Azure請求書の主要項目とコスト確認の方法
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1. この記事の範囲
Microsoft Azureの請求書を理解し、効果的にコストを管理するためには、さまざまな項目とその関係性を把握することが重要です。本記事では、Azureの請求概要に含まれる主要な項目について説明し、コスト確認方法を紹介します。
2. 背景
Azureのリソース使用量とその関連コストを正確に把握することは、サービス運営において欠かせない要素です。特に、プロジェクトの予算管理やコスト最適化を行う上で、POやビジネスサイドのメンバーがAzureの請求項目を理解することが求められます。これにより、リソースの効率的な利用と無駄のない予算運営が可能となります。
3. 内容
3.1. 請求概要の主要項目
以下の表は、Azureの請求書に含まれる主要な項目とその説明、および例を示しています。
項目 | 説明 | 例 |
---|---|---|
Customer Name | 顧客の名前 | 株式会社Example |
Advisor Mpn Id | AdvisorのMPN(Microsoft Partner Network)ID | 1234567 |
Billing Mpn Id | 請求用のMPN ID | 1234567 |
Primary Domain | 主なドメイン | http://example.azure.onmicrosoft.com/ |
Subscription Id | サブスクリプションID | 1234abcd-5678-ef90-gh12-3456ijkl7890 |
Resource Group | リソースグループ名 | example-rg |
Instance Data | リソースインスタンスを一意に識別 | webapp-example20230726 |
Tags | タグ | Dev |
Usage Date | 使用日 | 2024/6/1 |
Meter Category | メーターカテゴリ(コストのタイプを把握) | Web Apps |
Meter Subcategory | メーターサブカテゴリ(より詳細なコストタイプ) | S1 |
Meter Id | メーターID | abc12345-6789-0def-gh12-ijkl34567890 |
Meter Name | メーター名(特定のリソースやサービスの特定) | S1 App Service Plan |
Meter Region | メーターのリージョン | japaneast |
Charge Start Date | 課金開始日 | 2024/6/1 |
Charge End Date | 課金終了日 | 2024/6/30 |
Quantity | 使用量(リソースの使用量) | 720 |
Unit | 単位(使用量の単位) | 1 Hour |
Currency | 通貨 | JPY |
RRP | 推奨小売価格 | 記載なし |
Total Pre Tax | 税抜き合計額 | 3600 |
Additional Info | 追加情報 | {"WebAppServicePlanUri":"/subscriptions/..."} |
Billable Contract AgreementId | 請求可能な契約合意ID | 1234abcd-5678-ef90-gh12-3456ijkl7890 |
Consumed Service | 消費されたサービス | http://microsoft.web/ |
Meter Type | メータータイプ(リソースの課金タイプの識別) | 1 App Service Plan Hour |
Product Id | 製品ID | DZH318Z0BQJM |
Product Name | 製品名 | Web Apps |
Resource Location | リソースの場所 | japaneast |
Resource Uri | リソースURI | /subscriptions/.../resourcegroups/.../providers/Microsoft.Web/sites/webapp-example20230726 |
SKU Id | SKU ID | S1 |
SKU Name | SKU名 | S1 |
Vendor FX Rate | ベンダーの為替レート | 157.5 |
Vendor Subscription Id | ベンダーサブスクリプションID | 1234abcd-5678-ef90-gh12-3456ijkl7890 |
Subscription Name | サブスクリプション名 | Microsoft Azure |
3.2. Meter Category、Meter Subcategory、Meter Name、Instance Dataの関係性
Azureのリソースの使用状況とコストを詳細に把握するためには、以下の4つの要素を理解することが重要です。
Meter Category(メーターカテゴリ)
Meter Categoryは、リソースやサービスの大まかな分類です。例えば、「Web Apps」は、ウェブアプリケーションやAPIのホスティングサービスを指します。これにより、どのタイプのリソースが使用されているかを大まかに把握できます。具体的な例として、Azure Web Appsが提供するホスティングサービス全般がこのカテゴリに含まれます。
Meter Subcategory(メーターサブカテゴリ)
Meter Subcategoryは、Meter Categoryの下位分類で、特定のサービスプランやリソースの種類を示します。例えば、「S1」は、標準的な機能とパフォーマンスを提供するApp Serviceプランです。このサブカテゴリにより、どのプランやリソースタイプが利用されているかをさらに詳細に特定できます。Web Appsの場合、Basic、Standard、Premiumなどのプランがサブカテゴリとして存在します。
Meter Name(メーター名)
