こんにちは、沙代です。
群論を学び始めて、ちょっと楽しくなり始めました。今日は、基本的な無限群を群の定義を一つ一つ確認しながら見ていってみたいと思います。
群の定義は、こちら
今回参考にさせていただいている本はこちら
群 (\mathbb{Z}, +)
整数全体(\mathbb{Z})と、足し算(+)のペアからなる群です。
(i) 演算について閉じている
整数足す整数は整数ですね。(具体的な証明ってどうやったらいいんでしょう。整数の定義に入らないとダメそうで大変そうですね)
例で確認してみます。
結局整数ですね。
(ii) 結合則
これもちゃんと証明するのは大変そうですね。。
例で確認してみます。
成り立っていますね。
(iii) 単位元がある
群 (\mathbb{Z}, +)においては、単位元は、0ですね。
ae=ea=aに該当する内容を見てみます。
\begin{align}
a+0 &= 0+a=a &\qquad (a\in \mathbb{Z}) \notag\\
1+0 &= 0+1=1 &\notag\\
100+0 &= 0+100=100&\notag
\end{align}
ずらしませんね。
(iv) 逆元がある
a
の逆元は、-a
ですね。
aa^{−1}=a^{−1}a=eに該当する内容をみてみます。
\begin{align}
a+(-a) &= (-a)+a=0 &\qquad (a\in \mathbb{Z}) \notag\\
1+(-1) &= (-1)+1=0 &\notag\\
100+(-100) &= (-100)+100=0&\notag
\end{align}
綺麗にゼロに収まりますね。
群 (\mathbb{R}, +)
実数全体(\mathbb{R})と、足し算(+)のペアからなる群です。
整数の時とほとんど同じですが、練習のため確認していきます。
(i) 演算について閉じている
実数足す実数は実数ですね。(具体的な証明ってどうやったらいいんでしょう。実数の定義に入らないとダメそうで大変そうですね)
例で確認してみます。
結局実数ですね。(\piは円周率のつもりです)
(ii) 結合則
これもちゃんと証明するのは大変そうですね。。
例で確認してみます。
(1.1+2.2)+3.3=1.1+(2.2+3.3)
成り立っていますね。
(iii) 単位元がある
群 (\mathbb{R}, +)においても、単位元は、0ですね。
ae=ea=aに該当する内容を見てみます。
\begin{align}
a+0 &= 0+a=a &\qquad (a\in \mathbb{Z}) \notag\\
\pi+0 &= 0+\pi=\pi &\notag
\end{align}
ずらしませんね。
(iv) 逆元がある
a
の逆元は、-a
ですね。
aa^{−1}=a^{−1}a=eに該当する内容をみてみます。
\begin{align}
a+(-a) &= (-a)+a=0 &\qquad (a\in \mathbb{Z}) \notag\\
\pi+(-\pi) &= (-\pi)+\pi=0 &\notag
\end{align}
綺麗にゼロに収まりますね。
群 (\mathbb{R^*}, \times)
0以外の実数全体(\mathbb{R^*})と、掛け算(\times)のペアからなる群です。
(i) 演算について閉じている
これもちゃんと示すのは難しそうなので、例だけ示します。
成り立ちそうですね。(?)
(ii) 結合則
これもちゃんと証明するのは大変そうなので、例で確認してみます。
(1.1\times 2.2)\times 3.3=1.1\times (2.2\times 3.3)
成り立っていますね。
(iii) 単位元がある
乗算に関しては、1が単位元になります。
ae=ea=aに該当する内容を見てみます。
\begin{align}
a\times 1 &= 1\times a=a &\qquad (a\in \mathbb{R^{*}}) \notag\\
\pi\times 1 &= 1\times \pi=\pi &\notag
\end{align}
ずらしませんね。
(iv) 逆元がある
a
の逆元は、1/a
ですね。
aa^{−1}=a^{−1}a=eに該当する内容をみてみます。
\begin{align}
a\times (1/a) &= (1/a) \times a=1 &\qquad (a\in \mathbb{R^{*}}) \notag\\
\pi \times (1/\pi) &= (1/\pi)\times\pi=1 &\notag
\end{align}
綺麗に1に収まりますね。
なお、0は今回は含まれていませんが、0の逆元を求めようとしてしまうと、集合の外に出てしまいます。
0がいないことで、全ての元に逆元が存在することが言えますね。
また0以外の実数を掛けても0になることはないですね。
((\mathbb{R}, \times)は群にはならないですね。)
群 (n次の正則行列全体, 行列の積)
\left(\mathrm{GL}(n, \mathbb{R}), \cdot\right)のようにも書けます。
GLは、一般線形群 (General Linear Group)で、正則行列のこと。
(i) 演算について閉じている
正則行列であることと行列式が0でないことは同値で、
行列積の行列式は、その行列の行列式の積である( \det(AB) = \det(A) \cdot \det(B) )ので、
