狭ピッチ & 薄型キーボードで、お出かけ先でのタイピングを楽しくしてみない??
この記事はキーボード #1 Advent Calendar 2023の3日目の記事です。
前日はIKeJIさんの今年作ったキーボードまとめ(2023)です。
今年も、自作キーボードにどっぷりと浸からせて頂きました。
なんかんだでキーボードを8つ設計し、キーキャップを4種類ほどデザインしたりと思いの外のめり込んでましたね。
早く飽きたい。
さて、私が今年に頒布したキーボードキットの内、一番人気は「miniDivide」でした。
簡単にminiDivideの紹介を並べると
- 0.8u(16mmピッチ)の38キー分割型キーボード。
- 従来のキーボードより各キーが近いので...
- 手が小さい方でも使いやすい。
- 指の動きを最小限に文字を打つことが可能。
- コンパクトさと薄さを徹底。
- BLE Micro Proのサポートしており、Bluetooth接続が可能。(従来のPro Microによる有線接続も可能)
という「とにかく小さくて薄いキーボード」と覚えていただければ幸いです。
もともとは、「100mm x 100mm以内で基板を設計すると格安で製造できる」という理由から、昨年に頒布したminiZoneの分割版でもつくってみるか〜と取り掛かったがきっかけ。
完成の後に2つのキーボードの間にスマートフォンを置いたら、とても収まりが良くて驚きましたね。
この小ささとカタチでしか味わえない体験と世界感がありますよ、ちょっと大げさに言うとね。
「自作キーボードならでは」が詰まっているよ
ちょっとだけ自分の価値観の話。
「せっかく、つくるなら"他にはない何か"を混ぜ込む」といったことを潜在的に意識していて、自作キーボードを設計する時も思考の片隅に置いています。
miniZoneやminiDivideは、「狭ピッチ」「超小型 & 薄型」「メカニカルスイッチ」「オリジナルなデザイン」という市販品ではあまり見ない要素が詰まっています。
それぞれの要素自体は目新しいわけではないんですけどね〜。
今年は、Filcoの「Majestouch Xacro M10SP」やPFUの「HHKB Studio」といった国内大手メーカーが「分割型」「メカニカルスイッチの交換」「ポインター」と自作キーボードの得意領域と重なるところまで歩みを進めたな〜というのが私の所感です。一般化してきたという見方もできますね。
ただ、先述した「狭ピッチ」「超小型 & 薄型」「メカニカルスイッチ」といった要素は企業の音沙汰を感じないので、このあたりの当面は自作キーボードだけの体験になるのではないかという推察です。
普及に苦労する一面もあったり
「自作キーボードだけの体験」と言えば聞こえはいいんだけど、詰まるところ「ニッチすぎる」という面が大きいのも事実。
特に、狭ピッチのキーキャップはバリエーションが少なく揃えるのも一苦労。
なので、無料で配布しているデータ等含めて以下の記事にまとめたり。
併せて今年はキーキャップを2種類デザインした。
プロファイル付きの0.8u(16mmピッチ)用のKailh Choc v1向けのキーキャップ。
極薄ながらも行ごとに傾きを変えたり、中央が窪む形状になっていたりと使用感をCherry互換に近づけるように工夫を施した。
また、供給を安定させるためにDMM.makeでも発注できるようにしました。
明るめのホワイトカラーです。
また、デザインが画一的になるのを避けたくて遊びで一部をくり抜くデザインにしてみたら、案外かっこよかったのでこちらも頒布してみました。
手ぶらで出かけても文字打ちが楽しめる
「キー毎の配置が近いので手が小さくても使いやすい!」
「薄い!」
「軽い!」
「持ち運びしやすい!」
といった狭ピッチならではの利点もたくさん挙げられるけど、外に出て文字を打つのが楽しくなるんじゃないかな〜 という点が気に入っています。
「miniDivideとスマホスタンドをカラビナ付きのポーチに入れてズボンのベルト穴からぶら下げる。」
「あとはポケットにスマホを入れて外に出るだけでいつでもどこでも文字を打つのを楽しめる。」
大したことではないですが、なんとなく外に出かけるの楽しくなりません?
一台ぐらいは、そういうキーボード、持っていたくないですか?
