CCライセンス(クリエイティブ・コモンズ・ライセンス)の紹介
この記事は、みすてむず いず みすきーしすてむず Advent Calendar 2024一枚目、16日目の記事です。
本当は去年のアドカレで書かせていただいた記事みすてむずアドベントカレンダー 17日目 代表3種以外の独自ドメインは海外ドメイン業者がおすすめの実践編として、私、数寄屋なりの我流ドメインの選び方を書くつもりでしたが、同時に鳥頭でもあったため、間に合いませんでした。
そのかわりといってはなんですが、Zenn本の一部として出そうと考えて、そこそこ頑張って書いたものの、急にやる気と継続が途切れてZenn本として出せる状態までいっていない本の1チャプターを、少し調整したうえで掲載いたします。
話題の関係上、特に情報が古くなっている点はないかと思われます。
巧遅は拙速に如かず、何より間に合わせたい私にお付き合いくださいましたら幸いです。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは、クリエイター向けのライセンスで、その名前の通り、クリエイティブ・コモンズにより提供されています。
クリエイティブ・コモンズとは
What We Do - Creative Commonsによると、
Creative Commons is a nonprofit organization that helps overcome legal obstacles to the sharing of knowledge and creativity to address the world’s pressing challenges.
とのことです。和訳すると、
クリエイティブ・コモンズは、世界にあふれる挑戦にとりかかるために知識と創造性を共有することに対する法的障害に打ち勝つことを助ける非営利団体です。
となります。
この文章と、ともに書かれているour missionや、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは | クリエイティブ・コモンズ・ジャパン、クリエイティブ・コモンズとは〜著作権違反にならないための徹底解説!、クリエイティブ・コモンズ - Wikipediaを参照するに、インターネット等で作品をシェアしたいクリエイターにとって様々なことができるように、ライセンス含めた法的なツール等を整備している、という感じでしょうか。
個人的には、それなりにライセンスに親しんでおりましたので、クリエイティブ・コモンズの印象は、「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを提供している団体」みたいな、鶏から卵を見たみたいな状態でしたが、つまりは、そういう団体のようです。
クリエイティブ・コモンズ・ジャパン
日本において、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの普及を行っているのがクリエイティブ・コモンズ・ジャパンです。
サイトに書かれている情報や、クリエイティブ・コモンズとは〜著作権違反にならないための徹底解説!の情報と併せて考えますと、日本の著作権法に合わせてライセンスを整備し、活動している感じでしょうか。
実際にサイトを訪れると、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの日本語訳他、様々な情報を手に入れることができます。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの対象
クリエイティブ・コモンズの対象は、一般的な創作物です。これに、ソースコードやソフトウェアも創作物として含まれます。
ですので、ソースコードに適用できないわけではないのですが、おそらくは文章や画像などのメディアが主な対象といえるでしょう。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの種類
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは、以下の4つの条件を、著作者が選んで付与するものになっています。
- BY: Attribution(表示)。クリエイターの名前を表示しなければならない
- SA: ShareAlike(継承)。派生物は同じライセンスを引き継がねばならない(コピーレフト)
- NC: Non-commercial(非商用)。すなわち商業ではない目的にしか使ってはならない
- ND: No-derivatives(改変禁止)。派生物(derivative)や翻案の作成が許可されない
単純計算では2の4乗、つまり16種類にはなりますが、基本的に他の条件を前提にするものもある(たとえばNDとSAは両立しない)からか、公式には6種類となっています。
また、別枠でCC0というものも存在します。
以下、これらのCCライセンスを緩い順(公式のサイトに掲載されている順番)で許諾事項と条件もまとめて説明したのち、CC0について説明します。
なお現在の主なバージョンは3.0もしくは4.0です。だいたい同じ意思を示しつつ、条文を変えていっている印象です。
これに加え、クリエイティブ・コモンズはこれらのライセンスをわかりやすくマークにしたバナーも提供しています。
このバナーを使い、クリックすればライセンスの内容を説明したコモンズ証(後述)へアクセス可能にすることで、視覚的にもわかりやすく、ライセンスを適用したい作品にどのようなライセンスを適用したかを示すことができます。
CC BY (表示)
その名前の通りです。著作者の表示をすれば、利用はもちろんのこと、改変・再配布・商用利用が許されます。
緩いライセンスとして代表的なMITライセンスは、ライセンス全文へのアクセスを含めることを求めておりますので、それよりさらに緩いものとなります。
