Snowflake Cortex Search の管理 UI が便利になった
はじめに
2025年に入り、Snowflake の AI 機能 (Cortex AI) はますます充実してきています。特に Snowflake AI & ML Studio は度々アップデートしており、AI / ML に関する多くの機能が直感的な UI から操作できるようになりました。これは Snowflake が掲げる使い勝手の良さ、シンプルさを体現していると考えられます。
今回は、Snowflake AI & ML Studio から Cortex Search の管理 UI が大幅に便利になったためご紹介します。これまで Cortex Search サービスの管理は SQL コマンドが中心でしたが、ついに GUI での包括的な管理が可能となり、サービス一覧の確認、設定変更、データプレビュー、プレイグラウンド機能まで、すべて Snowsight 上で完結できるようになりました。
これにより、データエンジニアから AI アプリケーション開発者まで、より効率的に Cortex Search を活用できるようになっています。実際の画面キャプチャとともに、これらの新しい管理 UI の価値と使用方法を詳しく解説していきます。
Cortex Search とは
改めて Cortex Search について簡単にご説明します。Cortex Search は、Snowflake が提供する フルマネージドのエンタープライズサーチサービス です。
主な特徴
- ハイブリッド検索: ベクトル検索 (言葉の意味としての類似性) とキーワード検索 (文字としての類似性) を組み合わせた高精度な検索
- 自動埋め込み生成: テキストデータを自動で定期的にベクトル化し、意味的検索を可能にする
- フルマネージド: インフラの管理やチューニングが不要で、すぐに利用開始可能
- Snowflake ネイティブ: データガバナンスやセキュリティ機能と完全統合
Cortex Search の詳細や活用方法については以前の記事「Snowflake Cortex Search で RAG チャットアプリを試す」や「Snowflake Cortex Search Boosts & Decays で RAG チャットアプリを強化する」でも説明しておりますのでご確認ください。
Snowflake AI & ML Studio での Cortex Search 管理
Snowflake AI & ML Studio は、Snowflake の GUI ベースの AI / ML 活用環境 として提供されており、Cortex Search の作成機能も以前から提供されておりました。最近のアップデートにより、Cortex Search の管理機能が大幅に強化され、Cortex Searchの作成や運用において必要なタスクをほぼ全て Snowflake AI & ML Studio 上で完結できるようになりました。
AI & ML Studio へのアクセス
まず、Snowsight にログインして左ペインから『AI と ML』→『Studio』をクリックします。
AI & ML Studio のメイン画面
Studio 内では Cortex Search、Cortex Analyst、LLM Playground、ML 関数の作成などの各種 AI / ML 機能が Web ベースの UI で管理できます。
新しくなった Cortex Search 管理 UI
1. Cortex Search サービス一覧画面
AI & ML Studio から Cortex Search を選択すると、現在存在するすべての Cortex Search サービスが一覧として表示されます。
Cortex Search サービス一覧画面
Cortex Search サービスに対して行えるアクション
一覧で確認できる情報:
- サービス名とステータス
- データベースやスキーマ
- インデックス作成のステータス
- インデックスの更新頻度
実行可能な操作:
- 新規サービスの作成 (『作成』ボタン)
- 既存サービスの詳細表示
- プレイグラウンドでの検索試行
- 手動でのインデックスの更新
- 手動でのインデックス更新頻度やウェアハウスの変更
- インデックス作成の一時停止・再開
- サービスの一時停止・再開
- サービスの削除
従来は SHOW CORTEX SEARCH SERVICES;
などの SQL コマンドでしか確認できなかった情報が、視覚的に分かりやすい形で表示されるようになりました。特に Cortex Search はインデックス作成でコンピューティングリソースを消費するため、「うっかり使わない Cortex Search サービスをずっと更新していた!」みたいな状況を回避することに役立ちます。
2. サービス詳細画面とデータプレビュー
特定の Cortex Search サービスを選択すると、詳細な設定情報と 実際のデータプレビュー や Cortex Search のコスト情報 が確認できます。
サービス詳細画面
データプレビュー画面
コスト確認画面
表示される詳細情報:
- 検索対象列の詳細
- 属性 (Attributes) 列の詳細
- 最終更新日時
- 使用しているウェアハウス
- 使用している埋め込みモデル
- サービスクエリ URL や Python / API で呼び出す際のサンプルコード
- 実際のデータプレビューの表示
- Cortex Search のコスト情報
特に注目すべきは、ベクトルデータまで実際に確認できる ことです。一般的なマネージドサービスでは隠蔽されていることが多いのでは無いかと思いますが、実際に埋め込まれているベクトルデータについても確認することができるため、AI エンジニアにとって非常に有用なデバッグ情報となります。
3. プレイグラウンド機能
更に嬉しい機能の一つが プレイグラウンド機能 です。これにより、実際に検索を試すことができます。
Cortex Search プレイグラウンド画面
プレイグラウンドでできること:
- 自然言語での検索クエリ実行
- 検索結果チャンクの表示
- 属性によるフィルタリング
- Boosts & Decays の効果検証
これにより、開発者は実装前に検索品質を確認することが可能となります。
ビジネス価値とインパクト
開発・運用効率の劇的向上
従来の課題 | 新しい管理 UI による解決 |
---|---|
SQL コマンドの記憶・実行が必要 | GUI での直感的操作 |
サービス状態の把握が困難 | リアルタイム状態表示とダッシュボード |
検索品質の確認に時間がかかる | プレイグラウンドでの即座テスト |
デバッグ情報の取得が困難 | ベクトルデータの可視化 |
設定ミスのリスク | GUI によるガイド付き設定 |
ROI の向上
開発時間の短縮:
- サービス管理時間の削減
- 検索品質のテスト・検証時間の削減
運用コストの最適化:
- GUI からのリアルタイム監視により、適切なリソース管理が可能
- プレイグラウンドでの事前テストにより、本番環境でのトライ&エラーを削減
- 設定ミスによる再作成コストの削減
AI アプリケーション開発の民主化
従来は SQL の専門知識が必要だった Cortex Search の管理が、GUI によってより扱いやすくなりました。これにより:
- ビジネスユーザー でも検索品質の確認や基本的な設定変更が可能
- アプリケーション開発者 がエンタープライズサーチや RAG チャットアプリをより簡単に組み込める
最後に
Snowflake AI & ML Studio での Cortex Search 管理 UI の刷新により、エンタープライズサーチ活用や RAG チャットアプリ開発の敷居が大幅に下がりました。従来は SQL の専門知識が必要だった操作が GUI で実行でき、プレイグラウンド機能により検索品質の確認も簡単になりました。
特に以下の点で大きな価値があります:
- 開発効率の大幅向上: GUI による直感的操作で開発時間を大幅短縮
- 品質向上: プレイグラウンドでの事前テストにより、本番環境での検索品質を向上
- 学習コストの削減: 新人エンジニアでも短時間で Cortex Search を活用可能
- ガバナンス強化: Snowflake 統合環境での一元管理によりセキュリティとガバナンスを維持
- 可視化の向上: ベクトルデータまで含めた詳細情報の可視化
RAG アプリケーションの開発や企業検索システムの構築を検討されている方は、ぜひこの新しい管理 UI を活用してみてください。Snowflake の AI 機能はまさに 「企業データのための AI プラットフォーム」 として、使いやすさと機能性の両面で進化し続けています。
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