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生産性と心理的安全性から考える、エンジニアの『出社文化』のメリット

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はじめまして。
株式会社TAIANでエンジニアリングマネージャーをしています、高野です。

ここ数年、リモートワークが当たり前になり、エンジニアも多くの企業でフルリモート勤務が可能になりました。しかし最近では、日本では楽天やGMO、海外でもGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)など、大手企業が次々と「出社回帰」の動きを見せています。

その背景には、リモートワークが長期化する中で生産性の低下やチームの一体感の希薄化といった課題が浮き彫りになってきたことがあります。例えば、Googleでは週3日の出社を義務付け、出勤状況を業績評価に反映するなど、対面での共同作業を重視する方針を打ち出していますし、Amazonでも2025年1月から従業員に週5日の出勤を義務づける方針を打ち出しています。

私たちの会社は、テック企業では珍しいほどに頑なに「出社文化」を貫いています。正確には、弊社では「週4日出社」を基本としており、採用時の条件としてもお伝えしています。

この記事を書くにあたり、「なぜ私たちは出社にこだわるのか?」を改めて考えてみました。

『出社文化』のメリット

私がエンジニアリングマネージャーとして日々感じている出社のメリットは、大きく3つあります。

課題解決までのスピードの速さ

同じオフィスにいることで、気軽に質問や相談ができます。「あの件の進捗どう?」「この仕様の背景をちょっと教えて?」など、日常の些細な確認がタイムラグなく行われます。また、コードが上手く動かない時など、席が隣同士であれば「ちょっと見てもらっていいですか?」とすぐ相談し問題を解決できます。

こうしたコミュニケーションは、リモート環境ではチャットや会議を介するため、どうしてもタイムラグが生じてしまいます。意思決定のスピードが重要なスタートアップでは、この課題解決までのスピードの速さは非常に重要な武器になります。

技術的議論の質の向上

エンジニア特有の技術的な議論や設計の話は、対面のほうが圧倒的に円滑だと感じています。特に、ホワイトボードを利用しながらの議論は他の手段では代えがたい利便性があり、最も生産性が高いと感じています。

もちろん、リモート環境でもMiroなどを活用して近しいことはできます。ですが、リモート環境では通信環境による微妙なタイムラグなど、集中を途切れさせる要因が多くあり議論に集中しづらい傾向があると個人的には感じます。

こういった点から、対面でのコミュニケーションは技術的議論の質の向上に役立ちます。

心理的安全性の確保

対面で話すことで、相手の表情や反応をリアルタイムに感じることができ、コミュニケーションにおける心理的安全性が高まります。Googleの「Project Aristotle(プロジェクト・アリストテレス)」によって、「生産性の高いチームには心理的安全性が不可欠」という結果が出されたことは今は周知の事実となっています。

リモートによるテキストベースのコミュニケーションは、意図せず攻撃的な印象を与えることがしばしばあります。特にエンジニアのコミュニケーションは議論に曖昧さを出してはいけないという点からも口調が厳しく見えることも多々あります。対面であれば、こういった意図しないストレスを減らすことができます。

対面コミュニケーションは、チームメンバー同士が安心して意見を述べ合える環境を作り、心理的安全性の確保による生産性の向上に繋がります。

チームの一体感・モチベーションの向上

チームを見ていると、出社を好むエンジニアは対面でのコミュニケーションも好きで、それが仕事への満足度やモチベーションの向上にもつながっているように感じます。何気ない雑談で笑い合ったりできる環境は、仕事へのモチベーションを高めてくれます。

弊社は交流会の頻度も多いのですが、エンジニアの参加率は自分が過去会ってきたエンジニアの中でもかなり高いほうです。「飲みニケーション」に対する批判の声が多い昨今ですが、普段関わりの少ない人と直接話したり、会社について議論できる環境は、やはりチームの一体感の向上に寄与するのだと感じます。

これらの対面でのコミュニケーションによって、チームとしての一体感が自然と醸成され、互いの信頼感や帰属意識も高まります。これはフルリモート環境だけではなかなか育ちにくい側面です。

出社文化とトレードオフになったもの

出社文化の良い面を取り上げてきましたが、課題となっている面も存在します。分かりやすいものはドキュメント化への意識です。口頭で解決してしまうことが多い結果、ドキュメントに残すという文化がなかなか育ちませんでした。

組織が小さいうちは問題ありませんでしたが、組織が大きくなるにつれて口頭で伝えていくというのは限界があります。出社文化の良い点は保ちつつ、課題点は改善することで全体の生産性を高めていきたいと考えています。

まとめ

出社文化は、コミュニケーションの円滑化、心理的安全性の確保、チームの一体感の醸成など、多くのメリットをもたらします。エンジニアとしての成長や仕事の楽しさを考える上で、「出社文化」というのも見直してみる価値があるのではないでしょうか。

皆さんの会社では、出社文化をどう捉えていますか?また、リモートワークのメリットとデメリットのバランスをどのように取っていますか?ぜひ、コメントや意見交換ができれば幸いです。

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今回は『出社文化』について、生産性と心理的安全性の側面からお話させていただきました。

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