ライセンスの分かりやすい要約(コモンズ証、現チャプター後半で説明)はこちら、要約していないライセンス本文(リーガルコード、現チャプター後半で説明)はこちらです。
日本語での要約等についてはこちらからアクセス可能です。
CC BY-SA(表示-継承)
著作者の表示および、改変して配布する場合は元と同一のライセンスを適用させて配布する(継承)ことを条件に、利用・複製・改変・再配布・商用利用が許されるライセンスです。
GPLと同じく、コピーレフトであることに注意してください。CC BYやMITライセンス、BSDライセンス、Apacheライセンスなどのパーミッシブ・ライセンスはこの継承を指定していないので、条件さえ満たせば派生物を別ライセンスで配布することができますが、このライセンスが適用されているものを改変して再配布する場合は、同じライセンスにする必要があります。
ライセンスの分かりやすい要約(コモンズ証)はこちら、要約していないライセンス本文(リーガルコード)はこちらです。
日本語での要約等についてはこちらからアクセス可能です。
CC BY-NC(表示-非営利)
著作権の表示と、非営利目的であることを条件に、利用・複製・改変・再配布が許されるライセンスです。
非営利目的であることに注意してください。このライセンスが適用されているものを、商用利用することはできません。
ライセンスの分かりやすい要約(コモンズ証)はこちら、要約していないライセンス本文(リーガルコード)はこちらです。
日本語での要約等についてはこちらからアクセス可能です。
CC BY-NC-SA(表示-非営利-継承)
著作権を表示し、非営利目的であり、改変したものを配布する場合は元と同一のライセンスを適用させて配布する(継承)ことを条件に、利用・複製・改変・再配布が許されるライセンスです。
非営利目的のみの制限がついているので、このライセンスが適用されているものを商用利用することはできません。
ライセンスの分かりやすい要約(コモンズ証)はこちら、要約していないライセンス本文(リーガルコード)はこちらです。
日本語での要約等についてはこちらからアクセス可能です。
CC BY-ND(表示-改変禁止)
著作権の表示と、改変を行わないことを条件に、利用・複製・再配布・商用利用が許されるライセンスです。
適用対象としては、画像などを想定すればよいでしょうか。私の知っている限りでは、ソースコードに適用されていた場面には心当たりがありません。
ライセンスの分かりやすい要約(コモンズ証)はこちら、要約していないライセンス本文(リーガルコード)はこちらです。
日本語での要約等についてはこちらからアクセス可能です。
CC BY-NC-ND(表示―非営利-改変禁止)
BY, NC, NDが設定されているライセンスです。著作権の表示と、非商用利用であることと、改変を行わないことを条件に、利用・複製・再配布が許されます。
このリストの中では、一番厳しいライセンスといえるでしょう。
ライセンスの分かりやすい要約(コモンズ証)はこちら、要約していないライセンス本文(リーガルコード)はこちらです。
日本語での要約等についてはこちらからアクセス可能です。
CC0
法的に、能動的に著作権(日本であれば著作人格権以外と推測します)を捨て、パブリック・ドメインにだいぶん近い状態にするためのライセンスです。
著作者の表示すらなしで、使用・改変・再配布・商用利用が許される状態にします。
このライセンスを採用している素材サイトもそこそこありますが、流石に自由すぎるライセンスだからか、PixabayやUnsplashのように、独自ライセンスに移行するサイトもあります。
ちなみに、ここまで自由だと適用しやすいのか、ソースコードへの適用もちらほら見かけるように思います。
ライセンスの分かりやすい要約(コモンズ証)はこちら、要約していないライセンス本文(リーガルコード)はこちらです。
日本語での要約等についてはこちらからアクセス可能です。
コモンズ証・リーガルコードについて
上記のライセンス紹介でも書きましたが、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに関して、その説明として、コモンズ証・リーガルコードが提供されています。
コモンズ証は一読して分かるようにしているアイコン入りの要約画面で、リーガルコードはその名前の通り、法的にきちんと記されたライセンスの本文です[1]。
ざっくりとどう使っていいのかの内容の確認はコモンズ証、法的な文面を確認したいときはリーガルコードという使い分けになるでしょう。
全体的なまとめ
総合的にまとめますと、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは、
- クリエイターのためのライセンス
- 適用対象がソースコードやソフトウェアに限られない
- というより主に画像などのメディアに使われる印象がある
- クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは7種類存在
- 4条件(BY(表示)、SA(継承)、NC(非営利)、ND(改変禁止))をユーザが選ぶ6ライセンス
- CC0
- 能動的に作品をパブリックドメインに近い状態にするためのライセンス
になります。
さいごに
ライセンスに詳しい方は既知のライセンスであるかとは思うのですが、わりあい画像などを使う機会が多い場合、よく見かけることになるライセンスで、さらに頭文字がChristmasとおなじCということで、アドカレ記事に採用しました。
明日はLumliaさんの「エスケープシーケンスで遊ぼう」です。テクニカルな気配がして楽しみ…。
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