群の定義と変換

2024/09/29に公開

こんにちは、沙代です。
群って魅力的ですよね。落ち着いて眺めてみたいと思います。
(前回のリンク)

群の定義

ものの集まりGが次の条件を満たす時、群という。
(i) Gの任意の2つの元a, bに対して、乗法または積とよばれる演算abが定義されている。abはまたGの元となる。
(ii) 3つの元a, b, cに対して、

a(bc)=(ab)c\quad (結合則)

(iii) 単位元と呼ばれる元eがあって、すべての元に対して、

ae=ea=a

が成り立つ。
(iv) すべての元aに対して、aの逆元と呼ばれる元a^{-1}が存在して、

aa^{-1}=a^{-1}a=e

が成り立つ。

(出典:『新装改版 群論への30講 (数学30講シリーズ)』)

定義補足

実は、ae=ea=a, aa^{-1}=a^{-1}a=eはそれぞれ、ae=a, aa{-1}=eでよい。(同上)

確認してみます。

ae=a, aa^{-1}=e \implies ea=a

ea=(aa^{-1})a=a(a^{-1}a)=ae=a

ae=a, aa^{-1}=e \implies a^{-1}a=e

a^{-1}a=a^{-1}(ae)=(a^{-1}a)e=ee=e

確認できました!

変換は群

例として、左右対称変換Tによる集合G={I, T}が群になることを確認してみます。

(i) IT=TI=T\in G, TT=II=I \in G
(ii) I(II)=(II)I=I, I(IT)=(II)T=T, I(TI)=(IT)I=T, \newline T(II)=(TI)I=T, T(IT)=(TI)T=I, T(TI)=(TT)I=I, T(TT)=(TT)T=T
(iii) II=I, TI=T (I\in G)
(iv) TT=I, II=I (T^{-1}=T, I^{-1}I)

確認できました!

感想

演算について閉じていていることが実は重要ですね。

群の結合則が成り立たないと、マグマと呼ばれるものに近いものになりそうです。
群の単位元が存在しないものは、半群と呼ばれるものに近いものになりそうです。(マグマ+結合則)
群の逆元が存在しないものは、モノイドと呼ばれるものに近いものになりそうです。(半群+逆元)

逆元が存在するけれど単位元が存在しないようなものは、準群と呼ばれるものに近いものになりそうです。
こういった構造の詳細は、準群等のWikipediaからも確認することができます。
(読んでみても分かりきりません!)
準群の例として、整数の集合と引き算で例が示されていました。準群における逆元は、単一の単位元に対する逆元とは異なり、方程式を解くための操作(逆操作)の側面が強そうだなと思いました。

参考にさせていただいた本・ページ

新装改版 群論への30講 (数学30講シリーズ)

https://ja.wikipedia.org/wiki/準群

Discussion