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英語の記事を引用や翻訳して自分の記事として投稿する際の著作権について

2021/08/25に公開

前提の注意事項

サンプルとしてどれだけ元記事のままの表現なのかのイメージのため実際見つけた記事画像を貼り付けますが、おそらくご本人たちは悪気があって書いているわけでも私が彼らに指摘したいわけでもありません。
今勉強中のエンジニアを目指している方や日々アウトプット頑張っている現役技術者方たちが、悪気なく知らずにアウトプットして思わぬ指摘を受けてガッカリしたり嫌な思いをしないために書いてますので該当している記事を探して指摘してまわるようなことだけはやめてあげてください。
また、パッと見ただけでは問題ある/なしが判断できるものではありません。もし優しく指摘する場合でも最初から問題あると決めつけて指摘しないようにご注意ください。
そして、私は法律の専門家では全くなく、ただのひよっこエンジニアですのでこの記事が必ずしもすべてが正解であるとは限りません。

きっかけ

たまたま検索してヒットした記事をきっかけにして、英語記事をそのまま翻訳してブログやQiita、Zennに投稿している記事って問題ないのか?ということが気になり調べてみました。
結構ありそう。

Qiitaで見つけた例

Zennで見つけた例

元記事のURLまでリンクを掲載した上で画像までそのまま掲載していることから少なくとも悪気があって自分の記事として掲載しているわけではないことはわかります。直訳しましたって書いてあるし。
もし著作権者の承諾を得ていない場合、これらは翻訳権の侵害にあたるリスクがあるんです。

著作権法とは

著作権ってのが関係してるみたい
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048

著作権法の中で翻訳に関わる箇所を抜き出してみました

第一章 総則>第一節 通則>第二条(定義)>11

二次的著作物 
著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物

第一章>第一節>第四条(著作物の公表)>3

二次的著作物である翻訳物が、第二十八条の規定により第二十二条から第二十四条までに規定する権利と同一の権利を有する者若しくはその許諾を得た者によつて上演、演奏、上映、公衆送信若しくは口述の方法で公衆に提示され、又は第二十八条の規定により第二十三条第一項に規定する権利と同一の権利を有する者若しくはその許諾を得た者によつて送信可能化された場合には、その原著作物は、公表されたものとみなす。

第二章>第二節 著作者>第三節 権利の内容>第三款 著作権に含まれる権利の種類>第二十七条(翻訳権、翻案権等)

著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。

第二章>第二節>第三節>第五款 著作権の制限>第四十七条の六 (翻訳、翻案等による利用)

次の各号に掲げる規定により著作物を利用することができる場合には、当該著作物について、当該規定の例により当該各号に定める方法による利用を行うことができる。
一 第三十条第一項、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十四条第一項、第三十五条第一項又は前条第二項 翻訳、編曲、変形又は翻案
二 第三十一条第一項第一号若しくは第三項後段、第三十二条、第三十六条第一項、第三十七条第一項若しくは第二項、第三十九条第一項、第四十条第二項、第四十一条又は第四十二条 翻訳
三 第三十三条の二第一項、第三十三条の三第一項又は第四十七条 変形又は翻案
四 第三十七条第三項 翻訳、変形又は翻案
五 第三十七条の二 翻訳又は翻案
六 第四十七条の三第一項 翻案

第二章>第二節>第三節>第五款 著作権の制限>第四十九条(複製物の目的外使用等)>2

次に掲げる者は、当該二次的著作物の原著作物につき第二十七条の翻訳、編曲、変形又は翻案を、当該二次的著作物につき第二十一条の複製を、それぞれ行つたものとみなす。

...つまりどういうこと?

ポイントはこんな感じだと思います。

  • 翻訳権とは、著作権のうち別の言語に翻訳する権利
  • 翻訳する場合には原作の著作者の許諾を得る必要がある
  • 翻訳されたものは二次的著作物となり、二次的著作物の作者は二次的著作物の著作者になる(翻訳家が該当)
  • 原作者は翻訳した二次著作者物が利用される限りにおいて(個人のメモ帳など私的利用なら該当しない)その権利を行使することができる
  • 適性な引用は合法でありその翻訳も認められている。適性とは以下すべての条件を満たす必要がある。
    • 公表された著作物は、著作者の許諾なく引用して利用することができる
    • 引用元と表現や情報が一致していること
    • 引用部分と自己の著作物の区分が明瞭であること
    • 自己の著作物が「主」であり、引用部分が「従」であること
    • 引用時に著作物の出所(著者名、コンテンツタイトルなど)を明示すること

こういう場合どうするのシリーズ

引用のURLさえ掲載すれば問題ないのか?

