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自走式デザインチームを目指して1年間試行錯誤した結果

2024/03/01に公開

イントロ

皆さんこんにちは。デザインチーム和田です。

チームを作る、チームをまとめるって難しいですよね。
この記事では私がソーシャルデータバンクに入ってから、デザインチームを立ち上げるにあたって考えた事、試行錯誤した事を共有したいと思います。

試行錯誤した結果

課題はまだまだありますが、
・チームが受け持てる業務範囲が急拡大
・各メンバーが自分でやるべき事を考えて、こうしたらどうか?という提案が増えた
この2点においてはかなり良くなったんじゃ無いかと感じています。

チームができる前の状況

こちらの記事でもチラッと書きましたが、専任のデザイナーは私が1人目です。すでにデザイン活動は複数の部署で細々と行われてはいたのですが統率は取れておらず、草の根的な感じで散在していました。そのために私が取りまとめ役となり、フルタイムな私が1名、他の業務と兼任の社員1名、インターン生3名、計5名がメンバーになりました。

ウチの独自の事情

インターン生は学業の都合により急に1ヶ月~数ヶ月単位で休みになる事も多く、勤務時間、曜日、スキル、興味、特性、強み...本当にマチマチです。そのため、チームにする、チームとして活動していくにはどうすれば良いかかなり頭を使いました。

インターン生は1年~2年のうちに卒業し、新しい人が増えるとは限らないため、人は将来減る前提でチームを作る必要があったのです。もちろん、入社してくれたりメンバーは増えたらラッキーですが、あまり大きく期待していませんでした。

チーム結成前に準備したこと

最初に考えた事

各メンバーの能力やリソースを頼りにデザインをドンドン提供するチーム体制を作ってしてしまうと、人が減った時に必ず立ち行かなくなります。属人化やスキル差も心配でした。そのため、5人いるなら5人分のリソースを使ってをガンガン出して拡大すっぞ!という方針ではなく、"文化"に注目してチームを育てていくことにしました。
文化とは定義が難しいんですが、普段からの行動特性(コンピテンシー)や、コミュニケーションの取り方などから生まれてくる雰囲気のようなものです。周囲からは和気藹々と見えているようなのですが、思った事は素直に遠慮なく言い合える、違う意見を大事にするという文化を目指したつもりです。

文化は作るのに時間がかかりますが、長期間に渡って良い成果物を出す土壌になってくれます。良い土壌ができていれば、仮にデザインチームが無くなってしまったとしてもある程度はデザイン品質を保ち続けられる、最悪デザイナーがいなくてもエンジニアだけで70%くらいのデザインはできる状態に近づけたいと思いました。

企業風土の理解

チームを立ち上げるにあたり企業風土は無視できません。その企業風土に合う人がその企業に居続けるわけですし、それによってどのようなチームが適切かも異なります。そのため、私はこの企業の生まれた成り立ちや、働いている人たちの特徴を理解するところから始めました。
観察したところこの会社は
・実装スピードが速く、モノが出来上がるスピードが速い
・課題を自分たちで発見し、ドンドン潰しながらPJを高速に進めていく

という、とても優秀な特性があった一方、生産性を上げる事に注力し過ぎると、リリースしてから「そういえばなんでこんなん作ったんだっけ?」的な問題が発生するリスクもあるなと予想しました。

目指す文化を決める

そういった文化の中でデザインチームを作っていくなら、強いリーダーがビジョンを示し、それに従うといったいわゆる体育会系のようなトップダウン的なチームではなく、個人個人でやるべきことを考え、それぞれの強みを発揮できるような自律性の高いチームになったら素敵だなと。
エンジニアに対しても本質的な価値を考えるきっかけになる問いを与えられるようなチームにできたらこの組織の価値はさらに上がりそうだなと感じました。

メンバーの理解

そのため、各メンバーとは事前に「今まで何をやってきたのか」「何をやろうとして何が課題でつまづいたのか」「今後何を実現したいのか」をヒアリングしました。チームは顔合わせでえいや!でやってもいいんですが、事前ヒアリングをやっておく事で良い空気になったと思っています。

チームを運営する上で意識したこと

ここからはより具体的にやってみた事です。

タスク管理はしない、リーダー制にする

思い返すと良い文化を生むための一番の肝となったのがこれでした。各メンバーには分割したタスクをこちらで決めて割り振るということをやらず、もう少し大きな単位のサブプロジェクトという単位にし、そこからやりたい人が手を挙げて、その人がリーダーとなって数ヶ月かけて取り組んでもらう、というやり方です。

このやり方は仕事が自分ごとになるだけでなく、タスクの切り方、進め方も全てその人の裁量にまかせるので、自分で仕事を回していっているという感覚が生まれやすかったんだろうと思います。私のチームはメンバー全員が何かしらの活動のリーダーになっています。

