.vimにパッチをいくつか送ったことがあり、プラグイン管理の仕組みについてはある程度理解しているつもりです
話したいこと
- Nixを使えば任意のプログラムなどを容易に導入できる
- 色々揃っているのでコマンド1つ叩くか少しの式を書けばいいだけ
- 自分でパッケージ定義を書けばVimのプラグインも管理できる
- 仕組みが整っているので書くのは簡単
- Nixを使えばこれらのパッケージ呼び出しを埋め込んだvimrcを生成することもできる
- 外部依存を含む設定を容易に再現できるようになる
登壇2024
「Plugin dependency management with Nix」という題でNixを使えば簡単にVimプラグインの依存管理をしたりできるよという発表をしてきました。
去年の反省もどこに行ったのやら、またギリギリで作業をしてしまいました。ShougoさんがTypstでスライド作られてるのに触発されてテキストエディタでスライド作りたい!となり使ったことも無いTypstを数時間で覚えてみたり、発表練習をしながら尺を削ったりで詰め込みすぎたなと思います。Typst及びpolyluxのクオリティがとても高いので突貫で作った割にいいスライドになったと思います。
Typstについては丁度monaqaさんがTypst のはじめかたという記事を書かれているので興味がある方は読んでみてください。個人的な感想としては、すぐに覚えられるくらい合理的な作りになっており、なおかつカスタマイズ性も出力の質もよくとても体験がよかったです。
資料です、書きかけのスピーカーノートなどもそのままにしています
去年の登壇の感覚で作り込んでいたら尺が全然足りなくて、LTだと完全に違う作り方が必要だと思ったのと、長めの登壇の方が(語れて)やりやすいと誰かが言ってたのが実感できました。
LTということもあって前日にthincaさんに謎解きに誘ってもらったりryoppippiさんに共同宿泊に誘ってもらったりしてわいわい過ごせていたり、VimConf自体も落ち着いて人の発表を楽しんだりできました。(なお流石に登壇前は緊張していたらしく、#times-yasunori
に入り浸って思想丸出しの発言[3]をしたりパソコン抱えながら登壇者の待機場所だった舞台脇を歩き回ったりの奇行をしていた)
実際にみなさんの前に立っての感想は、「広い」でした。大きめの会議室(でもないですけど)とも言えるような去年の会場と違い、奥行きも広ければディスプレイも広いという印象で、とにかく圧倒されていました。かなりいっぱいいっぱいだったと思いますが、去年の登壇経験があったので臆せず話せたと思います。
去年も含め、大勢の前で話すという体験も稀有ではありますが、どうやら私は「相手の顔が見えない」という状況が苦手らしく、むしろ人前だと逆に安心できるようです。
Linux(Sway)で登壇していた
私はLinux使いなのでLinuxで登壇してみたいと思いつつ、去年は日和ってWindowsで登壇していました。一方でこんなのを見ていてやはり勝ち組は違う…などと思っていました。[4]
それとは別にやむを得ずLinux以外の環境を吹き飛ばしたためSwayという珍しい環境で登壇することになりました。
予め出力の仕方は確認したものの、正直画面がちゃんと映るか不安しか無かったです。kat0hさんの発表がとてもよかったので直接感想を伝えにいった時[5]Sway仲間だということが判明してすごく安心したのを覚えています。
結果的に普通に映って無事発表できましたが、会場の巨大なディスプレイに普段使ってる環境を映せたのはいい体験でした。
アキバプラザはLinuxにやさしい
そこでNix
上のスクショのように、vim-jp Slackの一部でNixでできそうなことが話題になる度にコール&レスポンスするのが流行っているので、「そこでNix」を言いたくてスライドに仕込んでました。
実際に言ったらみんな笑ってくれたので嬉しかったです。
nikuus
Nixのロゴが(ラムダの集合体だから)好きみたいなことを言っていた所、なんとかぴっぴさんという方にアイコンで遊ばれた結果、nikuusなる謎のアイコンが誕生しました。[6]Nixの話をするし名札変わりによさそうということで、Tシャツにしてもらって着ていってました。[7]
このようなTシャツを着ていました。名札あるのにTシャツで自己紹介してツッコミ入れてもらったり、相手側から認識してもらったりと便利でした。
人の写真に残る時もこんな感じでとても目立ちます。
懇親会でもNixの人と認知されたらしく、NixとGopherくんのTシャツを着た方[8]を始めとしてそれなりの人数の方々とNixの話をしていました。
vim-jp-radioの収録を見学していた
VimConfの後に、そのままの勢いでスタッフと登壇者方々を交えたvim-jp-radioの収録が行われることになり、その見学会をやるということで、「こんな面白イベント参加するしかない」と思い見に行きました。内容も実に熱く、VimConf後の熱が残った状態でこれを聞けたのは最高の体験だったと断言できます。
ただ、生で聞くtomoyaさんとありすえさんの掛け合いが面白かったりみなさん覚えのある話しかされない(それはそう)ので声を上げそうになるのを抑えるのが大変でした。
収録の後にスタッフの方々(moppさんとujihisaさん)と直接お話できて、感謝の気持ちを伝えられたので感極まりました。また、その際に登壇者の方々には、唯一あなたにしか話せないことを存分に時間使って話してほしいといったことを言われていたのがとても印象に残っていて、これがVimConfの理念なんだろうなと感じました。
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私は自分の人生に対するやる気があまりなくぼんやり生きていましたが、完全に終わってしまう前にVimに出会い、vim-jpに出会い、VimConfに出会い、考え方を見直す機会に恵まれたことを幸運に思います。そのような機会を提供してくださった皆様、ありがとうございました。
また、長時間家を開けることを快諾してくださった家族へ感謝しています。とてもいい体験ができました。
これからは自分にしかできないことは何かというのを考えてみようと思います。
体験が濃すぎて書くことがありすぎるのでまだまだ書けるのですが、既にだらだら書いててキリが無いので締めます。
ちなみに余談ですがNixを使えばZennのpreviewも簡単に行えて最高です。nix-shell --run zenn -p zenn-cli
かnix run nixpkgs#zenn-cli
でできます。natsukiumさんありがとう[9]
Happy Vimming!
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これを書いている現在、vim-jp Slackの一部でyasunoriさんの名前が元になった謎のミームが流行していて、その中のネタ、チケット何番ですか?僕のと比べてソートしてみましょうよwwww 僕そーとー 最初ですよwwwの下りをリアルで聞けて感極まりました。 ↩︎
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OSにIMEなんていらんやろとかそのへん ↩︎
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勝ち組云々は流石にネタですが ↩︎
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結構近くに座られていた ↩︎
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オリジナルはこちらにあります。ライセンスがCC-BYになっていますので、nikuusについても同じ扱いでお願いします。 ↩︎
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なお名札が配られることは知らなかった ↩︎
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めっちゃかっこよかったので後で探してみたけど探せなかった ↩︎
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半年くらいかけて収録作業をしてくれたらしい ↩︎
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