フリーランスの健康保険について分かりやすく整理してみる
フリーランスになるにあたってやったことまとめ という記事で、健康保険の選択肢がいくつかある中で今回は任意継続保険制度を利用したという話をしました。
フリーランスになるにあたって調べた中でも健康保険周りは特にややこしかったので、ここだけ改めて整理してみます。
専門家ではないので間違いや不正確な表現などあるかもしれません。参考程度にご覧ください🙏
健康保険は4種類
普通の会社員やフリーランスが関係する健康保険としては、
- 国民健康保険
- 協会けんぽの健康保険
- 健康保険組合の健康保険
- 国民健康保険組合の健康保険
の4種類があります。この時点でもう難解すぎてヤバイですね。
実際には公務員が加入する 共済組合 や、高齢者向けの 後期高齢者医療制度 などもあるようですが(参考)、普通の会社員やフリーランスという文脈で関係する健康保険としては上記4種類という認識です。
1. 国民健康保険
これはまあ何となく分かっている人も多いと思います。
日本は国民皆保険制度なので、その他の健康保険に加入していない人は全員この 国民健康保険 に加入することになります。
主に自営業・フリーランスが加入する保険ということになりますね。
2. 協会けんぽの健康保険・健康保険組合の健康保険
これについては実際に加入している会社員の人でも理解していない人が多いと思います。(僕も結構最近まで全然分かってませんでした)
会社員や会社役員が加入してる健康保険(いわゆる「会社の健康保険」)は、「協会けんぽの健康保険」か「健康保険組合の健康保険(参考)」です。
保険者 が「協会けんぽ」なのか「健康保険組合」なのかの違いで、「健康保険組合」は大企業が自前で保険者としての組合を設立したもの、それに該当しない中小企業はすべて「協会けんぽ」になります。(参考)
協会けんぽや健康保険組合には、資格喪失後も任意で最大2年間継続して保険に加入し続けられる「任意継続保険制度」というものが設けられています。協会けんぽの場合は このような内容 です。
3. 国民健康保険組合の健康保険
これがまたややこしいのですが、厳密には国民健康保険には以下の2種類があるのです。
- 保険者が市町村
- 保険者が国民健康保険組合
国民健康保険組合(「国保組合」と略されます)は、同業種の事業者から成る組合で、現在日本には164の国保組合があるそうです。(参考)
多くの国保組合で保険料が安くて定額である(所得連動でない)という特徴があります。
もし自分がフリーランスになって国保組合の保険に加入するとして、家族の中に「国民健康保険」に加入している人がいる場合は、その家族も一緒に国保組合に切り替える必要があります。また、国保組合には扶養家族という概念がないため、例え家族の収入が130万以下であっても、家族の分も保険料がかかります。(参考)
逆に言えば、130万円以上の収入がある家族でも、同居さえしていれば国保組合の安い保険料で被保険者になれるわけです。(参考)
国民健康保険、任意継続と比べていいこと尽くめに思えますが、基本的に入るための条件がかなり厳しいようです。
国保組合は全部で164あると言いましたが、その中でIT系フリーランスが所属できる可能性があるのは 文芸美術国民健康保険組合 (「文美(ぶんび)」と略されます)のみのようです。
文美に加入するには、文美に加盟している各団体に所属することが前提条件で、IT系フリーランスの場合は「Webデザイナー」として 日本イラストレーション協会(JILLA) に入会することになります。この際、 職業欄を「Webデザイナー」として開業届を出していることが必要 という情報もあります。(参考)
それぞれの保険料
IT系のフリーランスが退職後に健康保険を選ぶケースを想定して、それぞれの選択肢について保険料がどれくらいになるのかを整理してみます。
国民健康保険
国民健康保険の保険料の算出基準は市町村によって異なるようです。
僕が住んでいる名古屋市の場合は こんな感じ でした。
仮に前年の所得が500万円だったとすると、
- 医療分:
42568 + (5000000 - 330000) * 0.0785
=409163
- 支援金分:
12967 + (5000000 - 330000) * 0.0237
=123646
- 介護分:
0
で合計532,809円/年(約44,401円/月)となります。
所得が多ければ多いほどほぼ線形に保険料が上がっていくので大変そうです。
ただ、国民健康保険には保険料の限度額が設けられており、名古屋市の場合は こんな感じ になっています。
介護分がないとするとMAXで年額82万円なので、約68,333円/月が上限ということになります。
高いです。
任意継続(協会けんぽ)
会社に所属していたときは「労使折半」といって会社が保険料の半分を負担してくれていましたが、任意継続した場合は会社に負担してもらっていた分も自分で支払わないといけないので、単純に会社員時代の2倍の保険料になります。
例えば会社員時代に月収40万円(ボーナスなし)だった場合、標準報酬月額 40万円の約10%で、保険料は約4万円/月だったはずで、それを労使折半していたので、給与明細に書かれていた毎月の健康保険料の金額は約2万円だったはずです。
これを任意継続した場合は、約4万円/月の保険料を支払っていくという計算になります。
ただし、少なくとも協会けんぽの場合、任意継続した場合は負担軽減のために標準報酬月額に上限が設定される仕組みになっており、2020年度の場合は30万円が上限 となっています。
つまり、 保険料としては約3万円/月が上限 ということです。(こちらのサイトも参考になりました)
国民健康保険と比べるとだいぶお得感がありますね。
文芸美術国民健康保険組合
最後に、文美の健康保険に加入した場合についてですが、こちらの記事 によると、
- JILLA会費が2,000円/月
- 文美の保険料自体が19,600円/月
で合計21,600円/月(259,200円/年)になるっぽいです。
任意継続の3万円/月と比べてもさらに安いですね。
僕の場合はそもそもデザイナーではないし、2年後には法人化するつもりでいるので、任意継続を選択しましたが、文美への加入が現実的な人は検討してみてもいいと思います。
まとめ
- 健康保険には
国民健康保険
協会けんぽの健康保険
健康保険組合の健康保険
国民健康保険組合の健康保険
の4種類がある(ざっくり) - いわゆる「会社の健康保険」は
協会けんぽの健康保険
か健康保険組合の健康保険
のどちらか(中小企業はすべて協会けんぽ
) - フリーランスになる際にとれる選択肢は以下の3つ
- 「任意継続保険制度」を利用して「会社の健康保険」に継続して加入する(最大2年間)
- 国民健康保険組合の健康保険にがんばって加入する(多くの組合が加入のハードルが高いっぽい)
- 国民健康保険に加入する(保険料は高い)
- 任意継続保険制度を利用した場合、前年の所得がどんなに多くても保険料は3万円/月が上限となっていて良心的
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