Azure関連の資格の情報(2023年1月版)
2024/1版を↓に公開しました
はじめに
年初に資格取得を中心とした、スキルアップの計画を考える方も多いのではないでしょうか。
2021年、2022年と同テーマで書いたのですが、Microsoftの資格はとても高頻度でupdateされますので、今回も改めてまとめ直しておきたいと思います。
元々、「資格試験受けました・受かりました」系のブログはとても世の中に多いのですが、資格の体系をまとめたようなものはあまり見ませんでした。そう思って2年ほど前に書いたのですが、最近はだいぶ見かけますね。
じゃあ、それ見ればいいんじゃない?って話もあるのですが、どうせ調べるなら自分でもまとめておこうっていう目的と、あとは古い情報をアップデートしておかないと見に来た人を混乱させてしまいますので、その効果も狙って書きます。
ということで今回も資格体系やスキルパス、勉強法の話などなど。
筆者の属性
インフラ系のエンジニアとしてAzure全般を触っています。特定のサービスに特化して強いわけではないのですが、強いて言うならセキュリティ系・統制系をよく扱います。
Azureまわりで取得している資格は下記の通りです。
- AZ-104: Administrator Associate
- AZ-204: Developer Associate
- AZ-300/301: Solutions Architect Expert
- AZ-400: DevOps Engineer Expert
- AZ-500: Security Engineer Associate
- SC-100: Cyber Security Architect Expert
※なお、AWSもSAP(Solution Architect Professional)やSecurity Specialtyを取得しています。
資格体系
公式情報
コチラのポスターが公式情報で、Microsoftの認定資格が記載されています。
現時点で、2022年8月版が表示されます。ここ2~3年でダントツで見やすいような。
わざわざ見に行くのも面倒な方向けに、スクリーンショットを貼っておきます。
資格体系
microsoftの資格体系
全体的に縦軸・横軸で分かれています。
縦方向
Microsoftの大きな製品群で分かれており、
- Azure
- Dynamics 365
- Microsoft 365
- Power Platform
- Security, Compliance,and Identity
の5種類です。全部横断的に勉強するのは範囲が広すぎるので、普通は自分が狙ったジャンルを攻めていくことになります。私の場合は、Azureですね。
横方向
試験・資格の意味によって分かれています。
- Fundamentals
- Role-based
- Specialty
基礎、役割カット、特定の技術領域カットの3種類です。
「Fundamentals」はともかく、Role-baseとSpecialtyの違いは難易度の高低ではなく、あくまで試験の属性による違いです。
コード体系
2文字のコードがジャンルを表し、3桁の数字と組み合わせて試験(≒資格)を示しています。
2文字のコード
全体像としては下記の通りです。
大分類 | 小分類 | コード(ジャンル) |
---|---|---|
Azure | Azure | AZ |
Azure | AI関連 | AI |
Azure | DataProcessing関連 | DP |
Dynamics 365 | Dynamics関連 | MB |
Microsoft 365 | M365関連 | MS |
Power Platform | Power Platform関連 | PL |
Security, Compliance,and Identity | (Azureの)セキュリティ関連 | AZ |
Security, Compliance,and Identity | (M365の)セキュリティ関連 | MS |
Security, Compliance,and Identity | (MS全体の)セキュリティ関連全般 | SC |
Azure関係は「AZ」で始めるもの。SCの範囲にもAzureの知識を問われる試験があります。
3桁の数字
900番台がFundamentalsの他、
百の位は重複しないように近いジャンルごとに割り振られているようです。
数字の大小と難易度は関係ありません。
一~十の位は試験のUpdateによりインクリメントされる(AZ-301~AZ304⇒AZ-305など)、2試験ともActiveになっていて合わせ技で1資格のようなパターンがあります。(AZ-800+AZ-801=Windows Server Hybrid Administrator Associate)。
前提条件
前提条件がある資格があり、ポスター上に鍵マークが付与されています。
例えばAZ-400(DevOps Engineer Expert)はAZ-104又はAZ-204に合格している必要が、AZ-305(Solutions Architect Expert)は、AZ-104に合格している必要があります。
ポスターの各試験名は前提条件など解説されている公式ページにリンクされていますので、詳細はこちらを見てください。
上位資格
「Expert」とついている資格は上位資格で難易度も高く、また同ジャンルの中位資格が前提条件となります。
1年間でのアップデート(Azure系、Security系)
1年前は無かったはずだな~というのをピックアップしてみます。
-
DP-500: Azure Enterprise Data Analyst Associate
「Microsoft Azure と Microsoft Power BI を使用したエンタープライズ規模の分析ソリューションの設計および実装」ということで、複合領域のようです。 -
AZ-720: Azure Support Engineer for Connectivity Specialty
「Microsoft Azure 接続のトラブルシューティング」ということで、Azureのネットワーク関連の知識と運用能力を求められます。 -
SC-100: Cybersecurity Architect Expert
Azureに限らず、Microsoftのサービス全般のセキュリティ知識が問われます。Microsoft Defender for XXXXだとか、Zero Trustモデルとか…。この試験には前提条件があり、AZ-500などセキュリティ系の中位資格が求められます。 -
DA-100: Analyzing Data with Microsoft Power BI
こちらの試験は、PowerBIの試験に移行統合され、廃止になったようです。
AWSと比較すると
AWSは知ってるんだけど…という方のために、独断と偏見でマッピングを作ってみました。特に、Architect/Developerの資格の関係性や、中位―上位の関係性はこう表現したほうが分かりやすいと思います…。
