【AIハッカソン】Career Accord AI ~ WillとMissionをAIが結ぶマッチングプラットフォームの開発 ~
結論
Career Accord AI
応募者の「Will(やりたいこと)」と企業の「Mission(やってほしいこと)」をAIエージェント同士が交渉し、一次面接確約までを自動化するPoCを実現しました。
実現できたこと
- AI交渉システム: 応募者AI × 企業AI が調整
- Vertex AI統合: gemini-embedding-001でフィルタリング、Gemini-2.5-flashで交渉
1. はじめに
本記事は、第3回 AI Agent Hackathon with Google Cloudの応募記事です。
背景と動機
この2年間、現職で採用に携わりながら、自身のキャリアを見直すために転職活動も続けてきました。
自分は開発そのものが好きではあるのですが、よりビジネスサイドの知見を広げたいと考え、エンジニアという枠を越えてさまざまな仕事を模索してきました。
しかし、探索を進める中で「自分のやりたいこと」と「企業が示すミッション・役割」をうまく結びつけられないという課題に直面しました。
また、今後AIが発達するにつれ、異職種への転職はさらに増えていき、「スキル重視」の採用は減少していくと考えています。
特にエンジニアはスキルに焦点が当たりやすいため、エンジニアから他職種、あるいはその逆にキャリアチェンジを行うのは非常に難しいと実感しました。
こうした課題を解決し、より柔軟に「やりたいこと」と「企業の求めること」をつなぐために、本プロダクトを構想しました。
2. 課題の背景
応募者側の課題
- Willの言語化困難: 何をやりたいのか、言語化しづらい。また、それを具体的な条件やスキルに落とし込めない
- 媒体依存の検索: 職種やキーワードに縛られた検索で、本当にやりたい仕事を見つけられない
企業側の課題
- 重複入力作業: 複数の求人媒体で同じ情報を何度も入力する非効率。媒体に合わせて文言調整が必要
- Willが見えない選定: 履歴書や職務経歴書からは応募者の真の意欲や価値観が読み取れない
- ミスマッチ: 一次面接で初めて「思っていたのと違う」ことが判明
双方のギャップ
- 情報の非対称性: 応募者は企業の本当の求める人材像を知らず、企業は応募者のWillを知らない
- 交渉の機会不足: 条件や期待値のすり合わせができる場が存在しない
- 時間コストの無駄: ミスマッチによる面接の無駄、採用活動の長期化
3. 解決のアプローチ
コンセプト
- Will と Mission を中心に据える: 技術スキルだけでなく、やりたいこと・やらせたいことを重視
- AI交渉: 応募者AI × 企業AI が自動で条件を交渉
- 面接確約という「結果」を自動生成: 交渉が成功すれば一次面接を確約
- 不足スキルを提示: 学び直しにつながる具体的なアドバイスを提供
技術的アプローチ
- Vertex AI活用: embedding-001による意味的類似度計算でフィルタリング。Gemini-2.5-flashによる自然言語処理でマッチング
- 重み・閾値交渉: Mission適合度、スキル適合度、条件適合度の重み付けと閾値をAIが調整
- 調停システム: 中立的なAIが双方の提案を評価し、合意形成を支援
4. サービス概要「Career Accord AI」
コンセプト
「WillとMissionが交わる瞬間を、AIが支援する」
エレベーターピッチ
Career Accord AI は、応募者が将来のキャリアを見直し、自分の「やりたいこと(Will)」を実現できる世界を目指すマッチングサービスです。
応募者は履歴書・職務経歴書・Willを入力し、企業は「やらせたいこと(Mission)」や条件を登録。
AIエージェント同士が交渉し、合意形成を通じて一次面接を確約します。
従来の職種名や媒体に依存せず、真に価値観と条件が合う企業と出会える体験を提供します。
さらに不足スキルも提示することで、応募者は学び直しや成長の機会を得られ、自己実現に近づくことができます。
ユーザー体験フロー
応募者フロー
- プロフィール登録: Will・履歴書・職務経歴書・希望条件を入力
- マッチング結果確認: Top3企業との適合度とスキルギャップを表示
企業フロー
- 求人登録: Mission・必須スキル・条件・求める人材レベルを入力
- 候補者確認: Top3候補者との適合度とスキルギャップを表示
5. システムアーキテクチャ
使用技術スタック
- フロントエンド: Next.js, React, TypeScript, Tailwind CSS
- バックエンド: Next.js API Routes, Node.js
- データベース: Google Cloud Firestore
- AI: Google Vertex AI (Gemini-2.5-flash, embedding-001)
- 開発環境: Firebase Emulator
AI交渉ロジック
-
重み付け(Weights):
- Mission重み: Will-Mission適合度の重要性 (0.0-1.0)
- Skill重み: スキル適合度の重要性 (0.0-1.0)
- Condition重み: 条件適合度の重要性 (0.0-1.0)
- 閾値(Threshold): 一次面接確約に必要な総合スコア (0.0-1.0)
交渉フロー
- 初期提案: 応募者AI・企業AIがそれぞれの戦略に基づいて重み・閾値を提案
- 調停評価: 中立的な調停システムが双方の提案を評価し、収束判定
- 調整提案: 収束していない場合、50%の歩み寄りで調整提案
- 最終合意: 3ラウンド以内で合意に達するか、交渉失敗と判定
アーキテクチャ図
6. デモ動画
(冒頭で貼ったものと同一です。)
7. まとめ
Career Accord AIは、応募者の真のWillと企業の真のMissionを中心に据え、AIエージェント同士が交渉することで、双方にとって最適なマッチングを実現します。
AIが発達してきた将来を見据え、職種の枠を超えて応募者が本来やりたいことが実現できるような世界を作ります。
技術仕様・リポジトリ情報
- GitHub: career-accord-ai
- 技術スタック: Next.js, TypeScript, Firestore, Vertex AI, Cloud Run
- チーム: 1名(フルスタック開発)
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