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各種アクションカメラのライブ外配信向け使用所感

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対象機器と前提条件

本レビューでは、UVCまたはHDMI出力を備えたアクションカメラを取り扱う。RTMP送信機能があるアクションカメラも存在するが、外配信では中継しない限り極めて不安定なため、今回は対象外とする。

使用環境としては、BELABOXやその他ハードウェアエンコーダー、もしくはUVC入力(HDMI出力しかないカメラの場合はキャプチャボードを用いる)のあるスマートフォンアプリでの使用を想定している。

BELABOXについては以下を参照。

https://zenn.dev/super_toko/articles/50082118db483a

レビュー対象カメラ

SONY HDR-AS300/SONY FDR-X3000

生産終了したSONYのアクションカメラである。外配信での超定番カメラとして知られている。HDMI出力のみに対応し、1080pで十分であればHDR-AS300、4K出力が必要な場合はFDR-X3000を選択する。最大解像度以外に両者の違いはない。

メリット

  • 光学式手ぶれ補正を備えており、夜間でも安定した撮影が可能である。ただし古くて小さいセンサーのため、明るくノイズなしで撮影できるわけではない
  • 小型軽量(約80g)で、体にマウントしても気にならない
  • バッテリーを抜いてUSB給電での運用が可能である
  • 価格が安い
  • マイクの音質が良好で、ステレオ対応である
  • 消費電力が少ない

デメリット

  • 中古でしか入手できない
  • 画質がやや古臭い印象で、最新のアクションカメラと比較すると劣る
    • ダイナミックレンジが狭い。逆光に弱い
  • MicroUSB接続である
  • 内蔵モニターがない

GoPro HERO 13 + メディアモッド

GoProとHDMI出力ができるメディアモッドの組み合わせである。HDMI出力のみに対応している。

メリット

  • 映像の色味が良好で、解像感は低いものの青空や夕陽が美しく撮影できる
  • カスタムファームウェアを使用することで、配信用モードを簡単に起動できる
  • 手ブレ補正の性能はそこそこ良好である

デメリット

  • 画質が悪い。メディアモッドのHDMI出力は、内蔵モニターの映像を1080pまで内部でアップスケールしているように見える。HDMI出力の解像度は1080pであるが、実質的な解像度は480p程度しかない
  • 内蔵マイクはモノラルである
  • 電子手ぶれ補正のため、夜間撮影は困難である

DJI Osmo Action 5Pro

HDMI出力とUVC出力の両方に対応している。2025年7月レビュー時点の最新ファームウェアで検証を行った。

HDMI出力時のメリット

  • ケーブル一本で給電と映像出力が可能である
  • 映像出力は安定している
  • マイクの音質はそこそこで、一応ステレオであるが音の広がりはあまり感じられない

HDMI出力時のデメリット

  • USB-C Alt Modeに対応するケーブルは太いものが多く、取り回しが困難である
  • HDMI出力モード時は設定可能項目が大幅に制限され、水平維持モードも使用できない。手ぶれ補正も弱くなる
  • 電子手ぶれ補正のため、夜間の画質が劣化する

UVC出力時のメリット

  • ケーブル一本で給電と映像出力が可能で、USB2.0ケーブルで良いため細いケーブルが使える
  • HDMI出力と比較して露出調整など多くの設定が使用可能で、水平維持も可能である

UVC出力時のデメリット

  • 映像出力が不安定で、正直まともに使用できないレベルである
  • フレームレートが突然低下したり、ブロックノイズが発生したりする
  • 手ぶれ補正機能は、同じモード(「ロックステディ」「RS+」など)であっても録画運用時と比較にならないほど弱い

Osmo Action 4のUVC出力は問題ないという情報はあるが、所持していないので未検証。

DJI Osmo Pocket 3

アクションカメラではないが、ジンバル付き1型センサーを搭載したカメラである。UVC出力が可能で、2025年7月レビュー時点の最新ファームウェアで検証を行った。

メリット

  • 1型センサーとジンバルによる手ぶれ補正により、昼間でも夜間でも美しい映像が撮影できる
  • マイク音質も良好である
  • 設定項目が豊富である
    • シャッタースピードやISO感度など自由に選択できる

デメリット

  • ジンバルが意図しない方向に向いたままになることがあり、都度リセットが必要である。手で持って運用する場合は問題ないが、ボディマウントした場合は操作が困難になる可能性がある
  • 消費電力が大きい
  • 可動するジンバルがあるため、乱暴に扱うと破損しそうで怖い
  • 使用状況によっては、まれに極端に画質が下がる場合があるらしい。こちらの環境ではまだ再現できていない。

まとめ

各カメラを使用すると、2018年発売のSONY HDR-AS300/SONY FDR-X3000がいまだに使われ続ける理由が理解できる。画質はやや物足りないが安定度抜群で、2025年時点でも外配信用途においては優秀である。

DJI OSMO Pocket3もそこそこ安定して使え、1インチセンサーの画質は群を抜いて秀でている。しかしUVC出力しかない点は残念(※一応HDMIへ変換するアダプタは存在する)であり、Pocketシリーズの次回作に期待したい。

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