Azure Managed DiskのPerformance Plus機能を試す
はじめに
2023/3に「Performance Plus」というAzureのDisk Storageの性能上限を向上させるオプションがパブリックプレビューとなりました。
無料で性能向上が可能、ということで、プレビューと言うことを除けば使わない手はありません。ということで今回は仕様確認を兼ねえて機能を試してみました。
Performance Plusの仕様
公式ドキュメントは下記の通り。
ポイントとなる仕様を抜き出します。
- 513GiB以上のPremium SSD / Standard SSD / Standard HDDで使用可能
- Performance Plusオプションはディスクごとに有効化できる
- オプションを有効化しても追加料金はかからない
- Portalから有効化することはできず、Azure PowershellまたはAzure CLIを使用する
- 既存のディスクでオプションを有効化することはできず、新規に「有効」なディスクを作成する必要がある
引き出せる性能上限は別ドキュメントに記載があります。
構成作業検証
公式ドキュメントにあるSLI/Powershellのスクリプトを確認すると、いくつか誤りがありました。
Azure CLI
※ドキュメントから抜粋
myRG=yourResourceGroupName
myDisk=yourDiskName
myVM=yourVMName
region=desiredRegion
# Valid values are Premium_LRS, Premium_ZRS, StandardSSD_LRS, StandardSSD_ZRS, or Standard_LRS
sku=desiredSKU
#Size must be 513 or larger
size=513
az disk create -g $myRG -n $myDisk --size-gb $size --sku $sku -l $region –performance-plus true
az vm disk attach --vm-name $myVM --name $myDisk --resource-group $myRG
一番のポイントとなるオプションの指定(ハイフンの数)が間違っていました。ご注意ください。
- 誤
az disk create -g $myRG -n $myDisk --size-gb $size --sku $sku -l $region –performance-plus true
- 正しい
az disk create -g $myRG -n $myDisk --size-gb $size --sku $sku -l $region --performance-plus true
Azure Powershell
ここでは割愛しますが、「VM名」を指定するのにVMにアタッチするコマンドが抜けている…
ディスクが作成されるだけで終わってしまいますので、アタッチを忘れないようにしましょう。
作成結果
作成されたディスクをVMにアタッチした結果が下記の通りです。
Performance Plusオプションが有効な「disk-pp」と、オプションが無効な「disk-normal」の2つを構成します。
「最大IOPS」や「最大スループット」の値を見ると、1つ目のディスクの方が高性能になっていることが確認できます。
性能検証
比較できるように、以前PremiumSSD v2の検証を行ったときと基本的に同条件にします。
構成
以前と変えている場所には★マークを付けています。
- 場所:Japan Eastリージョン★
Performance Plusオプションは東日本リージョンでも使えました - VM:Standard D8s v3 (8 vcpu 数、32 GiB メモリ)★
ディスクの性能を引き出すために、VMサイズを上げます - OS: Windows Server 2016
- Disk構成:OS Disk(対象外)
- Premium SSD LRS 1024GiB Performance Plusオプションあり★
今回のテスト対象 - Premium SSD LRS 1024GiB Performance Plusオプションなし★
今回の比較対象
ホストキャッシュ:なし
テスト内容
CrystalDiskMarkを使用してベンチマークテストを行います。
デフォルト設定のまま動かします。(テスト回数だけ、減らして1回にします)
テスト結果
各ディスクに対する、スループット・IOPS・レイテンシを見ていきます。着目すべき結果に赤枠を付けています。
オプション有り
オプション無し
結果考察
各項目の意味を考えます。
スループット
オプション無しはVMサイズの性能上限通り(200MB/s)なのに対し、
オプション有りはオプションの効果(300MB/s)が表れています。
分かりやすく効果が出ています。
IOPS
オプション無しはVMサイズの性能上限通り(5000 IOPS)なのに対し、
オプション有りはオプションの効果(8000 IOPS)が表れています。
こちらも分かりやすく効果が出ています。
レイテンシ
レイテンシはオプション有無に関わらず「大差ない」と言うことが分かります。
以前、検証を行った「Premium SSD v1」の結果とも変わりません。これはHWレイヤの機器構成の世代による上限なのだと想定されます。
以上から、PerformancePlusオプションは「レイテンシには影響を与えず、スループット/IOPSに対してかかっていた制限を少し解放する」という機能なのだと想定されます。
おわりに
今回は「Performance Plus」オプションを検証しました。
ディスクサイズが513GiB以上の場合有効にできる機能で(Azureのマネージドディスクのメニューで言ったら実質1024GiB以上になるわけですが)、しっかりと効果がありました。無償で使える機能ですので、有効にしない選択肢は無いのではないでしょうか。
ディスクの再作成が必要になるなど注意が必要な点もありますが、GAされ次第すぐにでも使っていいオプションだと思います。
札束で叩くのではなく、値段変わらずで性能向上するのはとても嬉しいですね。
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