AzureのPremium SSD v2使ってみて分かったアレコレ
この記事はQiita Azure Advent Calendar 2022 12/19(月)の記事として投稿します。
はじめに
Premium SSD v2がGAされた際に、以前のPremium SSD(この記事でもv1と呼ぶことにします)との机上の比較を行いました。
まだ使えるリージョンも少なく、色々と運用制約があるのでまだ日本のユーザーとしてはハードルが高いね、という話をしたのですが、今回はアドベントカレンダーもあるし触って見るか!?ということで、使ってみた!を記事にします。使えなかったPremium SSD V2
さてこのテーマで書こうと思い立ったのが12/12(月)。1週間あれば色々試せるだろうと思ってポータルからポチポチやってみました。
甘かった
早速VMを作りながらデータディスクをアタッチします。
アタッチ…できません!
Premium SSD v2はウッスラ灰色表示になっており、選択することができません。
リージョン間違ってる?使えるVMが間違っている?などドキュメントを色々見ましたが、条件に外れていることは一つもないはず…なんで!?
よくよく見ると、Premium SSD v2のところには ⓘ マークがついています。マウスオーバーしてみると「登録制だよ」という案内が表示されます。
…な、なんだと!?GAじゃないの!?
使えるようにしたPremium SSD v2
リクエスト
ということでリンクに従ってリクエストフォームにたどり着きます。案内される内容は下記の通り。
質問内容は下記の通り。
1.First name
2.Last name
3.Company name
4.Company email address
5.Which of the following best describes your interest in the Premium SSD v2?
6.What is the estimated provisioned capacity (in TiB) you need for your workloads?
7.How are you planning to distribute the Premium SSD v2 Disks capacity?
8.Which of the following use cases do you want to enable with Premium SSD v2 Disks? Select all that apply.
9.Are you planning to migrate your existing workloads on Azure to Premium SSD v2 or bring new workloads?
10.What are the subscription IDs you would like to use to test Premium SSD v2 for your workloads? (Provide comma separated values)
11.
Please specify the regions other than the two regions (US East and West Europe) you want Premium SSD v2 to be available for your production workload.
12.The following features are currently not available for Premium SSD v2. Select the features without which you cannot use Premium SSD v2.
13.Which of the following workloads are you planning to host on virtual machines with Premium SSD v2 Disks? Select all that apply.
14.If you select Other in the previous question, please specify:
15.Which of the following Operating Systems are you planning to use? Select all that apply.
16.If you select Other in the previous question, please specify:
ちょっと分量があります。
基本的に「テストで使ってみて、使えそうなら本番ワークロードでもつかいたいんだけど、運用制約厳しいっすね~」ということを埋めてみて、リクエスト。
アクセプト
数日待つと、「君のリクエスト承認したよ」というメールとともに、リクエストしたサブスクリプションで機能が有効化されます。
ちなみに、12/18(日)の朝一(JST)にメールが届いてました。今日に間に合って良かった。。。
使ってみたPremium SSD v2
早速使ってみます。East USリージョンでVMを作成してみます。
今回は無事、Premium SSD v2を選択できます。「プレビュー」と書いてありますが、これは日本語表示の時だけですね。Azureポータルを英語表示に切り替えると、表示されないので安心です。
