株式会社ティヒ 2期目振り返り
株式会社ティヒでは、商業登記簿をAPI経由で取得できる 登記くん と、商業登記簿を格安で販売する 登記簿バンク を開発しています。
会社員をしながら零細企業を運営しており、5月末で2期目が終了するため、振り返ってみたいと思います。
製品が売れ始めた
1期目の終わり頃に登記くんをローンチしたため、今期はじめてお客様にご購入いただくことができました。初めてご契約いただいたときの感動は、今でも忘れられません。
宣伝はあまりしなかった
営業活動は行っておらず、宣伝も特にしていません。検索に引っかかるように工夫しつつ、見つけてくださるのを待つというスタンスです。それでもご契約いただけることに、本当に感謝しています。この記事からの流入が多かったのですが、途中で作成した LP からの流入も徐々に増えてきました。
製品は思いもよらぬ用途で使われる
お客様は、こちらがまったく想定していなかった目的や用途で製品を活用されており、大きな発見となりました。全く知らなかった業界のペインを解消できていることを教えていただけるのは、大変嬉しいことです。事例を公表していただけたこともありました。
値付けは経営
ローンチしてからずっと、価格設定について考えてきました。現在ご利用いただいているお客様に不利益が出ないこと、できるだけ誠実に価格を設定することを軸にしてきました。価格表 をきちんと作成し、安易な値引きを行わないことが大切だと感じています。あるお客様にだけ値引きをすることは、他のお客様に対して誠実でないと考えています。
コストを下げればいいってわけではない
コストを下げると、利益が直接増えるため、もちろん低いに越したことはありません。ローンチ直後は、最安だったシンガポールにデータベースを設置していました。しかし、東京に置くと100ms程度レイテンシーが改善することがわかり、マイグレーションを行いました。
この100msがどれだけ売上に寄与するかは計測できないですが、お客様の体験に悪影響が出るようなコスト削減はしないと決めました。
障害を一度起こしてしまった
クラウドの費用を抑えるために、インスタンスの性能を低めに設定していたところ、リクエスト数がスパイクした際、登記簿PDFを解析する部分でCPUリソースが枯渇し、ハングアップしてしまいました。
これは絶対に繰り返してはいけないと考え、オンプレとクラウドを併用し、基本的にはオンプレにリクエストを流す運用に切り替えました。クラウドもゼロにはせず、可用性の観点から併用を続けています。
オンプレで用意したマシンと同じ性能をクラウドで実現しようとすると、半年程度で元が取れるくらい価格差があるため、良い戦略だったと感じています。
事務
結局のところ、事務作業に一番時間を使っているかもしれません。
利用規約、プライバシーポリシーの作成や契約書周りなどの法務は、弁護士の方に手伝っていただきました。会計まわりはすべて自分で行っています。登記簿は法務局から331円で取得しますが、消費税が非課税であることを途中で知り、大変驚きました。期中に気づけてよかったです。(厳密には1円分の消費税が乗っています。)
仕分けも自分で考えながら切っていて、今期までは決算・申告も自分で行う予定です。学びは多いのですが、そろそろプロに相談すべき時期だと感じています。
サポート
製品に関するお問い合わせから契約対応まで、すべて自分で対応しています。零細企業の製品を購入いただく以上、サポートの質が最も重要だと信じています。今後、他の業務を委譲していくとしても、サポートは当面自分で続けていくつもりです。
登記簿バンクをローンチした
登記くん(登記簿API)で取得いただいた登記簿を安く再販するサイトとして、登記簿バンク を作成しました。登記簿提供サービスから取得する際、登記簿代は331円かかりますが、少し高いと感じています。古くても構わない場合に、安価に(現在は110円)取得できると良いのではないかという思想のもとに立ち上げました。
競合としては登記簿図書館や登記ソナーなどが既に存在していますが、いずれも不動産登記簿の再販がメインであると推察し、参入を決めました。
プレイヤーが少なすぎることもあり、原価が0円(登記簿取得時もお客様の原資で取得)なのに再販価格が高止まりしている印象があります。価格破壊ができればと思っています。本来は、デジタル化前の名残である331円という価格ではなく、法改正により数円でPDFが取得できるようになることが望ましいと考えていますが、これはハードルが高いです。
売上
人を一人雇えるくらいの売上になりました。前期は売上が0円だったことを考えると、本当にありがたいことです。
来期の戦略
- 登記くん(登記簿API)の認知度を上げる
- 登記簿バンクを使ってもらう
登記くんは、一定のニーズがあることが確認できたため、とにかく多くの方に知っていただきたいと考えています。導入をもっと簡単にし、品質向上にも努めていく方針です。
登記簿バンクは、まだビジネスとして成立していない段階なので、多くの方に使っていただき、改善を重ねていきたいと考えています。
まだまだ未熟ですが、0から1の立ち上げができた1期になりました。来期も引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
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