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心理的安全性は"あなた"を快適にしない - SI屋さんの雑記
ベテランのSI屋さんが考えたことを書き残した雑記です。
SI屋さんにしか通じない単語を説明なしに使うので素人は要注意です。
いろいろな意見を欲しているので、つっこみは大歓迎です。
他の記事はSI屋さんの雑記からどうぞ。
概要
- 心理的安全性が高いチームとは「成果達成のために嫌なことが言えるチーム」である
- 心理的安全性は「心理」「安全」という用語によって誤解され続けている
- 心理的安全性を上げる最初の一歩は「他者から良く思われたい」という願望を捨てること
はじめに
心理的安全性について誤解している方に出会った際に、私は以下の記事を紹介することが多いです。心理的安全性についてしっかり理解したい方は、私の記事ではなくこちらを読んでいただいたほうが良いです。
しかし、それなりに長いので(原稿用紙16枚分ぐらい)、短時間で理解できるかもしれない私なりの説明と、心理的安全性の誤解や向上について私が考えたことを残していきます。正しく理解する心理的安全性
私が正しいと考えている心理的安全性について、誤った理解と正しい理解を対比することで説明します。
誤った理解 | 正しい理解 | |
---|---|---|
ゴール | チームの快適さの向上 | プロダクトの成果の向上 |
否定的な意見 | 否定しない/されない | 否定しても良い(*) |
失敗への寛容さ | 失敗は許される | 回避可能な失敗を繰り返すやつはクビ |
対立への向き合い方 | 回避する | 歓迎する(*) |
非難されること | "わたし"を不快にすること | プロダクトの成果を下げる行動 |
(*) プロダクト成果を向上させるためであれば、という前提はつきます
すこし極端な例としては「あいつは失敗が多くカイゼンも見込めないからチームから外した方が良い」と言っても誰も嫌な顔をしないのが心理的安全性の高いチームです。メンバーの快適さや過ごしやすさは関係なく、常に成果を求められる程よい緊張感を保っているのが心理的安全性の高いチームだと考えています。
なぜ心理的安全性は誤解されるのか
心理的安全性の誤用は多く目にしますし、解説する記事もたくさん存在しています。
これほど多くの誤解が生じてしまうのには何らかの理由があると考えられるので、私が考えている誤解される理由をあげておこうと思います。
- 「心理」「安全」という用語のまずさ
- 「心理」=「心」ととらえて「心が安全である」と解釈して、ストレスやプレッシャーが無い状態と考えても不自然ではない
- 同時期に流行した「開発者ファースト」という概念に巻き込まれてしまった
- 経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」あたりからITエンジニア不足が危惧され、開発者を大事にしようというムーブメントに悪乗りされてしまった
心理的安全性の高いチームを作る
正しい心理的安全性を持ったチームを作るのは非常に難しいのですが、以下を心がけるのが良いのではないかと考えています。
- チームが心理的安全性の向上に合意する
- リーダーや特定のメンバーだけで始めるのではなく、チーム全体のゴールに据えることが重要である
- 当然、心理的安全性を正しく理解する必要がある
- 推進者が積極的に対人リスクをとる
- 「対人リスクをとる」とは「良く思われたい」という願望を捨てること
- 質問を歓迎する
- どのような質問にも「対人リスク」は存在している
- 小さな「対人リスク」すら取れないチームは大きな「対人リスク」を取れるわけがない
- 大きな対人リスクをとった発言・行動を称賛する
- 「言いにくいことを言ってくれて助かった」と褒めちぎる
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