各種アクションカメラのライブ外配信向け使用所感
対象機器と前提条件
本レビューでは、UVCまたはHDMI出力を備えたアクションカメラを取り扱う。RTMP送信機能があるアクションカメラも存在するが、外配信では中継しない限り極めて不安定なため、今回は対象外とする。
使用環境としては、BELABOXやその他ハードウェアエンコーダー、もしくはUVC入力(HDMI出力しかないカメラの場合はキャプチャボードを用いる)のあるスマートフォンアプリでの使用を想定している。
BELABOXについては以下を参照。
レビュー対象カメラ
SONY HDR-AS300/SONY FDR-X3000
生産終了したSONYのアクションカメラである。外配信での超定番カメラとして知られている。HDMI出力のみに対応し、1080pで十分であればHDR-AS300、4K出力が必要な場合はFDR-X3000を選択する。最大解像度以外に両者の違いはない。
メリット
- 光学式手ぶれ補正を備えており、夜間でも安定した撮影が可能である。ただし古くて小さいセンサーのため、明るくノイズなしで撮影できるわけではない
- 小型軽量(約80g)で、体にマウントしても気にならない
- バッテリーを抜いてUSB給電での運用が可能である
- 価格が安い
- マイクの音質が良好で、ステレオ対応である
- 消費電力が少ない
デメリット
- 中古でしか入手できない
- 画質がやや古臭い印象で、最新のアクションカメラと比較すると劣る
- ダイナミックレンジが狭い。逆光に弱い
- MicroUSB接続である
- 内蔵モニターがない
GoPro HERO 13 + メディアモッド
GoProとHDMI出力ができるメディアモッドの組み合わせである。HDMI出力のみに対応している。
メリット
- 映像の色味が良好で、解像感は低いものの青空や夕陽が美しく撮影できる
- カスタムファームウェアを使用することで、配信用モードを簡単に起動できる
- 手ブレ補正の性能はそこそこ良好である
デメリット
- 画質が悪い。メディアモッドのHDMI出力は、内蔵モニターの映像を1080pまで内部でアップスケールしているように見える。HDMI出力の解像度は1080pであるが、実質的な解像度は480p程度しかない
- 内蔵マイクはモノラルである
- 電子手ぶれ補正のため、夜間撮影は困難である
DJI Osmo Action 5Pro
HDMI出力とUVC出力の両方に対応している。2025年7月レビュー時点の最新ファームウェアで検証を行った。
HDMI出力時のメリット
- ケーブル一本で給電と映像出力が可能である
- 映像出力は安定している
- マイクの音質はそこそこで、一応ステレオであるが音の広がりはあまり感じられない
HDMI出力時のデメリット
- USB-C Alt Modeに対応するケーブルは太いものが多く、取り回しが困難である
- HDMI出力モード時は設定可能項目が大幅に制限され、水平維持モードも使用できない。手ぶれ補正も弱くなる
- 電子手ぶれ補正のため、夜間の画質が劣化する
UVC出力時のメリット
- ケーブル一本で給電と映像出力が可能で、USB2.0ケーブルで良いため細いケーブルが使える
- HDMI出力と比較して露出調整など多くの設定が使用可能で、水平維持も可能である
UVC出力時のデメリット
- 映像出力が不安定で、正直まともに使用できないレベルである
- フレームレートが突然低下したり、ブロックノイズが発生したりする
- 手ぶれ補正機能は、同じモード(「ロックステディ」「RS+」など)であっても録画運用時と比較にならないほど弱い
Osmo Action 4のUVC出力は問題ないという情報はあるが、所持していないので未検証。
DJI Osmo Pocket 3
アクションカメラではないが、ジンバル付き1型センサーを搭載したカメラである。UVC出力が可能で、2025年7月レビュー時点の最新ファームウェアで検証を行った。
メリット
- 1型センサーとジンバルによる手ぶれ補正により、昼間でも夜間でも美しい映像が撮影できる
- マイク音質も良好である
- 設定項目が豊富である
- シャッタースピードやISO感度など自由に選択できる
デメリット
- ジンバルが意図しない方向に向いたままになることがあり、都度リセットが必要である。手で持って運用する場合は問題ないが、ボディマウントした場合は操作が困難になる可能性がある
- 消費電力が大きい
- 可動するジンバルがあるため、乱暴に扱うと破損しそうで怖い
- 使用状況によっては、まれに極端に画質が下がる場合があるらしい。こちらの環境ではまだ再現できていない。
まとめ
各カメラを使用すると、2018年発売のSONY HDR-AS300/SONY FDR-X3000がいまだに使われ続ける理由が理解できる。画質はやや物足りないが安定度抜群で、2025年時点でも外配信用途においては優秀である。
DJI OSMO Pocket3もそこそこ安定して使え、1インチセンサーの画質は群を抜いて秀でている。しかしUVC出力しかない点は残念(※一応HDMIへ変換するアダプタは存在する)であり、Pocketシリーズの次回作に期待したい。
Discussion