AWSエンジニアの方にはタイヘン喜ばれます。笑
専門知識系はSecurity、Data系など重なるところもありますが、それぞれにしかないところもあり完全には一致しません。SAP(×Solution Architect Professional、○SAP)やNetworkのように片方にしかなかったものが他方に追加されたものもあります。
※元画像はAWS公式
AWSの資格図は去年までのものの方が分かりやすかったと思うのですが変わってしまいました。引用元が無くなってしまってますが、去年の記事に貼っていた図も再掲します。
※あくまで机上で見たときのマッピングであり、難易度や分類が正しいことを保証するわけではないのでご注意ください。
受験した際の個人的な感覚では、AWSのAssociate=AzureのAssociate<AWSのSpecialty<AWSのProfessional=AzureのExpert、くらいだと思います。(MicrosoftのSpecialtyは持っておらず…)
スキルパス
手始めに
クラウドにふれるのが殆どはじめてという方は、AZ-900から手を付けるのが良いと思います。特定のジャンルに縛られること無く、基本的な概念を確認する資格です。他のクラウドを触ったことがあるなど、基礎知識がある方は飛ばしても良いかもしれません。実際、私の周りでも、AWSから入った方が無勉強でAZ-900を取ってきたり、AZ-900は飛ばして中位資格から手を付ける人が多くいます。
Solutions Architect系
クラウドを使ったシステムの設計・構築を進めていく役割です。AZ-104→AZ-305と進めます。
元々はAWSと違って中位(Associate)資格がなくいきなり上位資格を取れましたが、現在はAZ-305(Solution Architect Expert)の前提としてAZ-104(Administrator Associate)が必要です。
AZ-104はAzureの基本的なサービスの考え方や使い方について問われます。AZ-900より難易度はあがりますが、どのような役割の方にもお勧めできます。
(私はAZ-305の前々世代となる300/301で取得していますが)AZ-305はAzureの各種サービスの深い知識が問われます。
各サービスの特徴や「こういう要件に対しては、こうサービスを使って・組み合わせて、こうやって実現するんだ」ということを理解する必要があり、実際に使い込まないと難しい試験です。
Developer系
AZ-400を受けるためには、AZ-104かAZ-204に合格する必要があります。
私は204 → 400と受けていますが、AZ-204とAZ-400では求められる知識のジャンルが結構違いました。
AZ-204はAzureサービスをDeveloper観点で使いこなすための知識を問われますので、ある意味Solutions Architectと近しい知識で乗り切れます。
AZ-400は、Azureサービスに関わるところはAzure DevOps、AKSくらいで、かなりの範囲については一般的な開発知識(コンテナ、プログラミング言語、リポジトリ管理やCI/CDのツールや文化などの理解)を求められます。今、試験の公式ページを見ても、Githubの知識も求められることになっていますね。AZ-400は決して204や104の上位資格ではなく、両方の分野をきちんと押さえたうえで開発系全般の知識が必要であることに注意しましょう。
セキュリティ系
セキュリティ系のSC-200(Security Operations Analyst Associate),SC-300(dentity and Access Administrator Associate),SC-400(nformation Protection Administrator Associate)は系統の違いであって難易度の違いではないため、どの分野からせめても良いと思われます。
SC-100(Cybersecurity Architect Expert)は、Expert資格になるため、前提資格(SC-200,SC-300,MS-500,AZ-500のいずれか)が求められます。
私はAzure系に強みがありましたので、AZ-500⇒SC-100の順で受けて無事合格しましたが、SentinelとM365の連携や、多岐にわたるMicrosoft Defender for XXXXの使い方など、SC-200~400やMS-500系統の知識も求められますので、出来ればもう1分野くらい中位資格相当の勉強をしてからの方が良さそうでした。資格試験は受かることが目的ではなく、勉強と理解度の確認のためですので、知らない範囲はちゃんと復習しないといけませんね。
専門系
雑に「専門系」でくくってしまいます。
AI系、DP系などは、基本的に順番や系統があるような試験ではありません。(言い切って良いのかな…?)。AZ系に位置づけられていても、Specialty試験はNetworkやSAPなどのように専門的な知識が問われるものがありますので、こちらも同様です。
それぞれ問われる分野が違いますので、「経験があるから受けてみよう」でもいいですし、「この分野の勉強したいから勉強してみよう」もアリだと思いますが、「こういうパス(順番)で受けて行こう」という推奨ルートがあるようなものではありません。
いずれにせよ、AZ-900やAZ-104といった基本的な知識がついて、Azureを触れるようになった方が初めて考える範囲かなと思います。
勉強方法について
2020/12の第30回 Tokyo Jazug Nightで喋った資料を再掲します。
資格の情報などは少ーーし古くなってしまっていますが、勉強方法についてはこちら参考になると思いますので、ぜひご参照ください。
要約すると、資格のページの「評価スキルのアウトライン」を見て、分かるところはそのままでOK。知識が足りないところを「Microsoft Learn」で補う…という形で勉強を進めれば十分合格ラインに達すると思います。
資格の更新方法について
2021年に資格の更新方法が変わっています。そろそろ、制度変更ギリギリで受けた人も皆さん更新(2年)のタイミングに差し掛かっていると思います。
更新した際の情報を↓にまとめていますので、気になる方はこちらをご覧ください。
終わりに
私自身も、継続的に勉強しないと知識は古くなっていってしまいますので、今年もいくつか資格を取っていこうと思ってます。ちなみに振り返って見ると、去年はこんなことを言ってました。
1つも取らずに、なぜかいきなりSC-100を取得した1年でした…。
今年は、順当に行くとAZ-700かAZ-720あたり。知識のないところを補う意味では、DP系あたりかなと思っています。まとめた情報を眺めながら考えます。
2023年の開始ということで、今時点のAzureの資格試験情報をまとめてみました。皆さまの資格対策の一助になれば幸いです。
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