Meter Nameは、Meter Subcategoryのさらに具体的な使用量を表します。例えば、「S1 App Service Plan」は、特定のプランにおけるリソースの使用を指します。このメーター名によって、特定のインスタンスやリソースの使用状況を識別できます。メーター名は特定のリソースやサービスの詳細な利用状況を追跡するために使われます。
Instance Data(インスタンスデータ)
Instance Dataは、特定のリソースインスタンスの名前や識別子です。例えば、「webapp-example20230726」は、「example」プロジェクトの特定のWeb Appインスタンスを示します。このデータにより、どのインスタンスが実際に使用されているかを正確に追跡できます。Instance Dataはリソースごとに一意であり、具体的な使用状況の詳細を提供します。
具体例
以下の表は、Azure Web Appsのコスト確認の一例です。この例を使って各要素の関係性を説明します。
RG | Meter Category | Meter Subcategory | Meter Name | Instance Data | Total Cost | Meter Type |
---|---|---|---|---|---|---|
example-rg | Web Apps | S1 | S1 App Service Plan | webapp-example20230726 | 3600 JPY | 1 App Service Plan Hour |
example-rg | Web Apps | P1v2 | P1v2 App Service Plan | webapp-example20230727 | 7200 JPY | 1 App Service Plan Hour |
example-rg | Web Apps | B1 | B1 App Service Plan | webapp-example20230728 | 1800 JPY | 1 App Service Plan Hour |
Azure App Serviceの料金は、選択されたプランとインスタンスサイズに基づいて課金されます。
この表では、「Web Apps」というメーターカテゴリが選択されており、これがウェブアプリケーションのホスティングサービスを示しています。次に、メーターサブカテゴリとして「S1」「P1v2」「B1」などの特定のプランが示されています。各プランに対して、「S1 App Service Plan」などの具体的なメーター名が割り当てられています。最後に、特定のインスタンスである「webapp-example20230726」などが使用状況を具体的に示しています。
これにより、Azure Web Appsの各リソースの使用状況とコストを詳細に把握することができます。
3.3. リソース使用量メーターとAzureの請求システム
3.3.1. リソース使用量メーター
Azure ではリソースの使用量に基づいて課金が行われます。リソースのコストに直接課金するのではなく、リソースの使用状況を追跡する複数のメーターを使用して料金が計算されます。メーターは、リソースの有効期間全体にわたって使用状況を記録し、そのデータを基に請求額が算出されます。
Azure Web Appsのような単一の Azure リソースを作成すると、その使用状況を追跡するために複数のメーター インスタンスが生成されます。各メーターは、時間の経過に伴うリソースの使用状況を追跡し、Azure が請求額を計算するために使用する使用状況レコードを出力します。
例えば、Azure Web Apps で作成された単一のWebアプリケーションに対して、以下のメーターが使用されることがあります
- App Service プラン時間
- データ転送入力
- データ転送出力
- ストレージ容量
- SSL 接続時間
- コンピューティング時間
Web アプリケーションが作成されると、各メーターは使用状況レコードの発行を開始し、この使用量とメーターの価格がAzure 計測システムで追跡されます。
3.3.2. 使用状況ファイルと請求額の確認
Azure の請求書の詳細を確認する際には、使用量 CSV ファイルを参照することが重要です。このファイルには、各リソースの使用状況とそれに対応するコストが詳細に記録されています。ファイルの末尾で、コスト列のすべての項目の値を合計すると、請求書に記載されている使用料金コストと一致するはずです。
使用料金はメーター レベルで表示され、以下の用語は請求書と詳細な使用状況ファイルの両方で同じ意味を持ちます。
- 請求サイクル:請求書の請求サイクルは、詳細な使用状況ファイルに表示される請求期間と同じです。
- メーター名:請求書の対応するリソースをMeter Nameでフィルタリングすることで、特定のメーターのコストを確認できます。
たとえば、請求書に記載されている「S1 App Service Plan」に対応するメーター名でフィルタリングし、コスト値を合計することで、請求書に記載された明細項目と一致することを確認できます。
3.3.3 予約購入料金の調整
予約購入料金を調整する場合、CSV 使用状況ファイルでChargeTypeを「Purchase」としてフィルタリングします。これにより、その月のすべての予約購入料金が表示されます。使用状況ファイルのMeter NameとMeter Subcategoryを、請求書のResourceとTypeとそれぞれ比較することで、これらの料金を確認することができます。合計コスト値は、請求書で請求される個々のリソースの使用料金コストと正確に一致する必要があります。
4. まとめ
Azureの請求書を理解し、各項目とその関係性を把握することで、コスト管理を効果的に行うことが可能です。特に、Meter Category、Meter Subcategory、Meter Name、Instance Dataの4つの要素を理解し、使用状況ファイルを参照することで、詳細なコスト確認ができます。これにより、リソースの使用状況を正確に追跡し、効率的なコスト管理が実現できます。
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