正則行列の積は正則行列であることが分かりますね。
R^*の素直な拡張になっているようにも見えます。
(ii) 結合則
行列積には結合則が成り立ちます。(これも証明しようとすると大変そうですが)
(iii) 単位元がある
単位元は単位行列(E)が該当します。
単位行列の行列式は1なので、正則行列です。
\begin{align}
AE &= EA=A &\qquad (A\in \mathrm{GL}(n, \mathbb{R})) \notag
\end{align}
(iv) 逆元がある
逆元は逆行列が該当します。
正則行列は行列式が0ではないので、逆行列を持ちます。
\begin{align}
AA^{-1} &= A^{-1}A=E &\qquad (A\in \mathrm{GL}(n, \mathbb{R})) \notag
\end{align}
群 (\mathbb{Q}, +)
有理数全体(\mathbb{Q})と、足し算(+)のペアからなる群です。
実数の時とほとんど同じですが、練習のため確認していきます。
(i) 演算について閉じている
有理数足す有理数は実数ですね。
\frac{n}{m}+\frac{n'}{m'}=\frac{nm'+n'm}{mm'}\quad(n,m,n',m'\in \mathbb{Z})
ただし、nm'+n'm, mm'\in \mathbb{Z}
(ii) 結合則
これもちゃんと証明するのは大変そうですね。。
スキップします。。
(いつか気が向いたらやるかも)
(iii) 単位元がある
群 (\mathbb{Q}, +)においても、単位元は、0ですね。
ae=ea=aに該当する内容を見てみます。
\begin{align}
a+0 &= 0+a=a &\qquad (a\in \mathbb{Q}) \notag\\
\frac{1}{2}+0 &= 0+\frac{1}{2}=\frac{1}{2} &\notag
\end{align}
ずらしませんね。
(iv) 逆元がある
a
の逆元は、-a
ですね。
aa^{−1}=a^{−1}a=eに該当する内容をみてみます。
\begin{align}
a+(-a) &= (-a)+a=0 &\qquad (a\in \mathbb{Q}) \notag\\
\frac{1}{2}+ \left( - \frac{1}{2} \right) &= \left( - \frac{1}{2} \right) +\frac{1}{2}=0 &\notag
\end{align}
綺麗にゼロに収まりますね。
群 (\mathbb{Q^*}, \times)
0以外の有理数全体(\mathbb{Q^*})と、掛け算(\times)のペアからなる群です。
実数の時とほとんど同じですが、練習のため確認していきます。
(i) 演算について閉じている
有理数掛ける有理数は実数ですね。
\frac{n}{m}\times\frac{n'}{m'}=\frac{nn'}{mm'}\quad(n,m,n',m'\in \mathbb{Z})
ただし、nn', mm'\in \mathbb{Z}
(分母≠0の条件を入れ忘れていますが)
(ii) 結合則
\begin{align}
\frac{a}{s}\times\left(\frac{b}{t}\times\frac{c}{u}\right) &=
\frac{a}{s}\times\frac{bc}{tu} \notag \\
&= \frac{abc}{stu} \notag \\
&= \frac{ab}{st}\times\frac{c}{u}\notag \\
&= \left(\frac{a}{s}\times\frac{b}{t}\right)\times\frac{c}{u} \notag
\end{align}
整数の結合則に帰着しているようにも見えますね。
(iii) 単位元がある
群 (\mathbb{Q^*}, \times)においても、単位元は、1ですね。
ae=ea=aに該当する内容を見てみます。
\begin{align}
a\times 1 &= 1\times a=a &\qquad (a\in \mathbb{Q^*}) \notag\\
\frac{1}{2}\times 1 &= 1\times\frac{1}{2}=\frac{1}{2} &\notag
\end{align}
ずらしませんね。
(iv) 逆元がある
a
の逆元は、1/a
ですね。
aa^{−1}=a^{−1}a=eに該当する内容をみてみます。
\begin{align}
a\times\frac{1}{a} &= \frac{1}{a}\times a=1 &\qquad (a\in \mathbb{Q^*}) \notag\\
\frac{1}{2}\times \frac{2}{1} &= \frac{2}{1}\times\frac{1}{2}=1 &\notag
\end{align}
綺麗に1に収まりますね。
最後に
無限群である証明とかはしていないし、他にもいい例がいっぱいあることは承知ですが、
群の定義にのっとって確認してみたかったので、満足しました!
参考にさせていただいた本
『新装改版 群論への30講 (数学30講シリーズ)』
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