引用をつけさえすれば著作者の許可なしにそのまま翻訳した記事をメインコンテンツとして自分のブログに掲載公開した場合、翻訳権の侵害になります。

以下のいずれかであれば侵害を回避できます。

  • 著作者の許可を得て投稿する。その際には許可を得ている旨と著作者名と記事名、URLを記事内に載せましょう。この記事とかしっかり書いてますね。
  • 著作物を合法的に引用した上で、自分の表現や自分なりの解釈をメインコンテンツとして記事投稿するなら著作者は自分自身になりますので侵害にはならないです。

要約ならいいの?

それならOK!
数行程度の要約にする程度であれば異なる表現方法になっていて、同じ内容ではあっても著作物の創作的な表現部分は異なるため、著作権は要約者側と言えるはずです。なので、翻訳権の侵害にはならないはずですね。ただ、かなり独創的なコンテンツやアイディアの場合、要約であっても引用せずに自分が創作した文章かのように書くのはモラル的にどうなんだろうという場合もあると思うので内容によっては元情報を紹介した方がいい場合もあると思います。

SNS上で外国語の投稿を自動翻訳する機能と何が違う?

機能は一緒でも、誰が投稿者となって公開しているかどうかという点で違いますね。元の投稿の表現が元の著作者投稿のままで翻訳されているので侵害にならないです。

翻訳を引用しつつ自分なりの解釈をメインコンテンツとした記事投稿にするならいいの?

それならOK!
翻訳して引用すること自体は著作権法47条の6第1項第3号で適法とされており、著作物の創作的な表現部分が一致していないので翻訳権の侵害にはならないです。
ただ、引用の仕方によっては争うリスクになるので目的と範囲に注意して引用部分は極力原文の表現を使った方がよいでしょうね。

YouTube動画を翻訳してブログに掲載するのは?

表現とコンテンツによるかも..著作権者の許可もらった方がよさそう。

法人やプロダクトサイトのチュートリアルやマニュアルの翻訳は?

著作者の承諾を得ずにそのままの翻訳だと翻訳権の侵害にあたります。
法人だろうがプロダクトサイトだろうがマニュアルだろうがチュートリアルだろうが著作権は存在する内容なら翻訳権を行使できます。
情報拡散することで喜んでくれるような公開の仕方をすれば必ずしも連絡とって許可とらなくてもいい場合もあるかもとは思いますが。侵害している限りはリスクはあります。

Udemyなど有料で販売されている英語の動画を翻訳してブログで勉強ログにするのは?

有料か無料かは関係なく、許可得ずそのまま翻訳したものだと翻訳権の侵害、ただし翻訳時に自分なりの解釈を交えて意訳的な表現にするか又は合法の引用の仕方にすることで翻訳権の侵害を回避できますね。
上記でも書きましたが「合法的な引用」とは以下に注意です

  • 引用(ここは原文の表現のまま)と自分なりの解釈を明瞭に区別
  • 解釈の方がメインコンテンツになるように投稿
  • 引用時に著作物の出所(著者名、コンテンツタイトルなど)を明示

注意点ですが、これは翻訳権に関してのリスクであり、動画サイトの利用規約で禁止事項になっているのかどうかなど別の法律や規約に抵触しないかは確認が必要です。

さいごに

色々調べてみて大分理解が深まった。
しかし、法律ってなんでこんなに読みにくいんだ、、ここあたりとかカッコとか「●●に限る」とか「●●を除く」とか多くていまいちピンときてない。

著作権(第二十八条に規定する権利(翻訳以外の方法により創作された二次的著作物に係るものに限る。)を除く。以下この号において同じ。)を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の複製(録音及び録画を除く。以下この号において同じ。)(当該著作権に係る著作物のうち当該複製がされる部分の占める割合、当該部分が自動公衆送信される際の表示の精度その他の要素に照らし軽微なものを除く。以下この号及び次項において「特定侵害複製」という。)を、特定侵害複製であることを知りながら行う場合(当該著作物の種類及び用途並びに当該特定侵害複製の態様に照らし著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除く。)

誰かの参考になってたら嬉しいです。

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