その代わり「これ作りました、これ調査しました」で終わるのは無しで、他チームと交渉したり、提案する部分まできちんとやってもらうようにしています。作ってからが本番なので。課題に当たって悩んでいたら周囲は即座に適切なサポートをするようにしています。

タスクは緊急度で分けて整理する

当初、難易度が高いものは私が、軽めのものは他のメンバーに依頼しようとしていました。しかしメンバーの中には毎日の定例にそもそも参加するのが難しい状況の人もおり、結局私が橋渡しをしてコミュニケーションコストが高くなるという状況になりました。一方、難易度が高いと思われる内容をこなしてしまえるメンバーもいたため、難易度よりも、緊急度で分担を変えた方が良さそうだなと感じ、体制を徐々に変えていきました。締切が近い、緊急度が高いものはフル出社している私が受け持ち、ある程度余裕のある仕事は他の方をメインに振っていきました。

特に「第二領域」と言われる緊急性はそこまで高く無いが、今後重要と思われる取り組みを任せられたことは大きかったな、と思っています。

画一的な教育はしない

学校の授業のように、Figmaの使い方講座、プラグイン紹介みたいな勉強会はしませんでした。自分にとって必要性が低い、分からないという状態で知識を与えてもスッと抜けていってしまうので、知識が欲しい、スキルを身につけたいと思うきっかけをたくさん用意することに注力することにしました。サブPJのリーダーを任せると何らかの課題にぶち当たって「スキル不足だな」と思うきっかけが生まれます。その機を逃さず、参考になりそうな情報を紹介したり、ヒントを与えたりしています。

意見が割れるのを日常茶飯事な空気にする

よく心理的安全性を作ろう!と言われますが、個人的には作るものじゃなく、日頃の空気の積み重ね、つまり"文化の一部"だと思ってます。
違う意見、検討違いな意見を言っても気まずい空気が流れず、逆に議論がドライブするように日頃から心がけてます。全員一致、ということはほぼ無く、意見はいつも割れます。でもそれでいいんです。

何を成し遂げたか?ではなくどんな学びがあったか?を重視する

1週間に1度定例を行っているのですが、その場でのKPTでは気づき、変化を記録するようにしています。
成果を追うよりも、今週何を学んだか?自分にどんな変化があったのかを振り返ることがはるかに重要だと思っています。そして、それをメンバー間できちんと共有し合える場を作っています。過去のものと比べると成長が見えますし、学びも多いです。

個人プレーをゆるく繋げる

私の理想のチームの形の1つに攻殻起動隊に出てくる公安9課があるのですが、荒牧課長の名言、
「我々の間には、チームプレーなどという都合のよい言い訳は存在せん。有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。」
これを意識しています。
具体的には、スタンドプレーから生じた学びや成果は確実に振り返り、メンバーに共有する。
複数のメンバーの成果を結びつけ、相乗効果が出せないか検討する。各メンバーで似通った課題にぶち当たったら協力して解決。を指針にしています。

逆にチーム一丸となってこれを達成しよう!というビジョンはほぼ無いです。
「個人個人が頑張ったら、いつの間にか化学反応の連鎖が起き、結果としてチームとして大きな成果になる状態」を目指してます。化学反応を起こすための触媒となれるようなリーダーになりたいなと常に思ってます。

ものさしを複数用意する

KPIを1つだけ設定し、みんなで目指すというチームにはしませんでした。
なぜなら、ものさしが1つだけだとどうしてもチーム内で序列ができてしまい、メンバーによってスキルや特性に違いがあるにも関わらず、あの人はすごい、私はダメ、という意識が生まれてしまうので避けました。またKPI向上にのみ注力すると、アイディアや視点の画一化が起きることも懸念していました。

パフォーマンスやモチベーションに大事なのはチームに貢献できている、という感覚であるという自説があったので、メンバーが自分で選んだ仕事を自分の強みを活かして時間がかかっても良いので最後まで取り組める体制にしました。

雑談+壁打ちはなるべく行う

他の人が何をしているのか理解できるだけでなく、壁打ちを通す中で新たな視野に気づきを得たり、暗黙知を共有したりできます。
なによりも、同じ論点や議題を共有することで、属人化防止にも繋がることが分かってきました。

成果物を作る過程で考えた思考は言語化してもらう

前の項目でも書きましたが、「とりあえず作りました」で完結するのは認めていません。何をコンセプトに、何を考えて作ったのかをきちんと説明する、残す、それによってどんな価値があり、逆にどんな課題がありそうなのか。言語化するとチームに共有できます。

おわりに

こうして並べてみると結構独特な、あまり見かけない施策集になってしまいました。
もちろん、全部完璧にできているわけでは無いのですが、日々気づきを得てブラッシュアップしています。良いチームになるように今後も頑張っていきたいと思ってます。

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