指定するパラメータは、ディスクサイズ・ディスクIOPS・ディスクスループットの3つで、v1と違ってサイズも整数を入力できます。
構成まわり
一度作成したディスクのパラメータを変更したい場合は、「ディスク」>「サイズおよびパフォーマンス」から設定可能でした。
(そういえば、ディスクサイズのオンライン変更ができるようになったってアナウンスが出てた気がするのですが、いまだに出来ない…)
ということで、下記のような構成にしてみました。見えてませんが「ホストキャッシュ」は全ディスクともOffになっています。
VM(Windows)にBastion経由でログインし、適当にフォーマットします。
サイズをちょっとずつズラしていたので、LUN番号通りにディスクが識別されていることが確認できました。
性能まわり
では気になる性能を見てみます。
テストのやり方は依然v1で試した下記の時と基本的に揃えます。
テスト環境
- 場所:Azure East USリージョン
- VM:Standard D2s v3 (2 vcpu 数、8 GiB メモリ)
- OS: Windows Server 2016
- Disk構成:OS Disk(対象外)
- Premium SSD LRS 128GiB 500IOPS 100MB/s(バースト3500IOPS 170MiB/s)
- Premium SSD v2 LRS 129 GiB 3000IOPS 125MB/s(ベース性能)
- Premium SSD v2 LRS 130 GiB 6000IOPS 250MB/s(IOPS・スループットそれぞれ2倍)
- 一時ストレージ 16GiB(D2s v3のオマケ)
- ホストキャッシュ:なし
テスト内容
CrystalDiskMarkを使用してベンチマークテストを行います。
デフォルト設定のまま動かします。(テスト回数だけ、減らしました)
結果
各ディスクに対する、スループット・IOPS・レイテンシを見ていきます。着目すべき結果に赤枠を付けています。
Premium SSD v1
Premium SSD v2(ベーススペック)
Premium SSD v2(2倍スペック)
一時ディスク(オマケ)
結果考察
スループット
シーケンシャル・1Mブロックファイルの読み書きのテスト条件のところに着目します。
・v1のバースト性能・v2(ベース)の性能はスペック通り出ていました。特に問題ないですね。
・v2(2倍)の方は、性能を出しきれていません。(250MB/sでるはずが200MB/s)
元々、VMの制限としてスループットは「200MB/s」までという性能上限があり、これに抵触したようです。
(引用元)
IOPS
・v1のバースト性能・v2(ベース)の性能はスペック通り出ていました。v2(ベース)は多少出すぎなような気も…。いずれにせよ問題はなさそうです。
・v2(2倍)の方は、スループットと同じくVMの制限に抵触し、「4000IOPS」という上限に当たってしまっているようです。v2ディスクの性能が十分すぎるというところでしょう。
一般的に、「スループットはブロックサイズを大きくしキューに適切にIO命令を投げ込めば」「IOPSはブロックサイズを小さくし、多重度を上げてキューに適切にIO命令を投げ込めば」性能の限界まで引き出せますので、上の2つのテストについては「あくまでカタログ通りだね」が確認できたということです。あまり意味がないので、VMのサイズを変えて「v2の性能引き出せますね~」の確認は割愛します。
レイテンシ
個人的に一番重要な性能指標がこのレイテンシだと思います。クラウドのストレージは基本的にリモートストレージなので、VM⇔ストレージ機器がネットワークでつながれています。どうしても通信遅延があり、ストレージの性能、特にシングルスレッドのIOPSに影響が出てしまいます。
以前調べたときも、Premium SSD v1では1msec程度のレイテンシとなっており、最大でも1000IOPS程度しか引き出せないということが分かっていました。(今回も同様の結果となっています)
さて、注目のPremium SSD v2では…!なんと650μsec程度になっています。今までの2倍近い速さで応答しているということです。
オンプレミスでローカルストレージの性能に甘んじていたアプリケーションを、そのままリフトして「ディスクが遅い!」なんて声もよく聞かれますが、v1に比べるとだいぶ使いやすくなりそうです。
v2はミリ秒以下のレイテンシ、といううたい文句でしたが、うたい文句に偽りなしというところ。
オマケ
VMが稼働する物理サーバーのディスクをテンポラリで利用できる、一時ディスクの性能も見てみたところ、圧倒的な速さを誇ることが分かります。
スループット・IOPSはVMの性能上限に達しており、レイテンシについては約「250μsec」ということでv2と比較してもさらに圧倒的に速いことが分かります。
さすがにサーバーローカルのディスクは圧倒的ですね。
おわりに
Premium SSD v2を触ってみました。うたい文句通りの性能を確認し、やっぱりv1からv2への移行進めていくのが良いんだろうなという感触を得ました。
一方で「アドベントカレンダーに合わせて検証するか」の第一歩目からズッコケたように、現時点では登録制・リージョンも絞られる・運用制約も大きいという壁が大きいので「名実ともにGA」が待ち遠しいですね。
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