外配信用 BELABOXビルドログ
配信で使用するためのBELABOXを自作した。
パーツ選定や組み立て、インストールまでの記録を残す。
BELABOXについて
公式サイト: https://belabox.net/
一言で言うと、USBカメラやHDMIカメラで屋外IRL配信を行うために、Orange Pi等のシングルボートコンピューターをビデオエンコーダーにするソフトウェアのこと。また、そのソフトウェアを組み込んだボードのことを指す。
パーツ選定
BELABOXがサポートしているハードウェアは大きく分けて二種類ある。
- RK3588を搭載したボード
- Jetson Nano
どちらを選んでも問題ないが、新たに作るならRK3588がおすすめのよう。
コスト的にもRK3588搭載ボードの方が安く、廃盤になってしまったJetson Nanoと比べると入手も容易である。
RK3588搭載ボードの比較
RK3588を搭載したボードには複数の種類があり、それぞれに特徴がある。
ボード選びで最も重要なポイントは「HDMI入力に対応しているか」である。もしOsmo Pocket 3のようなUVC対応カメラしか使わないのであれば、HDMI入力のない安価なボードで十分だろう。
ただし、将来的にHDMI接続のカメラを使う可能性が少しでもあるなら、あらかじめHDMI入力付きのボードを選んでおくのが賢明。価格も2,000〜3,000円程度の差だから、拡張性を考えて選択するとよい。筆者もHDMI入力のカメラを使用するつもりはないが、念の為HDMI入力対応のものを選ぶことにした。
また各ボードは、RAMの容量が複数種類設定されている場合がある。単にBELABOXだけを動作させるなら、4GBあれば十分であるようだ。
今回は、コストや入手性、良い感じのケースの有無などを考えて、Orange Pi 5 Plus RAM4GB版を選択した。
周辺機器
BELABOXを運用するには、Orange Pi 5 Plus本体だけではなく、周辺機器が必須である。
以下のパーツを追加で入手した。
- 32GBのeMMC
- microSDだけでも使用できるが、安定性からeMMCの使用が推奨されている。
- ケース
- 金属製の堅牢なケース
- WiFiカード+アンテナ
- 外出先でスマホからBELABOXの操作を行う際に、接続手段として必須。
- USB接続の4G/LTEモデム
- 外配信を行うには必須。後述
4G/LTEモデム
BELBOXを外出先にてインターネットへ接続するために必須である。
モバイルルーターを使うか、スマホのテザリングでも運用できるが、バッテリーの管理が大変だったり、大きく重くなってしまうので、USB接続の4G/LTEモデムを使うのが良さそう。
複数回線を使って送信するボンディングを行う場合にも、単にモデムの個数を増やしていくだけで良いので、手軽である。
選定する際は、日本で使う場合は技適があるか、また日本のキャリアが採用しているプラチナバンド(特にBand18/19/26)に対応しているかどうかが重要。
今回はそれらの条件を満たすQuectel EG25-Gを採用した。
価格・入手先など
主にAliExpress(セール中で安かった)から入手
- Orange Pi 5 Plus 4GB
- 12,370円
- ケース + eMMC 32GB + WiFiカード + アンテナ
- 3,555円
- Quectel EG25-G
- 7,100円
組み立て・インストール
インストール用のmicroSDを作成
このページからOrange Pi 5 Plus用のeMMC installer
をダウンロードする。(もしeMMCを使わずmicroSDから起動して運用するなら、microSD / eMMC image
を書き込むだけで良い)
また書き込み用のツールbalenaEtcherをダウンロードしておく。
手元の適当なmicroSDカードにbalenaEtcherを使って先ほどダウンロードしたイメージを書き込み、インストール用のmicroSDを作成する。
eMMCへのインストール
Orange Pi 5 PlusへeMMCをセットしておく。
作成したmicroSDを挿入し、LANの横にあるUSB-Cに電源を接続する。(LANがある裏側のUSB-Cは通信用のため電源に接続しても起動しない)
勝手にmicroSDからeMMCへのコピーが始まり、暫く放置したらインストールが完了するはず。(タイミングが分からなかったので1時間くらい放置した)
電源とmicroSDを抜くと、次回以降eMMCから起動する。
初期設定
LANケーブルで自宅のルーターとBELABOXを接続し、電源を接続する。
ルーターの設定画面でBELABOXに払い出されたIPアドレスを確認する。PCからそのアドレスにアクセスすれば、BELABOXの管理画面へ入れるはず。(初回はパスワード登録の画面。)
ここまで問題なければ、WiFiカードを接続し、ケースを装着し、USB 4G/LTEモデムを接続する。
接続設定
BELABOXの管理画面へ辿り着けたら、WiFiや4G/LTEモデムの設定、SRTLAサーバーへの接続設定を行う。
WiFi設定
wlan0を設定する。(カードを接続していれば自動で表示される。)
- Hotsoptモードをonにする。
- Network name, Passwordは任意のものを設定。
- Wifi channelは、屋外で使う場合は必ず2.4GHzに設定しておく。
画面上部にwlan0のIPアドレスが表示され、ここで設定したWiFiにスマホで接続し、そのIPアドレスに接続すると同様の管理画面が表示される。
また今回使ったWiFiカードは2個同時にWiFiを使えるため、手持ちのモバイルルーターへWiFi接続してボンディングする回線を増やす場合は、wlan1をWiFi子機として設定できるようだ。
4G/LTEモデム設定
wwan0を設定する。(カードを接続していれば自動で表示される。)
特に設定は不要だが、もしMVNO等でAPN設定が必要な場合は、Automatic APN configuration
のチェックを外して手動で設定する必要がある。
エンコーダー設定
DJI Osmo Pocket 3をUSB接続したときの設定。
-
rk3588/h265_libuvch264_1080p
を選択- Pocket3のH.264出力をH.265にエンコード
- mjpegで取り込むよりも画質がいいはず
- 若干電力は使いそう
- 音声は効率のよいopusを選択
リレーサーバー設定
SRTLAの受信サーバーを設定。
自宅のSRTLAサーバーへ接続するため、SRTLA receiver address
とSRTLA receiver port
を入力した。
最後に画面上部の「Start」ボタンをクリックすれば、設定したSRTLAサーバーへの送信が開始され、自宅のOBS等に映像が表示されるはず。
感想
- 全般的な設定自体は非常に簡単。ネットワーク周りの設定がWeb上から簡単にできるのは素晴らしい
- ただIRL Proやmoblinに比べてエンコードなど設定できる項目が思ったより少ない
- 接続はSRTLAのみ
- RTMPや普通のSRTは非対応
- ほぼBELABOX Cloud利用前提の感じ
次回はSLTLAサーバーを自宅に構築したときのログを書きます。 -> 書きました
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