市販の小型折りたたみキーボードでも実現はできますが、やはりメカニカルスイッチならではの打鍵した時の楽しさが段違いな気がするんですよね〜。あとは分割型がそもそも普及していないというのもある。
miniDivideを持った人が外に出かけたりカフェに入るのが楽しくなってくれたら感無量ですね。
狭ピッチキーボードを広げてみる
自分の想像以上に狭ピッチのニーズがあったので、様々な展開を模索してみました。
miniSquares
miniDivideはポーチに入れて持ち運ぶキーボードだったので、ポケットに入るぐらいのキーボードつくれないかと思い、手掛けたのがこの30キーの分割狭ピッチキーボードの「miniSquares」。
狭ピッチ版のFoobarですね。
自分はGherkinに慣れているので30キーでも使えなくはないけど、ちょっと上級者向け。
ポケットに入れて使うにはネジの処理なども工夫したいところではある。
miniDivide MAX
「miniDivideの列と行を増やしたものが欲しい!」というお声を頂いたので試しに6列5行の56キーの狭ピッチ分割型キーボート「miniDivide MAX」を試作してみました。
miniDivideのコンパクトさからはかけ離れてしまったけど、狭ピッチや自作キーボードの入門をする人にはちょうどいいかもしれない。
miniArcacon
知り合いから、「アケコンをつくってみたいので自作キーボード周りの知識を教えて欲しい!」と相談を受けて、自分の勉強用につくったのがminiArcacon。
miniDivideと同じく100mm x 100mm以内に収まるように基板を回転させて発注するという涙ぐましい苦労も垣間見える一作。
本当はCherry MXと1uのキーキャップで構成したかったのだが、コストを抑えたかったのと"どうせつくるなら他にはないもの"を貫きたかったので、狭ピッチを採用してコンパクトさと低コストを実現した。
そう、狭ピッチにすると面積が少なくて済むので基板つくるのもケースをつくるのもコストを抑えられる…という副次的なメリットもありますね。
miniDivide 3Dプリントケース
ついさっき組み立てた、miniDivideの3Dプリントケース版。
悪くないけど、デザイン的な部分と強度や組立てやすさの部分でどうも狭ピッチとの相性が良くないかもしれない。
意外とアクリルケースが"らしさ"を引き出していたのかもな〜という感想。
狭ピッチキーボードをつくるひとが増えますように
今年の自キ活の半分ぐらいは狭ピッチキーボードのことを考えて過ごした気がします。
自分の想像以上に狭ピッチキーキャップやminiDivideに熱い想いを持ってくれる方々がいてくれたからこそ頑張れたと思います。ありがとうございます。
願わくば、狭ピッチキーボードを組み立てる人・設計する人が増えていくと最高ですね。
やはり仲間が増えると嬉しい。ノウハウも貯まっていいよね。
協力できることがありましたらお気軽にご連絡ください!
日本の自キ設計者は、一度は狭ピッチキーボードの設計をやってみて欲しいですね〜!
天下一キーボードわいわい会 Vol.5では、狭ピッチキーボードを設計して持ち込んでいた方も何人かいらしたので、少しずつですが増えつつあるのかなと。
少しでもお力になれたらと思い、アドベントカレンダー期間中は、Zero8 Slim-Fitキーキャップの3Dデータを半額にしておきます。 刷って使うも良し、学ぶも良しです。
Special Thanks
miniDivideの投稿を一部紹介させていただきたいと思います!
こういった投稿のおかげで元気と次回作への活力を頂けております…🙏
この記事は、miniZone + Zero8 Slim-Fitキーキャップで書きました。
追記
狭ピッチ・小型・薄型キーボードをより楽しむ・使いこなすための30%キーマップに関する記事を追加しました。
Discussion
こんにちは!
記事ありがとうございます。
当方、claw44を使っているのですが、miniDivideは一目見て持ち運びやすくかつ配列が似ているキーボードとしてすごく気になりました!
参考までに、どのようなキーマップでお使いになっているか教えていただけますでしょうか?
コメントありがとうございます。
簡易的にですが、キーマップをまとめてみました。
以下はかなり省略してはいますが、基本的にはこの4レイヤーで使っている感じですね。
レイヤー0
レイヤー1
レイヤー2
レイヤー3
近日中に詳細な解説記事を投稿しようかと思います。
ご丁寧にありがとうございます。
意外と5列でも何とかなってますね。
参考にします!
キーマップの解説を記事にまとめましたので、よろしければ御覧ください。